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風営法についてやさしく解説

監督行政庁<9>

(4)刑事処分と行政処分

 風営法その他の法令を違反した時のペナルティにはおおむね2種類あります。
 一つは刑罰を課すための「刑事処分」であり、もう一つは「行政処分」です。 

◎刑事処分
  風営法の遵守事項の中には罰則が定められているものが多くあります。これらの規定に違反した時には、司法警察職員による犯罪捜査、検察官による起訴、刑事裁判という刑事訴訟法の流れに従って処理され、最終的には懲役や罰金、科料などの刑罰が科されます。殺人や窃盗などに対する処分と同様、司法が下す処分です。なお、罰則規定に違反して刑事処分を受けたからといって行政処分が課されないわけではありませんのでご注意ください。
 

◎行政処分
 行政庁が風俗営業者に許可を出し、適正に営業がなされるよう指導監督することが都道府県公安委員会の役割ですが、もし風俗営業者が法令に違反した場合には、「許可取消し」「営業停止」「指示」という3つの処分を行うことができます。行政庁によるこれら一連の行為を「行政処分」とも言います。
 行政処分の詳細は法令違反の内容によって異なり、各都道府県では警察庁が定めたモデル処分基準をもとに処分が行われます。


●風営法第8条の営業許可の取消し
 第8条では公安委員会が許可を取り消しできる場合を4つあげています。これらは風俗営業の適正化のための段階的処分ではなく、制度として許可を与えておくわけにゆかないようなケースをとりあげています。

@偽りその他不正の手段により当該許可又は承認を受けたこと。
A第四条第一項各号に掲げる者のいずれかに該当していること。
B正当な事由がないのに、当該許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと。
C3月以上所在不明であること。

 「A」の<欠格要件に該当した場合>であっても、すみやかに是正、回復することができ、かつ、現に是正、回復している場合等で、悪意がない又はごく軽微な場合を除き、許可を取り消されることがあります。
 たとえば役員就任後に、その役員が人的欠格要件に該当していたことが判明し、法人が速やかにその役員を解任する手続を始めている場合は許可取消しにならないことがあります。
 なお、平成18年5月から施行された改正法では欠格事由が拡大され、たとえば承認なしに構造設備を変更し営業するなどの行為により処罰された場合には、許可取消しになりえます。

 「B.」の規定における「正当な事由」の解釈については、「経済情勢の変化や自然災害の発生等許可を受ける時点では予測し得なかった事態が発生したこと等営業を開始できない、又は営業を休止せざるを得ないことについて合理的な理由がある場合をいう。したがって、単なる経営不振や資金入手の見込み違いにより営業の開始又は再開が見込めない場合については「正当な事由」にあたらない」とあります。

※警察庁:風俗営業許可取り消しの処分基準


●第26条の行政処分
 第26条では、業務の適正化のため、違反の程度に応じて行政処分を行います。次の場合には、公安委員会は風俗営業の許可を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができます。

@法令及び条例に違反し、しかも著しく善良の風俗もしくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全の育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき

A風営法にもとづいて行なれた公安委員会の処分に違反したとき
※風営法以外の法律に違反した場合も含まれます。
 たとえば客に対する詐欺や傷害事件等。

B公安委員会が定めた風俗営業許可の条件に違反したとき


●営業許可の取消し、営業停止、営業禁止命令、営業廃止命令
 営業をできなくするための処分は営業の種別に応じて形態と呼び方が異なります。
 風俗営業であれば「許可の取消し」がありえますが、ここではこれらの行政処分(営業停止、営業禁止命令、営業廃止命令を含めて)について「許可の取消し等」と表現します。
 法令違反があった場合でも、通常はすでに指示処分が行われ、その指示処分に従わない場合に「許可の取消し等」のが取られますが、次のような場合はただちに「許可取消し等」の処分となりえます。

@短期間に同じ違法行為を繰りかえすなど、行為が悪質な場合

A指導や警告を無視し、指示処分では改善の見込みがない場合

B指示処分の期間中に、当該指示処分には違反していないが、当該指示処分の処分事由にかかる法令違反行為と同種の法令違反行為をおこなった場合

C罰則の適用がある法令の違反で検挙され、起訴相当で送検された場合

D短期20日以上の量定に相当する処分事由にあたる違反行為の場合



警察庁が定める「モデル処分基準」では、処分の量定について、風俗営業、飲食店営業、興行場営業、特定性風俗物品販売等営業、接客業務受託営業の場合は次のとおりA〜Hに分類しています。

<風俗営業、飲食店営業、興行場営業、特定性風俗物品販売等営業、接客業務受託営業の処分の分類>

 A、風俗営業にあっては取消し。その他に会っては6ヶ月の営業停止命令
   ・名義貸し違反
   ・遊技機規制違反である遊技機についての遊技機無承認変更
   ・遊技機規制違反である遊技機についての不正承認取得
   ・営業停止命令違反

