風適10項目 その3 風俗営業許可

もくじ


許可の意味
風俗営業の条件
構造設備の基準
人的基準
場所の基準
許可取得までの流れ
許可と届出の違い
許可をとらないとどうなるのか
行政書士という人々





●許可の意味

◇許可とは
 許可営業は、その営業が法律によって一般に禁止され、行政が許可した者だけがその営業をできるわけですが、許可制を設けるということは職業選択の自由、営業の自由に対する制限ですから、それは公共の福祉に反しない限りにおいて、つまりその許可の目的に必要な範囲においてのみ禁止できるのであって、風俗営業許可の手続のすべてにおいて、その目的に照らして合理的に処理し審査されなければなりません。


 警察庁解釈基準の中では次のような記述があります。
「許可申請書類の記載は、簡潔で必要十分なもので足りることとするとともに、審査事務の合理化、審査期間の短縮化を図り、申請者に無用の負担をかけることのないように努める必要がある」

◇営業開始は許可が出てから
 風俗営業許可の場合は審査手続きがあって、許可交付後に営業を開始できます。しかし性風俗関連特殊営業のように届出が義務付けられている営業の場合は、営業開始前に一定の書類を提出すること(届出)が営業者に義務付けられているにすぎず、公安委員会から営業行為のお墨付きを得ているものではありません。
 性風俗関連特殊営業を届出した際には、平成18年5月から届出確認書が交付されるようになりましたが、その字のとおり届出された事実を確認したにすぎず、許可とは性質が異なるものです。

 

風適法第三条  
風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。  公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、前項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。


風俗営業の条件

 「風俗営業」という言葉は、法律では、キャバレー、クラブ、パチンコ店、麻雀店、ゲームセンター、などが「風俗営業」であり、性的サービスを提供する営業については「性風俗関連特殊営業」に含まれます。風俗営業と性風俗関連特殊営業とでは法律上の取扱が全く異なります。

 風適法では、風俗営業として8種類が定められており、開業にあたってはそれぞれの営業の種別に応じた条件を満たし、風俗営業許可を取得しなければなりません。 営業の種別に応じて定められている許可の基準を大別すると「構造設備の基準」「申請人等が一定の要件に該当しないこと(人的基準)」および「場所の基準」があります。 事業者は風俗営業許可取得後もこれらの基準を維持しなければなりません。

構造設備の基準

客室内の見通し、照明の明るさ、店舗面積、店内設備などについて営業の種別ごとに細かい規定があります。これら条件を満たしていることが確認されないと風俗営業許可は交付されません。つまりこれら条件を満たしていることを証明する作業が許可申請だということです。

 

 

法2条 1項

営業の方法

面積等の要件

照度(ルックス)

その他の要件

接待飲食等業営業

1号

キャバレー(客に接待をし、飲食とダンスをさせる)

66u以上で、客にダンスをさせる部分が客室面積の5分の1以上。

5

 

・騒音が条例の規制の範囲内であること。

・客室の見通しを妨げるものがないこと。

・善良の風俗を害する恐れのある設備等がないこと。

・客室出入り口(営業所外に通じる出入り口を除く)にカギをつけないこと。

2号

バー、パブなど(客に接待をし遊興と飲食をさせるが、ダンスはさせない)

客室一室の面積が16.5u(和風の場合、9.5平米)以上、但し客室数が1室のみの場合は除く。

3号

ナイトクラブ(客に接待はしないが、飲食とダンスはさせる)

66u以上で、客にダンスをさせる部分が客室面積の5分の1以上。

4号

ダンスホール(客にダンスをさせるが、飲食も接待もさせない)

66u以上で、客にダンスをさせる部分が客室面積の5分の1以上。

10

5号

(明るさ10ルックス以下の店舗で客に飲食をさせる)

一客室の面積が5u以上。ダンス用の設備がないこと。

5

6号

(広さ5u以下でしかも見通しの悪い客席で客に飲食をさせる)

ダンス用の設備がないこと。専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する設備をおかないこと。但し、「その他の制限」にかかわらず、客室内の見通しを妨げる設備はあってもよい。

