著作権の基本その6

 利用制限の例外

ここまでの部分は「著作権があるから勝手に利用しないように」という説明が多かったですが、ここでは利用制限の例外にあたる部分を見てみましょう。

法律は「原則」と「例外」の二段構えで考えてゆくことをおすすめします。

著作物利用の範囲図解

私的使用の場合(著作権法第30条)

~家庭内など限られた範囲で自分が利用するために自分が複製する場合。

著作物の無断複製であっても、著作権法30条に定める<私的使用の範囲内>での複製は違法ではありません。たとえば、音楽CDをテープに録音することは、自分で聞く分には問題ないのです。

しかし、会社の会議で新聞のコピーを資料として配布したり、カラオケ教室で練習用に音楽をダビングして生徒に渡すなどは、私的使用の範囲を超えているとされます。

私的使用のための複製は違法ではないという規定が作られた理由には、著作権者の利益に大きな影響を与えないこと、複製の許諾や料金の徴収が煩雑であること、家庭内に法律を持ち込むことへの抵抗など、いろいろ考えられます。第31条(2012年10月1日現在)

デジタル時代が到来し、家庭用複製機器が登場したことで、家庭内での私的複製をどのように制限するかという問題が、著作権者の利害に大きく影響するようになっています。※映画館等における映画の録音録画の禁止「映画の盗撮の防止に関する法律」が平成19年に施行されています。映画館での映画の盗撮を規制するための法律です。

この法律によって、映画館等で映画の録音・録画を行うことは、たとえ私的な利用目的であったとしても、著作権法第30条に規定する私的使用の適用を受けられないこととなりました。

よって、無断で映画の盗撮をした場合は著作権侵害であり刑事罰の対象となります。
なお、この規定は日本国内における最初の有料上映後8月を経過した映画については適用されません。

著作権法第三十条

1.著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

2.公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

3.技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

4.著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合

2  私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

以上

 

違法コンテンツのダウンロードの禁止化

2009年に成立した改正著作権法により、私的使用の範囲が一部縮小しました。
改正前には、違法にアップロードされたコンテンツをダウンロードしたうえ複製した場合でも、「私的使用」にあたる複製であれば著作権法に違反しませんでした。
しかし改正後は、

①著作権を侵害する自動公衆送信を受信して入手した著作物を
②その事実を知りながら
③デジタル方式で録音録画(つまり音楽・写真・映像などが対象)すること

が私的使用にあたらない行為となるので、著作権を侵害することとなりました。
ただし、この行為について当初は刑事罰が科されていませんでした(差し止めや損害賠償などの追及はできた)が、2012年10月1日以降は刑事罰の適用対象となりました。

 

違法ダウンロードの録音録画の禁止化(2012年10月1日施行)

2012年10月1日から、著作権法第119条に刑事罰が追加されました。次の全ての要件に該当した場合は刑事罰の適用があります。

 

  • 私的使用の目的をもって、
  • 有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信 を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、

※ 「有償著作物等」とは、録音され、又は録画された著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像であって、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいいます。

  • 自らその事実を知りながら行って、

※ 「有償著作物等」であることと「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信」であること知っていたにもかかわらず、という意味です。

  • 著作権又は著作隣接権を侵害した者は、

2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされました。上記の要件の一つでも満たさない場合には著作権又は著作隣接権の侵害に問われません。
なお、この違反行為は親告罪とされているので、著作権者等からの告訴がなければ刑事責任は問われないこととなります。

著作権法第119条第3項(新設:2012年10月1日より施行)

第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

☆2013年1月1日から改正著作権法が施行されました。主な改正内容は以下のとおりです。

  • いわゆる「写り込み」(付随対象著作物の利用)等に係る規定の整備
  • 国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信等に係る規定の整備
  • 著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備

詳細は文化庁サイト(平成24年通常国会 著作権法改正について)をご覧ください。

 

図書館における複製(著作権法第31条)

図書館においては、調査研究や資料の保存の必要がある場合、新たな入手が困難な著作物の場合は複製することができます。また、調査研究目的であれば著作物の一部分のみを図書館利用者1人について1部まで提供することも許されます。

2010年から改正法が施行され、図書館等において可能な複製の範囲が拡大されます。

著作権法第31条

図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。

一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合三 他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合

二 図書館資料の保存のため必要がある場合

 