 B、40日以上6月以下の営業停止等命令。基準期間は3月
   ・上記以外の遊技機規制違反および不正承認取得
   ・広告宣伝規制違反に対する指示処分違反

 C、20日以上6月以下の営業停止等命令。基準期間40日
   ・構造設備の無承認変更及び承認の不正取得
   ・客引き禁止違反・年少者接待及び接客従事禁止違反
   ・広告宣伝規制以外の指示処分違反
   ・許可条件違反

 D、10日以上80日以下の営業停止命令。基準期間20日
   ・認定の不正取得
   ・構造設備維持義務違反・営業時間制限違反・騒音振動規制違反
   ・広告宣伝規制違反・遊技機変更届出義務違反・年少者立ち入らせ
   ・未成年者への酒類たばこ提供・現金又は賞品等提供禁止違反
   ・賞品買取禁止違反

 E、5日以上40日以下の営業停止等命令。基準期間は14日
   ・特例風俗営業者の営業所の構造設備変更届出義務違反
   ・照度規制違反・遊技料金等規制違反・遊技球持ち出し禁止違反
   ・遊技急騰保管書面発行・管理者選任義務違反
   ・従業者名簿備え付け義務違反・

 F 5日以上20日以下の営業停止等命令。基準期間7日
   ・変更届出義務違反・認定証返納義務違反・報告資料提出義務違反
   ・立入の拒否、妨害、忌避

 G、営業停止等命令を行わないもの(指示処分に限り、当該指示処分に違反した場合に当該指示処分違反を処分事由として営業停止等命令を行う。)
   ・許可証及び認定証亡失滅失届出義務違反
   ・許可証掲示義務違反・許可証書換え義務違反
   ・許可証返納義務違反・料金表示義務違反・年少者立入禁止表示義務違反
   ・管理者講習受講義務違反

 H、5日以上80日以下の営業停止等命令。基準期間は以上の基準に準じて各都道府県において定める。
    ・条例遵守事項違反



<店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業又は無店舗型電話異性紹介営業の処分の分類>

 A、8月の営業停止等命令

 B、2月以上8月以下の営業停止等命令。基準期間4月

 C、1月以上8月以下の営業停止等命令。基準期間2月

 D、20日常4月以下の営業停止等命令。基準期間1月

 E、10日以上2月以下の営業停止等命令。基準期間20日

 F、5日以上40日以下の営業停止等命令。基準期間14日



 営業停止の処分は6月を超えない範囲でなされますが、停止期間は違反行為の程度によって異なり、モデル処分基準(別表)の量定が根拠となります。詳細は下記リンク「処分の量定」の警察庁資料をご覧ください。なお「営業停止」「許可取消し」等の場合は公開の聴聞手続を経て処分がなされます。

警察庁:モデル処分基準が作成されている不利益処分一覧表(平成24年4月1日現在)



・指示
 「指示」は違反の防止及び違反状態からの改善のための措置を示すもので、営業者の自主的な努力を促すための行政処分です。改善すればそれで済んでしまうのでこれといった不利益はありませんが、特例風俗営業者の認定を受けるためには過去10年間に指示処分を含めた処分が無いことが要件とされています。「指示」は比例原則にのっとって、営業者に過大な負担を課さないように行います。また、指示の内容は、違反状態の解消のための措置、将来の違反の防止のための措置等を具体的に示すもので無ければなりません(運用解釈基準)
警察庁:風営法に基づく指示及び措置命令の基準


◎関係法令抜粋
風営法法第八条  公安委員会は、第三条第一項の許可を受けた者(第七条第一項、第七条の二第一項又は前条第一項の承認を受けた者を含む。第十一条において同じ。)について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その許可を取り消すことができる。
一  偽りその他不正の手段により当該許可又は承認を受けたこと。
二  第四条第一項各号に掲げる者のいずれかに該当していること。
三  正当な事由がないのに、当該許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと。
四  三月以上所在不明であること。

第二十五条  公安委員会は、風俗営業者又はその代理人等が、当該営業に関し、法令又はこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該風俗営業者に対し、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示をすることができる。

第二十六条  公安委員会は、風俗営業者若しくはその代理人等が当該営業に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき、又は風俗営業者がこの法律に基づく処分若しくは第三条第二項の規定に基づき付された条件に違反したときは、当該風俗営業者に対し、当該風俗営業の許可を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
2  公安委員会は、前項の規定により風俗営業(第二条第一項第四号、第七号及び第八号の営業を除く。以下この項において同じ。)の許可を取り消し、又は風俗営業の停止を命ずるときは、当該風俗営業を営む者に対し、当該施設を用いて営む飲食店営業について、六月(前項の規定により風俗営業の停止を命ずるときは、その停止の期間)を超えない範囲内で期間を定めて営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。文章を入力してください。




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