10

遊技場営業

7号

まあじゃん、パチンコ店

パチンコ店の場合は、パチンコ以外の遊技機を置かないこと、及び、営業所内の客の見やすい場所に賞品提供設備を設けること。

10

上記のほか、少年の育成に障害を及ぼすおそれのある設備を置かないこと。

8号

ゲームセンター

紙幣を挿入できる遊戯設備、又は、客に現金有価証券を提供できる装置のついた遊戯設備を置かないこと。

10

※詳細は、後記の各営業の項をご参照ください。


人的基準

申請人(許可を受ける人)自身と管理者、申請人が法人の場合はその役員全員について、次の全てに該当していないことが求められます。一つでも該当してしまうと許可は得られません。
対象となる過去の刑事罰は下記のとおり具体的に限定されています。たとえば風適法違反で罰金刑をうけたからといって人的基準を満たさないとは限りません。その処分が風適法のどの条文を根拠としてなされたかによって事情は異なるのです。
 

 @破産して復権していない人。

 A成年被後見人、被保佐人として登録されている人。

 B1年以上の懲役・禁固刑、風営適正化法違反、その他法4条2項で定める罪に違反して
  刑に処せられた人で、その執行を終え、又は執行を受けることがなくなってから5年を
  経過していない人。

※管理者とは 〜 風俗営業者は必ず1名の管理者を置かなければなりません。経営者は管理者を兼ねることもできます。管理者は実際に営業を管理できる存在でなければなりませんので、通勤が不能な遠隔地を住所とする者は管理者にふさわしくありません。

以下 法第4条から抜粋


1

  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

2 一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

イ 第四十九条又は第五十条第一項の罪

ロ 刑法 (明治四十年法律第四十五号)第百七十四条 、第百七十五条、第百八十二条、第百八十五条、第百八十六条、第二百二十四条、第二百二十五条(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条、第二百二十六条の二(第三項については、営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条の三、第二百二十七条第一項(同法第二百二十四条 、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二又は第二百二十六条の三の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)若しくは第三項(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)又は第二百二十八条(同法第二百二十四条 、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二、第二百二十六条の三又は第二百二十七条第一項若しくは第三項に係る部分に限る。)の罪

ハ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律 (平成十一年法律第百三十六号)第三条第一項 (第五号又は第六号に係る部分に限る。)又は第六条 (第一項第二号に係る部分に限る。)の罪

ニ 売春防止法 (昭和三十一年法律第百十八号)第二章 の罪

ホ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 (平成十一年法律第五十二号)第四条 から第八条 までの罪

ヘ 労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第百十七条 、第百十八条第一項(同法第六条 又は第五十六条 に係る部分に限る。)又は第百十九条第一号(同法第六十一条 又は第六十二条 に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法 (昭和二十三年法律第百三十号)又は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 (昭和六十年法律第八十八号)の規定により適用する場合を含む。)の罪

ト 船員法 (昭和二十二年法律第百号)第百二十九条 (同法第八十五条第一項 又は第二項 に係る部分に限る。)又は第百三十条 (同法第八十六条第一項 に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法 の規定により適用する場合を含む。)の罪

チ 職業安定法 (昭和二十二年法律第百四十一号)第六十三条 の罪

リ 児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項 又は第二項 (同法第三十四条第一項第四号の三 、第五号、第七号又は第九号に係る部分に限る。)の罪

ヌ 船員職業安定法第百十一条 の罪

ル 出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)第七十三条の二第一項 の罪

ヲ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第五十八条 の罪

3 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
4 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
5 第二十六条第一項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
6 第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
7 前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該消滅又は返納の日から起算して五年を経過しないもの
7の2 第六号に規定する期間内に分割により同号の聴聞に係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)又はこれらの法人の同号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該分割の日から起算して五年を経過しないもの
8  営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が風俗営業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
9  法人でその役員のうちに第一号から第七号の二までのいずれかに該当する者があるもの


 

場所の基準

 

・詳細は条例で

  • 条例によって定められた<営業できない地域>は、都道府県条例によって異なります。

 

・用途地域による規制

  • 原則として、住居専用地域や住居地域などでは営業できません。(但し、例外あり) 


