著作権侵害の刑事責任

刑事罰

刑法という法律の中で、「こういう悪いことをした人に対しては、国家がこういう刑罰を与える。」と書いてあります。その「悪いこと」を犯罪と言います。

日本の刑法では、犯罪に対する刑罰として「死刑、懲役、罰金」などがあります。

例えば、人の財物を盗んだ人は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という刑罰が与えられることになっています。

人に対して刑事罰を与えるためには、警察や検察などの犯罪捜査機関が裁判手続きのルールに従って証拠を集め、裁判において有罪判決を得る必要があります。

 

著作権を侵害することは犯罪

著作権法では、著作権などの権利を侵害することについて刑事罰が定められています。
著作権法違反で刑事罰が課されることは実際にはあまり多くありません。音楽CDの違法コピーや営利目的のデータアップロードなど、とくに悪質なケースが対象になることが多いようです。
しかし最近では営利性が薄いケースでも摘発される事例がでており、社会的に影響の大きいケースでは見せしめとしてニュース報道されることもあります。今後、刑事罰が適用される範囲は広がってゆくでしょう。

主な罰則は次のとおりです。

◎その1 <119条> 
1、著作者人格権、著作権、出版権、著作隣接権を侵害すること
2、著作権法違反となるようなコピーをするために自動複製機器(コピー機)を使わせること

・この場合の罰則は 5年以下の懲役又は500万円以下の罰金

※ ただし親告罪です。

※ 罰則につき法改正あり(後述)

 

◎その2 <120条>

1、著作者が亡くなったあとで、著作者が生きていたら許さないような人格権の侵害をすること
・この場合は 500万円以下の罰金

◎その3 <120条の2> 

1、技術的保護手段(コピープロテクト)を不能にするプログラムを譲渡したり世に広めること

2、コピープロテクトを不能にする業務をおこなうこと
・この場合は 500万円以下の罰金

◎その4 <121条>

1、真実と異なる著作者名を表示して著作物の複製物を頒布すること
・この場合は 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
※ ただし親告罪です。

◎その5 <122条>

1、著作物や実演の利用(48条で定める場合)に際し、著作物の出所明示義務に違反するとき
・この場合は 50万円以下の罰金

 

◎法人の違反行為 <124条>
これらの違反行為を法人代表者や、法人または個人の代理人・使用人・従業員がその業務に関して行った場合は、その行為者だけでなく、雇っている法人・個人に対しても罰則の適用があります。

 

◎著作権法改正(平成19年施行)について

著作権等(著作者人格権等を含みません)侵害罪の懲役刑及び罰金刑、並びに秘密保持命令違反罪の法人処罰に係る罰金刑の上限について、特許法等と同様の水準に引き上げられました。(第119条第1項及び第124条関係)

(懲役刑) 5年以下の懲役 → 10年以下の懲役(罰金刑) 個人 : 500万円以下の罰金 → 1,000万円以下の罰金
法人 : 1億5,000万円以下の罰金 → 3億円以下の罰金

※平成19年7月1日施行改正著作権法について(文化庁)

 

関係法令

著作権法
第八章 罰則

第百十九条  著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第三項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二  営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
三  第百十三条第一項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四  第百十三条第二項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者

第百二十条  第六十条又は第百一条の三の規定に違反した者は、五百万円以下の罰金に処する。

第百二十条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化した者
二  業として公衆からの求めに応じて技術的保護手段の回避を行つた者
三  営利を目的として、第百十三条第三項の規定により著作者人格権、著作権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四  営利を目的として、第百十三条第五項の規定により著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者

第百二十一条  著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第百二十一条の二  次の各号に掲げる商業用レコード(当該商業用レコードの複製物(二以上の段階にわたる複製に係る複製物を含む。)を含む。)を商業用レコードとして複製し、その複製物を頒布し、又はその複製物を頒布の目的をもつて所持した者(当該各号の原盤に音を最初に固定した日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した後において当該複製、頒布又は所持を行つた者を除く。)は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  国内において商業用レコードの製作を業とする者が、レコード製作者からそのレコード(第八条各号のいずれかに該当するものを除く。)の原盤の提供を受けて製作した商業用レコード
二  国外において商業用レコードの製作を業とする者が、実演家等保護条約の締約国の国民、世界貿易機関の加盟国の国民又はレコード保護条約の締約国の国民(当該締約国の法令に基づいて設立された法人及び当該締約国に主たる事務所を有する法人を含む。)であるレコード製作者からそのレコード(第八条各号のいずれかに該当するものを除く。)の原盤の提供を受けて製作した商業用レコード

第百二十二条  第四十八条又は第百二条第二項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

第百二十二条の二  秘密保持命令に違反した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2  前項の罪は、国外において同項の罪を犯した者にも適用する。