風適法基本10項目 その6 風俗営業のその他の手続 

もくじ


風俗営業の相続の承認

法人の合併と分割

構造及び設備の変更の承認

変更の届出
特例風俗営業者の認定



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風俗営業の相続の承認

 お客さんからしばしば「風俗営業の名義を変更したいんですが」といった相談を受けることがあります。結婚して姓が変ったとか法人の商号が変ったということなら変更届出で充分ですが、名義を他人や他社に変えることはできません。
 許可というものは原則として特定の営業所を経営する特定の人間または法人に出されるもので、許可名義の変更という概念がないのです。他人に営業を引き継がせる場合や、個人事業から法人事業に切り替える場合にも、新規で風俗営業許可申請をして改めて許可を取り直すことになります。

 しかし新規許可の時点で許可が取れない場所になってしまった場合、たとえば隣のビルに病院ができてしまったような場合には新しい許可が得られません。もし風俗営業者が不幸にもお亡くなりになって、息子さんが営業を引き継ぐことになったとして、その営業所がすでに許可を取れない場所になってしまっていたら廃業せざるをえなくなってしまいます。

 それではあまりに酷なので、風俗営業者(個人)が死亡し、その相続人が風俗営業を引きつぐ場合には、その相続の発生から60日以内に都道府県公安委員会に、営業を引き継ぐことの承認を申請し、承認を得ることが可能です。実際に申請がなされると、承認を受けるまで、または承認しない旨の通知を受けるまでの間に限り、相続人(承認の申請人)が風俗営業許可を受けているものとみなされます。

 都道府県公安委員会から承認を受けると、被相続人の風俗営業者としての地位を引き継いだことを正式に認められたことになります。その際には遅滞無く風俗営業許可証の書き換え手続きを行ってください。許可証に記載されている名義人を相続人の名義に変えなければならないからです。

 もし承認が得られなかったときには、すみやかに風俗営業許可証を都道府県公安委員会に返納しなければなりません。なお、風俗営業者の地位を承継しようとする者が人的欠格事由に該当する場合は原則として承認がおりませんが、相続人(申請人)が18歳未満の場合で、法定代理人に人的欠格事由が存在しないのであれば、当該18歳未満の申請人が「客の接待をしてはならない」という条件付きで承認を得られることがあります。

 この規定における「相続人」には民法958条の3の特別縁故者は含まれないと解釈されています。民法964条の遺贈による受遺者、民法990条の包括受遺者も、ここでいう相続人に含まれないと解釈されています。
 ところで、この手続では相続人が死亡した日から60日以内に申請しなければなりません。
申請において提出する書類は次のとおりです。
 (但し、申請人が元々風俗営業者である場合等はこの限りではありません。)
 
 ・相続承認申請書
 ・申請者の住民票
 ・誓約書(人的欠格事由に該当しないことの)
 ・登記されていないことの証明書(成年被後見人又は被保佐人に該当しない旨の)
 ・身分証明書(本籍地の市区町村長が発行する)
 ・未成年者の場合は法定代理人に関する書面(詳細省略)
 ・申請人と被相続人との続柄を証明する書面(登記簿謄本等)
 ・申請者以外の相続人の氏名及び住所を記載した書面
 ・申請者以外の相続人による当該申請についての同意書
   ※申請手数料は1件のみの場合¥9,000円

 60日以内にこれらの書類を整えて提出するのです。万一の際には準備は早めにとりかかることをお勧めします。なお、法人の場合はこの手続きを利用できません。店舗型性風俗については相続で営業者の地位の移転が承認される制度はありません。


法第七条
 風俗営業者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により当該風俗営業を承継すべき相続人を定めたときは、その者。以下同じ。)が被相続人の営んでいた風俗営業を引き続き営もうとするときは、その相続人は、国家公安委員会規則で定めるところにより、被相続人の死亡後六十日以内に公安委員会に申請して、その承認を受けなければならない。
2  相続人が前項の承認の申請をした場合においては、被相続人の死亡の日からその承認を受ける日又は承認をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした風俗営業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。
3  第四条第一項の規定は、第一項の承認の申請をした相続人について準用する。
4  第一項の承認を受けた相続人は、被相続人に係る風俗営業者の地位を承継する。
5  第一項の承認の申請をした相続人は、その承認を受けたときは、遅滞なく、被相続人が交付を受けた許可証を公安委員会に提出して、その書換えを受けなければならない。
6  前項に規定する者は、第一項の承認をしない旨の通知を受けたときは、遅滞なく、被相続人が交付を受けた許可証を公安委員会に返納しなければならない。



