パチンコ店, 営業規制, 風俗営業(遊技場営業)

パチンコ店を規制する風営法の広告規制の要点

はじめに

これまでパチンコ営業の広告規制に関する情報は、ネットでは出さないようにしておりましたが、どうせ皆さんいろいろなところで情報を入手されると思うので、概要をこちらにのせることにしました。

そこでひとこと申し上げますが、広告規制の違反処分さえ受けなければあとはどうでもいい、とお考えの方は、風営法のリスクについて認識が不充分かもしれません。

そういったことは管理人のブログ「風営法について思う」でたびたび述べているので、そちらもご参考になさってください。

なお、こちらのページを真似して風営法の研修に使おうと考えておられる方には、それはあまりお勧めしません。

こういった部分的な情報の断片を寄せ集めても、意味がないばかりか、ときに危険でもあります。

さて、それでは、風営法の広告規制の要点を解説します。

 


広告規制は3つの要素で成り立っている

パチンコ店の広告規制は次の3つの法的根拠でなりたっています。

①構造設備維持義務違反

②広告宣伝方法の規制

③都道府県条例による規制

一つずつ見てゆきましょう。

 


①構造設備維持義務違反

風営法第12条の「営業所の構造及び設備の維持義務」が根拠となります。

(構造及び設備の維持)
第十二条 風俗営業者は、営業所の構造及び設備を、第四条第二項第一号の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。

風俗営業者は店内の構造設備について、風営法施行規則第8条で定められている「技術上の基準」の全てを維持する義務があります。

その基準の中の「二」には、次の定めがあります。

善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。

これがキャバクラ営業ならば、女性の裸体の写真などが「風俗環境を害する店内の設備」だということで違反処分になったりもしますが、パチンコ店の場合は、パチンコ特有の問題があります。

それは次の二つの場合です。

  • 法に違反する行為を行っていることをうかがわせる広告
  • 著しく射幸心をそそるおそれのある広告

たとえば、店内ポスターに「闘火!」と表示されていたら。

これは「等価」の隠語でありますが、風営法では賞品の等価提供は当たり前のこと。それでも「等価」を強調するのは、要するに「賞品を等価で買い取っています。」という違反行為をうかがわせる広告になるわけです。

よって、そのポスターの存在が原因で「構造設備維持義務違反」に問われます。

「本日はポッキーの日」とかいって、「11日」に出玉がたくさん出るかのような連想を客にいだかせる表示なら、「著しく射幸心をそそるおそれのある広告」であり、これも同様に「構造設備維持義務違反」に問われます。

 

 


②広告宣伝方法の規制

営業所周辺での広告宣伝方法についての規制です。

(広告及び宣伝の規制)
第十六条 風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。

セミナーで用語の一つ一つを解説すると面白い話になるのですが、ネットで表現すると余計な誤解を受けるのでほどほどにします。

あまり見られない光景ですが、パチンコ店の前の道路上で「本日は海の日でーす。」と言いながら海系遊技機を宣伝するチラシを配ていたら「広告宣伝規制違反」となるでしょう。

表現についての基本的な考え方は「構造設備」の場合と同じですが、それが行われている場所が営業所の外である場合や、従業員みずからが音声で呼びかけている場合などは、「構造設備」ではなく「広告宣伝方法」の問題となるわけです。

指示処分を受けるという結果は同じなので、ホールの現場では法的根拠がどれかということをあまり認識されていないかもしれませんが、実はこのあたりのことは、違反処分を本気で避けようと思うなら、かなり重要なテーマとなります。これ以上深くは触れません。

平成24年7月13日に警察庁が広告宣伝規制の解釈を中身とする通知を発していますが、これは上記の二つの風営法違反の考え方について定めたものであり、広告規制を判断するうえでのバイブルと言ってもよいものです。

ここで記載されている事例に該当していたら、指示処分を受けても文句は言えないということです。

 


③都道府県条例による規制

平成29年に愛知県の条例が改正されて、パチンコ店の遵守事項に次の文言が追加されました。

営業に関し、賭博類似行為その他著しく射幸心をそそるおそれのある行為をし、又は営業所で客にこれらの行為をさせないこと。

風営法では、「店内の構造設備」と「営業所周辺の広告宣伝」に対して規制していますが、SNSやツイッター、ブログなどでの宣伝については及びません。

よって、ネット系の宣伝が一時的に野放し状態になっていた地域がありました。

愛知県ではこれに対応して条例を改正した結果、ネット系の広告に対して処分を足せるようになったわけです。

そのほかの都道府県でも、同様な条例の規制があります。

著しく射幸心をそそるおそれのある行為」は、やろうと思えば、何でもかんでも違反だと言えるわけです。

「そそるおそれ」が全くない広告宣伝なんて、果たしてあるのか?

そういう意味で、この条例はとても素敵なわけです。地域によっては、この条例違反が活発に適用されたりしています。

 


法令理解は重要

さて、以上が広告規制の法的な構造ですが、これがわかったからといってどうなるんだ?と思われますね。

どういった場合の行政処分が出やすいか、違反処分のリスクの程度はどうか、といったことを予想できますね。

ホールが違反処分を受けた際に、どの規定を適用されたかを素早く理解することは、指示に対して適切に対応するためにも、その後のリスク管理においても重要です。

というわけで、皆さんが広告規制を本気で気にするのなら、法令の条文や解釈基準をよく見ておくべきです。

ほかにも、いろいろな要素を理解しておくべきほう。なにしろ風営法は「3つのギョウ」で考えるのでしたよね。

条文だけながめても、答えは出てきませんよ。

しかし、このあたりのことを語りすぎると、またいろいろな誤解を生みやすいので、この程度にしておきます。

広告規制ばかりに気にしている現場というのは、経営目線からすると、とても危険です。

会社本体のリスクに関わる問題を軽く見ていることになるからです。

2018年も、遊技機と賞品提供に関しては、微妙な問題をはらみつづけることになります。

広告規制ばかりに気を取られないで、総合的な目線で判断する能力をやしなうことが重要。

ということを、しっかりとご理解いただきたいです。