※図書館等が複製サービスをする際の注意事項

(1) 複製行為の主体が図書館等であること。
(2) 複製行為が営利を目的とした事業でないこと。
(3) 図書館等が所蔵している資料を用いて複製すること。
(4) コピーサービスの場合には,利用者の求めに応じ,利用者の調査研究の目的のために,公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過し,通常の販売経路による入手が困難となった定期刊行物に掲載された一つの著作物についてはその全部も可)を一人につき1部提供するための複製であること。
(5) 所蔵資料の保存のための複製の場合には,汚損の激しい資料等の複製に限ること
(6) 他の図書館への提供のための複製の場合には,絶版等一般に入手することが困難である資料の複製を求められたものであること

正当な引用の場合 (32条)

~引用とは、紹介、参照、論評などの目的で他人の著作物を自分の著作物の一部に組み入れて利用することです。公正な慣行に合致し、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行うことができます。
引用できる場合については、いろいろな解釈があってあいまいなために、トラブルに発展しやすいのでご注意ください。

※引用する際に注意すべきポイントとして以下の点にご注意ください。
(1)公表されている著作物であること
(2)公正な慣行に合致すること
(3)報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること
(4) 他人の著作物を引用する必然性があること。
(5) かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(6) 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(7) 出所の明示がなされていること。(第48条)

(引用) 第32条

1.国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

2.公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

 

教科書(著作権法第33条)

学校が授業で使う教科書に載せる写真や文章などは、著作権者の許諾を必要としません。塾や予備校で使うテキストや参考書はもちろん該当しません。但し許諾が要らないと言っても、それ相当の使用料を支払わなければなりません。

第33条  公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書(小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校その他これらに準ずる学校における教育の用に供される児童用又は生徒用の図書であつて、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するものをいう。)に掲載することができる。

2  前項の規定により著作物を教科用図書に掲載する者は、その旨を著作者に通知するとともに、同項の規定の趣旨、著作物の種類及び用途、通常の使用料の額その他の事情を考慮して文化庁長官が毎年定める額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

3  文化庁長官は、前項の定めをしたときは、これを官報で告示する。

4  前三項の規定は、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)の通信教育用学習図書及び第一項の教科用図書に係る教師用指導書(当該教科用図書を発行する者の発行に係るものに限る。)への著作物の掲載について準用する。

 

学校教育番組の放送等(著作権法第34条)

教科書と同様、NHKの教育番組などで著作物を利用する場合、相当の使用料を払えは許諾がなくとも利用できます。

第34条 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組又は有線放送番組において放送し、又は有線放送し、及び当該放送番組用又は有線放送番組用の教材に掲載することができる。

2 前項の規定により著作物を利用する者は、その旨を著作者に通知するとともに、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 

教育機関における複製(著作権法第35条)

学校などで授業に使う資料などは、必要な範囲内で無許諾でコピーや公衆送信ができます。ただし、使用料を払わないのですから、著作権者に余りに不利益になるような(例えば余りに大量の複製など)使用はできません。

第35条

1 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2  公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

 

試験問題としての複製(著作権法第36条)

入学試験、資格試験、入社試験など、学識技能に関する試験において著作物(主に論説や文章)を利用できます。ただし、営利目的の場合(入社試験や塾のテストなど)は相当の金額を支払わなければなりません。社団法人日本文芸家協会からは、作品の不改変、出店の記載、著作権者への試験問題の提示などが要求されています。

第36条
1 公表された著作物は、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製することができる。

2 営利を目的として前項の複製を行なう者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 

点字による複製等(著作権法第37条)

目が不自由な人たちに対する福祉のため、著作物を点字にして複製することができます。ただし、点字図書館など福祉施設において許されますので、一般の図書館では許諾を要します。

第37条

1  公表された著作物は、点字により複製することができる。

2 公表された著作物については、電子計算機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。)を行うことができる。

3 点字図書館その他の視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するために、公表された著作物を録音することができる。

 

聴覚障害者のための自動公衆送信(著作権法第第37条)

リアルタイム字幕の利用促進

第37条の2 聴覚障害者の福祉の増進を目的とする事業を行う者で政令で定めるものは、放送され、又は有線放送される著作物について、専ら聴覚障害者の用に供するために、当該著作物に係る音声を文字にしてする自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。

 

非営利目的の上演・演奏(著作権法第38条)

①営利を目的とせず、報酬も支払われない場合に、著作物(例えば音楽や映画など)を上演、演奏、上映、口述する場合は許諾を要しません。ボランティアであっても参加費を取ったり、実演者に報酬を払ったりするときは許諾が必要になります。 喫茶店などで市販CDの曲を放送することは演奏権者の許諾を要します。(38条1項)