法人の合併と分割

 風俗営業者である法人が合併または分割をする場合には、あらかじめ都道府県公安委員会から合併又は分割の承認を得ることによって風俗営業許可を合併後または分割後の存続会社に承継させることができます。
 承継する法人の役員については人的欠格事由に該当しないことが求められます。「あらかじめ」ということですので、都道府県公安委員会からの承認を受ける前に法人の合併又は分割をして営業を承継させてしまっても風俗営業者としての地位の承継が認めらず、許可が失効してしまいます。都道府県公安委員会から承認を得た分割又は合併計画書のとおりの合併又は分割が行われなかった場合には、その承認は効力を失います。
会社法に関することはここでは述べませんが、合併や分割の手続には手間と時間がかります。風俗営業許可を取り直すのか、合併分割・承認申請でよいのか、悩む場合が多いです。
 新規に許可を取り直す場合、保護対象施設の問題がありますし、パチンコ店の場合は許可申請中の遊技台の入替ができなくなるでしょうから、遊技台の入替ペースとの兼ね合いが問題となります。保証書等の準備も大きな負担となります。都道府県によっては、新規許可取得の際に一度営業を停止しなければならない場合もあります。
 承認後に合併または分割の効力が発生したら、すみやかに風俗営業許可証の書換え手続をする必要があります。この場合の書き換え手数料は免除されます。

 


(法人の合併)
法第七条の二  風俗営業者たる法人がその合併により消滅することとなる場合において、あらかじめ合併について国家公安委員会規則で定めるところにより公安委員会の承認を受けたときは、合併後存続し、又は合併により設立された法人は、風俗営業者の地位を承継する。
2  第四条第一項の規定は、前項の承認について準用する。この場合において、同条第一項中「前条第一項の許可を受けようとする者」とあるのは、「第七条の二第一項の承認を受けようとする法人」と読み替えるものとする。
3  前条第五項の規定は、第一項の承認を受けようとした法人について準用する。この場合において、同条第五項中「被相続人」とあるのは、「合併により消滅した法人」と読み替えるものとする。

(法人の分割)
法第七条の三  風俗営業者たる法人が分割により風俗営業を承継させる場合において、あらかじめ当該分割について国家公安委員会規則で定めるところにより公安委員会の承認を受けたときは、分割により当該風俗営業を承継した法人は、当該風俗営業についての風俗営業者の地位を承継する。
2  第四条第一項の規定は、前項の承認について準用する。この場合において、同条第一項中「前条第一項の許可を受けようとする者」とあるのは、「第七条の三第一項の承認を受けようとする法人」と読み替えるものとする。
3  第七条第五項の規定は、第一項の承認を受けようとした法人について準用する。この場合において、同条第五項中「被相続人」とあるのは、「分割をした法人」と読み替えるものとする。



構造及び設備の変更の承認(遊技機の変更をのぞく)

 ◇変更承認申請が必要な構造設備の変更とは
風俗営業許可の審査においては、営業所が法令上の構造基準を満たしているかどうかについて公安委員会が検査します。許可後に営業所の構造を変えて構造上の基準を満たさなくなっては営業許可の意味がなくなってしまいますから、重要な変更を行う場合には事前の承認を得なければならないことになっています。
風俗営業者が営業所の構造設備について次のような増改築しようとするときは、あらかじめ公安委員会から承認を受けなければなりません。

@  建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第二条第十四号 に規定する大規模の修繕又は同条第十五号 に規定する大規模の模様替に該当する変更
  
※ 構造上重要な壁、柱、床、はり、屋根又は階段のどれかについて過半に及ぶ修繕又は模様替のこと
A  客室の位置、数又は床面積の変更
B  壁、ふすま、その他営業所の内部を仕切るための設備の変更
C  営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更
 
※まあじゃん屋をぱちんこ屋にする場合や和風料理店を洋風カフェーに変更する場合などです。
 
※許可証記載の営業の種類が変る場合もこれにあたります。

上記以外の構造設備の変更(以下「軽微な変更」といいます)については変更届出が必要です。
 ※但し、届出を要しないほど軽微な変更がありえます。詳細は「変更の届出」をご覧ください。

◇変更承認申請手続きの流れ
  工事完了→構造変更申請→検査→承認通知→承認通知書交付

申請時には11000円の手数料がかかります。
検査から承認までの期間はおおむね10日前後になる場合が多いです。
営業所周辺に保護対象施設が新設されていることが判明したような場合には、承認後に公安委員会から許可条件が付与されることがあります。
構造変更の承認通知があるまでは変更部分の使用ができない取り扱いの場合がありえます。
詳しくは担当所轄警察署にご相談ください。

