著作権の基本その3

著作物について

 

著作物とはなんだろう?

著作権法にはいろいろなルールがありますが、それらはもっぱら著作物(著作者が作った表現)の利用に関係することです。 著作物とは何かということについて著作権法では次のように書いてあります。

著作権法の著作物の定義
著作思想又は感情を創作的に表現したものであつて、
文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

簡単に言うと「思想・感情を創作的に表現したもの」となります。
思ったことや感じたことを個性的に表現すれば、その表現が「著作物」であり、著作物には著作権のほかいろいろな権利が生まれます。
著作権法は「こういうものは著作物になることがありますよ」という意味で以下のような例示をしています。

著作権法第10条抜粋

この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。 

一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物 

二 音楽の著作物 

三 舞踊又は無言劇の著作物 

四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物 

五 建築の著作物 

六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物 

七 映画の著作物   

八 写真の著作物   

九 プログラムの著作物

 

レシピは著作物?

次のレシピは著作物でしょうか?

例その1 「かにサラダ」サラダカニ(殻つき) 640g
ゆで卵 2コ
レタス 4枚
ブロッコリー 200g
レモン 適量
ドレッシング 適量

著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」ですが、このレシピでは材料の種類と分量がありふれた方法で表現されているだけです。
思想や感情が見当たりませんし、創作的(個性的)な表現もなさそうです。
このようなレシピは著作物とは言いがたいところです。では次のレシピを見てみましょう。

例その2 ☆かにサラダCOZYオリジナル
カニ(殻つき) 640g  タラバが欲しいけど、なければ缶詰でガマン。
ゆで卵 2コ  黄身が少しくずれるくらいのやわらか加減が大事。
レタス数枚  切るよりちぎっちゃいましょう。横長が食べやすい。
ブロッコリー 200g  ビタミンCがもったいないからレンジでチンがよし。
レモン 適量  風味がいいユズなどもオススメ。
ドレッシング 適量 ゴマ風味よりもシソかノンオイルがよろし。
夏は冷やしそーめんと一緒にどうぞ。たったこれだけ。

このレシピを全体としてみると、「思想・感情」が含まれているようにもみえますし、表現の仕方にも少し個性が感じられます。断定はできませんが著作物であると認めてあげたいところです。しかし、人によって意見は異なるでしょう。

このように著作物かどうかの判断は、その表現を見た人の感じ方で意見が分かれてしまうことがあり、とても微妙な問題になることがあります。

このようなときには、「文化の発展のために保護されるべき表現かどうか」という点で考えてみてはどうでしょう。つまり、その表現が誰かに独占されることによって文化が発展するのであれば、保護したすべきではないかと思うのです。

 

著作物は表現なのです

著作権トラブルの多くは、ある表現が著作物かどうかという点にかかってきます。
たとえば、次のような文章表現は著作物でしょうか?

A 「○田太郎氏 年月日死去  葬儀告別式は何月何日 築地本願寺にて
故人は東京都生まれ 元野球選手 解説者 享年70歳 」 

B 何月何日 横浜球場 横浜 × 巨人 2対0
(勝)山田15試合8勝3敗 (敗)田中15試合8勝5敗 

AとBを見たところ、いずれも事実をありふれた方法で表現していて、創作性が欠けると思われるので、著作物にはあたらないと考えるべきでしょう。 このようなありふれた表現について利用が制限されてしまうと、文化の発展に良い影響を与えないばかりか、表現の自由が不当に制限されて困ったことになるかもしれません。

 

創作的である とは?

松尾芭蕉

①月曜日、きょうも一日がんばろう

②若いときの苦労は買ってでもしろ

③五月雨やあつめてはやし最上川

これらは五七五の句で表現されていますが著作物だと言えるでしょうか。
思想感情を創作的に表現したものが著作物です。

①②③のいずれも思想感情を表現したものではありますが、①と②については「創作的」であるとは思えません。

創作的であるということは、その作者の個性がうかがえるということです。

③は松尾芭蕉の俳句ですがいかがでしょう。さすがに芭蕉ですから、芭蕉らしさというものが短い語句の中で表現されていると考えれば著作物であるし、芭蕉らしさが感じられないなら著作物ではないというふうに考えられますが、私としては著作物として認めたいと思っています。

かといって俳句はみな著作物であるということではありません。同じ五七五の表現をとっていても、創作性のあるものと無いものとに分かれます。創作性の有無も非常に難しい判断になることがありますが、ひとつご注意いただきたいことがあります。

というのは、著作権法として著作物にあたらないなら、無断で利用しても問題にならないと考えることがありますが、法律は著作権法だけではないし、仮に法律的に問題がないとしても、それで世間から非難を受けたりトラブルに発展しないとは限りません。

有名なタレントさんが川柳を芸のネタとして使った際に、著作権侵害ではなく「パクリ」という名目でマスコミからたたかれたことがありました。
著作権法の基準がすべてにおいてあてはまるとは限りませんし、世間はとかく誤解しやすいものです。

法律だけでなく、「人としてどうか」、「世間はどうみるか」という視点も含めて判断していただきたいと思います。

 

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