②非営利かつ無償で、著作物を有線放送する場合(38条2項)

③非営利かつ無償で、放送される著作物を受信装置を利用して見せたり聞かせたりする場合。および、放送される著作物を家庭用受信装置で、営利目的や有償での利用を含めて見せたり聞かせたりする場合(38条3項)

④非営利無償で複製物を貸与する場合(38条4項) 但し、映画の著作物に適用なし

⑤特定の非営利視聴覚施設等で映画の著作物を無償で貸与する場合(38条5項)

第38条
1 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

2 放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、有線放送することができる。

3 放送され、又は有線放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。

4 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。

5 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。

時事問題の論説の転載等(著作権法第39条)

新聞、雑誌に掲載された時事問題に関する論説は、その利用を禁止する旨の表示がない限り、他の新聞や雑誌に転載したり放送したりしても著作権を侵害したことにはなりません。報道の目的上やむをえないと考えられるからです。
よって、学術的な性質を有する論説のように政治に関係が無い論説についてはこの限りではないとされています。
なお新聞業界では論説に執筆者の署名が掲載されている場合は転載等禁止の意味を示すという慣行があるそうです。
なお、この規定に従って転載等を行った場合でも出所表示等に配慮する必要はあります。

(時事問題に関する論説の転載等)

第三十九条

新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説(学術的な性質を有するものを除く。)は、他の新聞紙若しくは雑誌に転載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

2  前項の規定により放送され、若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される論説は、受信装置を用いて公に伝達することができる。

政治上の演説等の利用(著作権法第40条)

公開の場で行われた政治上の演説や陳述、裁判手続で公開された陳述は、その著作者による陳述をまとめて編集しない限りは、どのように利用しても著作権を侵害しません。これは陳述者が自身の陳述等をとりまとめて出版などする機会を奪わないための配慮と思われます。
また、議会等で公開して行われた演説や陳述は、報道の目的上正当と認められる場合には、たとえ政治上の目的での演説や陳述でなくとも新聞や雑誌に掲載したり、放送又は有線放送(自動公衆送信を含まない)したりすることができます。

(政治上の演説等の利用)
著作権法第第四十条

公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行う審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条第一項において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
2  国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
3  前項の規定により放送され、若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される演説又は陳述は、受信装置を用いて公に伝達することができる。

 

時事報道目的の利用(著作権法第41条)

時事事件を報道する場合には、その事件に関連する著作物を、報道の目的上正当な範囲内において複製などすることができます。第41条 写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。

 

裁判手続きにおける複製(著作権法第42条)

裁判手続きのため必要な場合、立法行政の目的で内部資料として必要な場合は、複製できます。第42条 著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

第42条の2

行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関は、行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により著作物を公衆に提供し、又は提示することを目的とする場合には、それぞれ行政機関情報公開法第十四条第一項(同項の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法、独立行政法人等情報公開法第十五条第一項に規定する方法(同項の規定に基づき当該独立行政法人等が定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項の規定に基づく政令で定める方法以外のものを除く。)を含む。)又は情報公開条例で定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項(同項の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法以外のものを除く。)により開示するために必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。

情報公開法等における開示のための利用

情報公開法等の規定により著作物を公衆に提供又は提示する必要がある場合には、情報公開法等で定める方法により著作物を必要な限度で利用しても著作権を侵害しません。

(行政機関情報公開法 等による開示のための利用)
著作権法第第四十二条の二  行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人は、行政機関情報公開法 、独立行政法人等情報公開法 又は情報公開条例の規定により著作物を公衆に提供し、又は提示することを目的とする場合には、それぞれ行政機関情報公開法第十四条第一項 (同項 の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法、独立行政法人等情報公開法第十五条第一項 に規定する方法(同項 の規定に基づき当該独立行政法人等が定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項 の規定に基づく政令で定める方法以外のものを除く。)を含む。)又は情報公開条例で定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項 (同項 の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法以外のものを除く。)により開示するために必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。

 

放送のための一時的固定(著作権法第44条)

テレビ局などが権利者の許諾を得て撮影した映像を放送する場合、編集のために録音や録画をしますが、そのたびにいちいち許諾を撮っていたのでは仕事になりません。そこで、放送のため一時的に録音録画をする場合には許諾を要しないことになっています。しかし、録音録画したものは6ヶ月以上保存してはなりません。これをチェックする手立てがあるのか疑問ではありますが。

著作権法第第44条
放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく放送することができる著作物を、自己の放送のために、自己の手段又は当該著作物を同じく放送することができる他の放送事業者の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。