・保護対象施設

  • 営業所から一定の距離内に学校や収容施設のある病院、児童福祉施設、図書館、公民館など風俗営業による影響から保護されるべき施設があってはいけないということになっています。
    具体的な基準は都道府県によって異なりますから、各都道府県の条例でご確認ください。 

 

□神奈川県条例の場合(神奈川県警のホームページ

  大学以外の学校  →100メートル

  大学・図書館・児童福祉施設・患者を収容できる病院→30メートル

               (但し商業地域以外は70メートル) 

□東京都条例の場合   
 
 大学・図書館・児童福祉施設・病院(患者収容施設のある)
   及び診療所の敷地の
  周囲100m以内の地域。 但し、次の例外有り。
 

  ・近隣商業地域の場合  

   大学・病院(1種助産施設含む)・診療所(8床以上) →50メートル

   第2種助産施設・7床以下の診療所→20メートル              

  ・商業地域の場合

   大学を除く学校・図書館・児童福祉施設(助産施設除く) →50メートル

   大学・病院・(1種助産施設含む)・診療所(8床以上)  →20メートル

   第2種助産施設・診療所(7床以下)  →10メートル     

  

パチンコ店2階の歯科診療所は保護対象施設に当たるか(九州大学)




許可取得までの流れ

許可を取得するまでの流れを以下にまとめてみました。
都道府県によって順序が入れ替わる場合がありますのでご注意ください。  


@許可基準を満たしているかどうかを検討

 許可を取る営業の内容を確認し、実際に行う予定の営業が上記で述べた各種の基準に抵触しないかどうかを検討します。

・許可を取る必要性と風俗営業許可の性質について理解しましょう
ピンクサロンの許可を取りたいとか、換金できるカジノ営業の許可が欲しい、という考えで風俗営業許可を取得しようとする人をまれに見かけますが、こういった営業は風俗営業許可の対象とはなりません。また風俗営業許可を取得したことによって様々の営業規制が生じますが、許可取得によるメリットとデメリットをきちんと理解してから営業方法を検討しましょう。

 

・店舗賃貸の前の周辺調査
 店舗を賃貸する場合には、規定距離ないに保護対象施設がないかどうかを契約締結前に調査をしてください。ただし、保護対象施設の有無については許可審査の時点で判断されますので、許可申請前の調査で問題が無かったとしても、許可申請後に状況が変われば(たとえば有床診療所が保健所に届け出られれば)許可がおりない事態が生じる可能性があります。 これについては警察署の担当官にしつこく尋ねても<ここなら大丈夫>などと教えてくれることはありません。保護対象の問題については自己責任でリスクを覚悟して対応するしかりません。


・店内設備についての注意
 内装工事の際には構造が許可基準に抵触しないように設計してください。とくに1号営業の場合は面積要件が厳しいうえに、客室面積の解釈が地域や時期によってばらつきがある場合がよくありますので慎重に考える必要があります。2号営業の場合でも、床面積が16.5u以下の個室を設置することはできません。


・身分関係の基準についての注意
 犯罪歴については、申請人だけでなく管理者も審査されます。法人の場合は監査役を含めた役員全員が対象となります。過去5年間の犯罪歴についてはとくに注意が必要です。
 もし犯罪歴が気になるのであれば、過去の裁判関係の資料等をもとに罪名や刑の内容等を確認してください。
 このほか、復権前の破産者、成年被後見人、被保佐人がいる場合も許可が取れません。
 これに関係する書類として申請の際には「本籍地記載の住民票(住所地の市区町村)」「身分証明書(本籍地の市区町村)」「登記されていないことの証明書(東京法務局の後見登録課)」を提出します。

               ↓
 

A必要書類をそろえて申請     

   ☆風俗営業許可申請書類一覧表(神奈川県) 

   

・申請手数料
 その営業所を管轄する所轄警察署に申請書一式を1部申請します。平成18年5月1日より前までは正副2部を申請し、許可証交付時に複本が返還されていました。申請書は必ず自分のための控えを用意しましょう。申請の際に公安委員会に納付すべき手数料を支払います。
 都道府県の収入証紙(27,000円分)を申請書に貼付する方法と、警察署の会計窓口で現金で支払う方法とがあります。但し、パチンコ店については遊技機の台数に20円をかけた金額を加算します。