◇必要書類
 @構造変更承認申請書
 A変更前の構造を示す平面図等
 B変更後の構造を示す平面図等
 C営業所周辺の略図


(構造及び設備の変更等)
第九条  風俗営業者は、増築、改築その他の行為による営業所の構造又は設備の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。第五項において同じ。)をしようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならない。
2  公安委員会は、前項の承認の申請に係る営業所の構造及び設備が第四条第二項第一号の技術上の基準及び第三条第二項の規定により公安委員会が付した条件に適合していると認めるときは、前項の承認をしなければならない。
3  風俗営業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、公安委員会に、内閣府令で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。この場合において、当該届出書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
一  第五条第一項各号(第三号及び第四号を除く。)に掲げる事項(同項第二号に掲げる事項にあつては、営業所の名称に限る。)に変更があつたとき。
二  営業所の構造又は設備につき第一項の軽微な変更をしたとき。
4  前項第一号の規定により届出書を提出する場合において、当該届出書に係る事項が許可証の記載事項に該当するときは、その書換えを受けなければならない。
5  第一項の規定は、第十条の二第一項の認定を受けた風俗営業者が営業所の構造又は設備の変更をしようとする場合については、適用しない。この場合において、当該風俗営業者は、当該変更をしたときは、公安委員会に、内閣府令で定める事項を記載した届出書を内閣府令で定める添付書類とともに提出しなければならない。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令
第二条  法第九条第一項 の内閣府令で定める軽微な変更は、営業所の構造及び設備に係る変更のうち、次に掲げる変更以外の変更とする。
一  建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第二条第十四号 に規定する大規模の修繕又は同条第十五号 に規定する大規模の模様替に該当する変更
二  客室の位置、数又は床面積の変更
三  壁、ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備の変更
四  営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更

建築基準法第二条
五  主要構造部   壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。
十四  大規模の修繕   建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。
十五  大規模の模様替   建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。


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変更の届出

構造変更承認が必要な場合をのぞく構造設備の変更をした場合には変更届出をしなければなりません。
届出の意味について行政手続き法では、「届出とは行政庁に一定の事項の通知をする行為であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの」とされています。
また、届出の効果については次のとおり。
「届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。(行政手続法第37条)

 

◇変更届出書を提出する場合

       @変更のあった日から10日以内に届出が必要な場合

        ・営業所の名称の変更

        ・管理者の氏名及び住所の変更

        ・照明設備・音響設備・防音設備の変更

    但し、営業の方法の変更にあたらない場合に限る

  

A変更のあった日から20日以内に届出が必要な場合

 ・営業者の氏名(法人の場合には会社名)及び住所の変更

 ・法人の代表者氏名の変更

 ・法人の役員の氏名及び住所の変更

 

      B変更のあった日から1ヶ月以内に届出が必要な場合

        営業所の小規模な修繕・模様替え・家具の入替

 

 ◇変更届出が不要な場合

        @軽微な破損箇所の原状回復

        A照明設備・音響設備等の同一の規格及び性能の範囲内で
          行なわれる設備の更新
        Bゲームセンターにおけるソフトウェアのみの入れ替え
          及びそれにともなう操作部分の変更
        C遊技設備の位置の変更
        D営業所内の見通しを妨げない程度の軽微ないす・テーブル
          等の配置の変更

 

 ◇許可証の書換え申請が必要な場合

         @ 上記の変更届をすることにより、許可証の記載事項
           (氏名又は名称、営業所の所在地、営業所名)に変更を生ずるとき

         A風俗営業の相続承認を受けた場合

         ※相続承認の場合はすぐに、それ以外の場合には変更届出書
           提出と同時に申請します。 


特例風俗営業者の認定

 よく「マルユウ」と言いますが、一定の要件を満たした風俗営業者は特例風俗営業者としていくつかの特典が得られます。ぱちんこ店の場合は特に重要な意味を持っています。
 店舗改装の際に変更承認ではなく変更届出すむので、承認を待たずに営業再開できるからです。しかし現時点で処分を受けるべき事由が全く存在しないかどうかについてチェックされた場合に、認定取消しところか行政処分を受けてしまうという事もありえます。最近はマルユウ取得は難しいという印象が強いですが、ぜひともマルユウを目指した遵法経営を行っていただきたいです。

◇メリット
風適法第10条の2によって特例風俗営業者に認定されると、次のようなメリットがあります。

@許可証の代わりに、特例風俗営業者認定証を営業所の見やすい場所に掲示すればよい (・・・これについてはメリットとは言えないです)


A本来であれば事前承認が必要な構造設備の変更(変更承認申請)が、事後の届出で足りる
(これは重要なメリットです。承認が出るまで店を閉めなくてもよいのですから)


B管理者講習が2度目以降免除になります。但し、同一人、同一店舗に限ります。

C遊技機の認定申請の際に添付する保証書を管理者が作成できる。
(認定の需要が減りましたが、認定申請が必要になればメリットかもしれません)

 

◇認定の要件
@風俗営業許可を得てから10年以上経過していること
A過去10年間に風適法の処分を受けたことがなく、かつ現に処分をうけるべき事由がないこと
B管理者講習をきちんと受けていたこと

 

◇認定申請に必要な書類 

 ・認定申請書 

 ・営業の方法を記載した書面 

 ・営業所の平面図及び営業所の周囲の略図 

 ・認定の要件のいずれにも該当する旨の誓約書

 




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