2 有線放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく有線放送することができる著作物を、自己の有線放送(放送を受信して行うものを除く。)のために、自己の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。

3 前二項の規定により作成された録音物又は録画物は、録音又は録画の後六月(その期間内に当該録音物又は録画物を用いてする放送又は有線放送があつたときは、その放送又は有線放送の後六月)を超えて保存することができない。ただし、政令で定めるところにより公的な記録保存所において保存する場合は、この限りでない。

 

美術の著作物の所有者による展示(著作権法第45条)

美術の著作物と写真の著作物の原作品の所有者や、その所有者から同意を得た人は、著作権者の許諾がなくともその原作品を公に展示することができます。しかし、美術の著作物については、街路や公園など一般公衆に見える場所に設置することはできません。ホームページ掲載など複製を伴う利用もできないと考えられます。

著作権法第45条 美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる。

2 前項の規定は、美術の著作物の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には、適用しない。

 

公開の美術の著作物等の利用(著作権法第46条)

美術の著作物で公園などの屋外の場所に設置されているもの(銅像や看板など)や、建築の著作物は、彫刻・建築物の複製、屋外設置の目的での複製、販売目的での複製、の場合を除き、複製をすることができます。街の銅像や看板を写真に撮ってホームページで掲載することは無許諾でできます。 営利目的の場合は許諾が必要ですが、景色の一部分として見える場合などは無許諾で利用できると考えられます(例えば風景写真に写った看板などは無許諾でも営利利用できる)。

※公開の美術の著作物等の利用であっても以下の場合は許諾が必要です。
(1) 彫刻を彫刻として増製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(2) 建築の著作物を建築として複製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(3) 屋外に恒常的に設置するために複製すること。
(4) もっぱら販売目的で美術の著作物を複製し,又はそれを販売すること。

著作権法第第46条 美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

一 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合

二 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合

三 前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合

四 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合

展覧会のカタログ等への掲載 (著作権法第47条)

展覧会で展示出品物をパンフレットなどに掲載することは無許諾でできます。余りに立派なパンフレットを作ってしまうと、それだけで画集と同じような価値をもつことになるので適用外となります。

第47条 美術の著作物又は写真の著作物の原作品により、第二十五条に規定する権利を害することなく、これらの著作物を公に展示する者は、観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子にこれらの著作物を掲載することができる

 

美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等

 美術作品の原物や複製物を所有している人がネットオークションなどで売却をしたい場合に、その申出のために必要な限度で作品画像をWEB上にアップロードしても著作権を侵害ないという規定です。
但し、それらの行為によって第三者が作品をさらにコピーしたりアップロードしたりすると著作権者に不当に損失を与えてしまうので、そういった行為を抑制するために政令で定める一定の措置をとらなければなりません。

美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)
法第第四十七条の二
美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が、第二十六条の二第一項又は第二十六条の三に規定する権利を害することなく、その原作品又は複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合には、当該権原を有する者又はその委託を受けた者は、その申出の用に供するため、これらの著作物について、複製又は公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)(当該複製により作成される複製物を用いて行うこれらの著作物の複製又は当該公衆送信を受信して行うこれらの著作物の複製を防止し、又は抑止するための措置その他の著作権者の利益を不当に害しないための措置として政令で定める措置を講じて行うものに限る。)を行うことができる。

 

プログラム著作物の複製物の所有者による複製

適法に手に入れたプログラムの複製物を所有する人は、自分が使用するために必要な範囲内で複製したり翻案したりできます。例えば、データの破損に備えたバックアップ(複製)や、バージョンアップ(翻案)などです。あくまでも適法に入手されたものに限るので、違法な複製された複製物は適用外です。また、他人から借りたプログラムの適用外です。 このプログラムの所有権を滅失以外の何らかの理由で失った場合には、改めて著作権者からの許諾を得ない限り、複製・翻案したものの全てを廃棄しなければなりません。

(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
著作権法第第四十七条の三  プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。
2  前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなつた後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。

保守・修理等のための一時的複製

記録媒体が内蔵された複製機器の保守又は修理の際に複製機器を交換する場合には、記録媒体に複製されている著作物を一時的に別の媒体に複製し、修理の後に当該機器の記録媒体に改めて複製することができます。
ただし、修理を終えた後は一時的に別の媒体に複製した著作物を廃棄しなければなりません。