・同時申請
 同時に複数の店舗を同じ申請人が申請する場合には、2件目以降について9300円を減額した手数料を支払います。同時申請は管轄警察署が異なる店舗でも、1ヶ所の店舗を管轄する警察署に申請することが可能ですが、都道府県が異なる場合は同時申請はできません。

・許可申請の際には
 申請の際に書類をひととおり審査されますので、訂正にそなえて申請時に使用した印を所持してください。行政書士が代理申請する場合には申請人本人の同行が不要な場合とそうでない場合とがあります。
 申請の際には所轄警察署の生活安全課の風俗営業許可担当者あてに電話で事前予約することをおすすめします。警察署によっては事前相談を求める場合もあります。担当者が不在の場合に申請を受理してもらえないこともよくあります。

 

・許可申請における提出書類についての注意
「風適法に基く許可申請書の添付書類等に関する内閣府令」の中で添付書類についての定めがあります。法律上はここに定められた書類を提出しますが、警察署担当官の判断でこれ以外の書類の添付を求められることがよくあります。 
 たとえば接待飲食店等営業の場合には食品衛生法の許可証の写しを添付するよう求められています。このほかにも、その警察署の判断で書類について様々の指示をされますが、地域による違い、時期による違い、担当官による違いなど、統一されていないさまざまなポイントがあります。
 提出書類の中では営業所の平面図を作るのが一番骨が折れます。都道府県によって平面図に要求する基準や注意するポイントは若干異なり、客室面積や営業所面積の計測と算出方法にはいろいろありえます。
 客室床面積は客室内壁の内側で計測し営業所床面積は建物外壁の中心線とするとか、営業所部分の示す色は青で客室は赤線だとか、警察が指示する内容は都道府県ごとに違っていて、しかも各地域の担当者はその地域で採用する方法が最良であると信じるのが人情ですから、申請人が図面作成においてとまどうことがよくあります。 

※提出書類
 許可申請に必要な書類やその作成の仕方については行政書士事務所のサイト等でかなり多数見受けられますので、ここでは取り上げません。

※手数料
 神奈川県警のサイト上で掲載されているので参考としてご覧ください。
    ※ 風俗営業等の規制概要と営業申請手続き

             ↓


B店舗の検査

 店舗の構造設備が申請内容と違わないか、または構造設備等に不備や問題点が無いかどうかを検査します。実施時期は申請日からおおむね1,2週間程度が多いようですが、本部検査が終わってから検査が実施される地域もあるようです。
 許可申請から許可交付にいたるまでの期間やスケジュールは各都道府県によってかなり異なるようです。地域によって、所轄警察署担当官が検査に来ることもあれば、地域の風俗環境浄化協会の職員が出向くこともあります。

※風俗環境浄化協会は、風適法39条2項6号及び7号において、営業所の構造設備が基準にあっているかどうかについての調査を委託されて行う旨が定められています。なお、調査を行う協会の職員は、刑法その他の罰則の適用に関して公務員とみなされます。 

             ↓ 

C警察署から公安委員会への申請書類の送達、そして本部審査

都道府県警察本部で審査されます。この段階で書類に不備があったり問題が発見され、構造設備の変更や書類の訂正、追加書類の提出等を求められることがあります。職権での部分的訂正もありえます。

             ↓

D許可証交付 

 警察署から許可の通知が来たら営業を開始しても構いません。もしすでに作成が完了していれば風俗営業許可証と管理者証が交付されます。
 申請日から許可交付日までの日数については行政手続法により審査の標準処理期間を提示することが行政に求められています。この期間は55日以内の期間で書く都道府県警察がその実情に応じて決定しますが、通常は1ヶ月から2ヶ月程度です。
 なお、この日数は、許可申請の時点で営業店舗が実地調査可能な状態であることを前提としていますので、営業設備等に問題があったり店内工事中であったりしたまま申請した場合には標準処理期間の起算日は遅れることになります。
 風俗営業許可の通知あるまでは原則として風俗営業を開始することはできません。

