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風営法についてやさしく解説

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遊技場<5>

(2)賭博罪と風営法

 遊技場営業に対する規制には「刑法の賭博罪」を念頭に置いた部分が少なからずあります。
 賭博行為を規制するのは、「国民の射幸心をあおるのは勤労によって財産を得ようとするという健全な経済的風俗を害する」(最高裁判例昭和25年11月22日)という理由によります。
 以下は刑法のうち賭博に関係する部分です。


刑法から抜粋

  第二十三章 賭博及び富くじに関する罪

(賭博) 第百八十五条  
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

(常習賭博及び賭博場開張等図利) 第百八十六条  
常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2  賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

(富くじ発売等) 第百八十七条  
富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。
2  富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3  前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。


 さて、ここで重要なのは第185条です。
 賭博とは、「確実には予見できない事実に関して勝敗を決する方法によって財産上の利益を争う行為」であると考えられています。
 そして、後半部分で「一時の娯楽に供する物」を賭けた場合は賭博罪として罰せられないとされていますが、一時の娯楽に供する物とは、「関係者が即時娯楽のために費消するようなものをいい、ありあわせの茶菓等がこれにあたり、金銭はその多寡に関係なくこれにあたらないという解釈があります。
 ただしこの判例は大正期のものであって、現代とは物質的な豊かさの点で経済観念がかけはなれていますから、「ありあわせの茶菓等」よりは緩やかに解釈されてよいものと思います。

 一方で、日本には競馬や競艇などの公営賭博事業が存在しますが、これは経済政策的理由から特別法によって換金をともなう賭博営業が許されているものです。これらの営業は刑法35条の「正当行為」として違法性が阻却されていると解釈されています。

  刑法 第三十五条  法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

 しかし、賭博罪の処罰根拠が前述のとおり 「国民の射幸心をあおるのは勤労によって財産を得ようとするという健全な経済的風俗を害する」 ということであるなら、税収の確保といった経済政策的理由によって特別法で例外を設けることには法制度として矛盾があると考えることもできます。そのため公営賭博の収入の一部を社会福祉などの目的で寄付するなどして公共性を持たせ、公営賭博が国民の福祉に寄与しているという建前を強調しています。

 ぱちんこ営業はどうかと言いますと、刑法の特別法(例外)として換金賭博営業が合法化されているわけでなく、公共的側面を持つわけでもありませんから、少なくとも法律上の定義としての「ぱちんこ営業」はあくまで「換金や行き過ぎた賞品交換をしない健全な営利民間事業」としてしか存在できません。
 ぱちんこ営業は遊技の結果によって賞品を客に提供する営業です。
 この場合の「賞品」が刑法185条後段の「一時の娯楽に供する物」にからはずれてしまうと違法な賭博営業に近づいてしまいますから、賞品は客の多様な要望を満たすほどの多数の種類の日用生活品であって、それぞれが税抜き9600円を越えない金額であること、といったように施行規則等で規制しています。

 この規制の「程度」が刑法の「一時の娯楽に供する物」として適切かどうかについて、法律的な根拠はありませんが、国家公安委員会としてはこれでよいと考えていると推測します。
 当然ながら風営法では、賞品のかわりに現金や有価証券を提供することを禁止しているのですが、これに対して玉や賞品を営業所外で買い取るという脱法行為が横行することが予想されるため、風営法第23条では、客に提供した賞品を買い取ることや、玉やメダルの営業所外への持ち出しまでも禁止しています。
 さらに、ほとんどの都道府県条例においては、第三者による賞品の買取行為を勧誘したり援助したりすることを禁止する規定が入っています。つまり、ぱちんこ遊技場が賞品(景品)を買い取ることはもちろん、第三者に買い取らせたり、第三者による買取を援助することも違法行為にあたるということです。

 もうひとつ重要なのは、「ぱちんこ営業」を賭博犯罪から遠ざける理由となる「技術介入性」という要素です。
 賭博とは「結果を確実には予見できない方法で財産上の得失を争うこと。」であるとすると、「ある程度結果を予想できる場合」には賭博行為ではないという論法も成り立ちます。
 もしある遊技の結果について、その遊技者の技量の優劣が影響しているとすれば、技量の優劣の度合いによって結果を予見することができます。
 それは果たして「賭博であろうか」と考えてみると、「賭博であるとは言い切れない。」という問題を含んでいます。
 自由主義社会で生きている限り、人がその才能や努力によって評価され報われることを否定することはできません。
 パチンコについても、その結果に遊技者の技量が影響しているのであれば、それは賭博であると断定できないということになりえ、結果として「賭博ではない」ということとなり、賭博犯罪も成立しないことになります。
 このようにパチンコ遊技が賭博と一線を画されるために必要な要素のことを「技術介入性」とも言います。
 パチンコを「遊戯」とは言わず「遊技」と言い、風営法が「景品」と言わず「賞品」というのは、パチンコが賭博と一線を画す遊技、つまり技量で競争している遊技であるからです。
 「目押しサービス」や「手放し遊技の黙認」が問題とされるのも、風営法に違反するからと言うよりは、パチンコが本来的に「遊技」であり、技術の介入がなければ賭博になってしまうから、という理由にあります。(もしホールが意図的に細工してハンドルを固定すれば、遊技機の性能維持義務違反になりえますが)
 つまり、風営法を飛び越して「賭博罪のおそれあり」ということです。
 もちろん、一時の娯楽に供するものを賭けているにとどまっている状態では「賭博罪」は成立しないのですが、賭博罪に近づくことで、パチンコ業界の健全性を疑問視されることともなるわけですから、こういった行為は行ってはならないということになるわけです。
 最後に、一般的にパチンコ店では賞品ではなく「景品」という言葉を使うことが多いですが、「景品」には<余計についてくるオマケ>という意味があるのに対し、「賞品」という言葉には遊技の結果に応じて与えられているという意味があり、風営法では意識して使い分けています。
 客の来店に対応して提供される物品については「景品」と言い、賞品とは別の存在として扱われていますか、この点は紛らわしいので、用語の使い方として今後厳密に区別されるようになるべきでしょう。


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