(保守、修理等のための一時的複製)
著作権法第第四十七条の四  記録媒体内蔵複製機器(複製の機能を有する機器であつて、その複製を機器に内蔵する記録媒体(以下この条において「内蔵記録媒体」という。)に記録して行うものをいう。次項において同じ。)の保守又は修理を行う場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録することができる。
2  記録媒体内蔵複製機器に製造上の欠陥又は販売に至るまでの過程において生じた故障があるためこれを同種の機器と交換する場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同種の機器の内蔵記録媒体に記録することができる。
3  前二項の規定により内蔵記録媒体以外の記録媒体に著作物を記録した者は、これらの規定による保守若しくは修理又は交換の後には、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物を保存してはならない。

送信の障害の防止等のための複製

(送信の障害の防止等のための複製)
著作権法第第四十七条の五
自動公衆送信装置等(自動公衆送信装置及び特定送信装置(電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち特定送信(自動公衆送信以外の無線通信又は有線電気通信の送信で政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の用に供する部分(第一号において「特定送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報の特定送信をする機能を有する装置をいう。)をいう。以下この条において同じ。)を他人の自動公衆送信等(自動公衆送信及び特定送信をいう。以下この条において同じ。)の用に供することを業として行う者は、次の各号に掲げる目的上必要と認められる限度において、当該自動公衆送信装置等により送信可能化等(送信可能化及び特定送信をし得るようにするための行為で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)がされた著作物を、当該各号に定める記録媒体に記録することができる。

一 自動公衆送信等の求めが当該自動公衆送信装置等に集中することによる送信の遅滞又は当該自動公衆送信装置等の故障による送信の障害を防止すること

当該送信可能化等に係る公衆送信用記録媒体等(公衆送信用記録媒体及び特定送信用記録媒体をいう。次号において同じ。)以外の記録媒体であつて、当該送信可能化等に係る自動公衆送信等の用に供するためのもの

二 当該送信可能化等に係る公衆送信用記録媒体等に記録された当該著作物の複製物が滅失し、又は毀損した場合の復旧の用に供すること

当該公衆送信用記録媒体等以外の記録媒体(公衆送信用記録媒体等であるものを除く。)

2 自動公衆送信装置等を他人の自動公衆送信等の用に供することを業として行う者は、送信可能化等がされた著作物(当該自動公衆送信装置等により送信可能化等がされたものを除く。)の自動公衆送信等を中継するための送信を行う場合には、当該送信後に行われる当該著作物の自動公衆送信等を中継するための送信を効率的に行うために必要と認められる限度において、当該著作物を当該自動公衆送信装置等の記録媒体のうち当該送信の用に供する部分に記録することができる。

3 次の各号に掲げる者は、当該各号に定めるときは、その後は、当該各号に規定する規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を保存してはならない。
一 第一項(第一号に係る部分に限る。)又は前項の規定により著作物を記録媒体に記録した者これらの規定に定める目的のため当該複製物を保存する必要がなくなつたと認められるとき、又は当該著作物に係る送信可能化等が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化等にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知つたとき。
二 第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により著作物を記録媒体に記録した者同号に掲げる目的のため当該複製物を保存する必要がなくなつたと認められるとき。

送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等

(送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等)
第四十七条の六公衆からの求めに応じ、送信可能化された情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。以下この条において同じ。)を検索し、及びその結果を提供することを業として行う者(当該事業の一部を行う者を含み、送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、当該検索及びその結果の提供を行うために必要と認められる限度において、送信可能化された著作物(当該著作物に係る自動公衆送信について受信者を識別するための情報の入力を求めることその他の受信を制限するための手段が講じられている場合にあつては、当該自動公衆送信の受信について当該手段を講じた者の承諾を得たものに限る。)について、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行い、及び公衆からの求めに応じ、当該求めに関する送信可能化された情報に係る送信元識別符号の提供と併せて、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物(当該著作物に係る当該二次的著作物の複製物を含む。以下この条において「検索結果提供用記録」という。)のうち当該送信元識別符号に係るものを用いて自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該検索結果提供用記録に係る著作物に係る送信可能化が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知つたときは、その後は、当該検索結果提供用記録を用いた自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行つてはならない。

情報解析のための複製等

(情報解析のための複製等)
第四十七条の七著作物は、電子計算機による情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の統計的な解析を行うことをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とする場合には、必要と認められる限度において、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行うことができる。ただし、情報解析を行う者の用に供するために作成されたデータベースの著作物については、この限りでない。

電子計算機における著作物の利用に伴う複製

(電子計算機における著作物の利用に伴う複製)
第四十七条の八電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合(これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合に限る。)には、当該著作物は、これ
らの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。

 

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