許可と届出の違い
◇許可の意味
 許可営業というのは、「とりあえず禁止されている営業であって、その営業を行いたい者は、法令で定めた基準を満たした者に限り、行政庁の許可によって開始できる営業」であると言えます。許可の場合、その営業が法令の基準を満たしているかどうかの審査があって、それをパスしないと許可がでません。許可を得ていない者がその営業を行うと処罰の対象になります。

◇届出営業とは
 届出営業の場合は、その営業は「法令違反をしない限りは誰が行ってもよいのだけれど、営業を行うに際しては、行政庁への届け出が義務付けられている営業」のことでしょう。許可は行政によってお墨付きを得てからやるのですが、届け出営業は一定の書類を行政に提出するだけですから、届出したからといって、お上公認というわけではないのです。
 この違いは大きいと思いますが、世間ではなかなか認識されていません。性風俗営業で「風適法届出済」だけでなく「許可取得済み」などという看板を目にすることがありますが、性風俗に許可がでないのはもちろん、「届出済」だからといっても警察の検査を経ているとは限りません。

◇性風俗なのに届出だけでよい理由とは
 さて、それではどうして風俗営業を許可制にし、それよりもダーティなイメージの性風俗を届出制にしたのでしょうか。それは風俗営業制度の歴史と関係があるでしょう。そして、ひとことで言うならば、いかがわしい営業に対して行政がお墨付きを与えるわけには行かないという考え方があります。
 言い換えると、許可を与えられる営業は社会のためになる(国民に娯楽を提供するという意味で)営業であって、いかがわしい(健全な社会において望ましくない)営業についてはあくまで情報を出させて行政が状況を把握するにとどめるという方法につながります。
 ところが世間では風俗営業と言うと売春営業等の性風俗営業を想像しますが、風適法を知らない人たちのイメージとは異なり、法律上の風俗営業は性風俗関連営業とは一線を画した比較的まじめな営業であると言えます。
 風俗営業を適正化の目的別に考えますと、「性風俗的な営業」と「経済風俗的な営業」に別けることができます。「性風俗」は性の乱れに影響するものであり、「経済風俗」は市民の経済的破綻(これは7号)に影響します。そして風俗営業の規制の中身を見ますと、性的サービスも、また著しく射幸心をあおるサービスも、やってはいけないことになっています。

◇風俗営業と性風俗特殊営業の区別
 つまり、風俗営業そのものは、風俗環境を害するサービスを行ってはならないことになっていて、要するに風俗営業は健全な営業であるが、ちょっと油断すると、お店で性行為(売春など)が行われたり、景品の換金(賭博など)が行われたりと、そういった犯罪の温床になってしまう恐れが高い営業であると考えられています。これに引き換え、届出営業のうち性風俗関連特殊営業などの性風俗サービス提供営業については、はじめから営業の健全化、適正化が行政側から期待されておらず単に監視対象でしかないと考えることがでそうです。
 では届け出営業はどうかというと、性風俗サービス(居酒屋は別と考えてください)については、警察がどのようにチェックしようとも、その営業形態が法律スレスレまたは望ましくない営業になってしまいますから、行政指導によって適正な営業をさせることが非常に困難な営業と考えられています。例えば売春をさせるかさせないかは、サービス提供者のちょっとした判断とさじ加減にもよることですから。
 要するに、「こんな営業は事前にチェックしたところで焼け石に水だ、もうあきらめた」と行政にさじを投げられてしまったような営業だと言えそうです。もしファッションヘルスなどを許可制にしたらどうなるでしょうか。国家が売春宿を公認しているとか公娼制度復活だとか、いろいろ非難されてしまう恐れがあります。
 もちろんこれらも法律上は売春は行わないはず営業ですが、実際のところはなかなかそうも期待できません。そして取り締まりに限界があり、しかも本音では売春営業も必要悪であると(異論はあるでしょうけれども)考えざるをえないのも現状でしょうから、警察行政としては断固として許可制には出来ず、かといって売春を取り締まるためには野放しにするわけにもゆきません。
 ですから届け出制にして、情報だけを取り入れて、いざ売春などの違法な行為が目に余ったときには直ちに摘発できるような制度にしたとも考えられます。
許可を取らないとどうなるのか

 風営適正化法は平成18年施行法から罰則が2倍に引き上げられました。無許可で風俗営業を行うと2年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科あり)に問われます。(49条1項1号)

  警察は定期的に、または必要に応じて無許可営業をしている店舗を摘発しています。とくに平成17年頃から全国的に取締りが厳しくなっており、無許可営業店はかなり数を減らしました。
 店が摘発を受けてしまうと、お客さん達の信頼を失うことにもなりますし、無許可営業で罰金刑を受けてしまうと5年間は許可を取りたくてもとれなくなってしまいます。また、夜の商売にはトラブルが絶えませんが、いざというときに警察を頼ろうにも、無許可営業では気が引けます。

 確かに風俗営業には許可後に面倒な手続がいろいろありますし、さまざまの規制もあります。例えば定期的に管理者講習に参加したり、住所や役員の変更の際に届出をする義務がありますし、深夜0時以降の営業ができなくなるということもあります。これらの義務を怠ると行政処分や刑事罰の対象となりえますが、よほど悪質でない限りは行政処分で済むケースがほとんどです。しかし無許可営業の罪は風適法の刑罰の中でもっとも重い罪が適用されます。
 ここ2,3年はとくに無許可風俗営業の取締りが一段と強化されています。
「今までは大丈夫だった」とか「どうせバレないさ」といった甘い考えがもとで後悔しないようご注意ください。


行政書士という人々

 風俗営業許可申請の大半は行政書士が携わっているようです。行政書士は行政庁に提出する書類の代行や手続の代理を行うことが仕事で、司法書士や社会保険労務士等と同じく国家資格をもって業務を扱っています。
 行政書士の資格は幅が広く、さまざまな種類の手続を扱えることになっていますが、その一種に風俗営業許可申請という手続があります。
 風俗営業許可申請を扱う行政書士は割合としては少なく、パチンコ営業を扱えるものはさらに少ないのが実情です。
 風適法の諸手続は警察行政や風俗業界への理解がなければすすめにくいという実情があります。行政書士には専門分野を持っている人が少なくありませんが、もし風俗営業許可申請手続を依頼するのであれば風適法をよく理解した行政書士を選ぶことをおすすめします。
 決められた書類を作ることと、許可をスムーズに得るために様々の工夫やアドバイスをすることとでは根本的な違いがあります。
 もし、はじめて風俗営業に係わろうとする行政書士の方がこの文章を読んでいたとしたら、次の点に注意してください。

 
まず、その手続を取り扱ったことのある行政書士に相談できる体制を取る事です。経験なしに知識や手引きに頼って業務を行った場合、トラブルに遭遇する確率はかなり高くなると思われます。私自身も多くの先輩方に教えていただいてどうにかやってこれたものです。(先輩方には感謝しております)
 手続の手順には時間的な余裕を置けるようにしましょう。手続に慣れるまでは時間的な無駄がどうしても多くなるものです。オープンまで余裕がないとか特殊な事情が絡んでいるような場合に、あせって手続をすすめると思わぬトラブルに発展する確率が高くなります。
 また、なんでもかんでも警察署に聞いて教えてもらえばよいという考えはできれば捨てていただきたいです。まず警察にとって負担になりますし、不必要な質問をして依頼人に迷惑をかけてしまう可能性もあります。精一杯自分自身で調査検討し、必要な場合にだけ警察に相談するようにしましょう。また警察行政とのお付き合いは、手間をかけ、常に礼儀正しく、心の余裕をもって対応しましょう。
 お客さんのペースに引き込まれないよう注意しましょう。前回はこれで大丈夫だった、といった話を信じてはいけません。自分自身で裏づけをどりましょう。業界には根拠のないおかしな情報や思い込みがたくさん流れているものです。
 最後に。1年前は一昔、3年前は大昔。行政による風適法の解釈はめまぐるしく変化してゆきます。前は何も言われなかったのにどうしてそんなことを言うのか、などという発想は捨てるべきです。今は今、という発想でお願いします。

行政書士のぞみ合同事務所
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