童話続編 その5

もしも、お金が必要になったら ~ 著作権は財産権

ある日、ダルマロの店に作家のポーロさんがやってきました。

 「ダルマロさん、お願いがあります。じつは私が持っている著作権を買ってほしいのです。」

 ダルマロは、著作権を売り買いするということを考えたことがありませんでした。

 「著作権を買ったことなんかないよ。どうして権利を売りたいんだい?」

 「実は私の母が病気で、高い薬を買わなければならないのです。」童話の挿絵 ダルマロに会いに来たポーロさん

「著作権を買うということは、ポーロさんの小説を私が好き勝手に印刷したり利用したりすることができるということですな。」

(ちょうどポーロさんの小説を外国で出版する話があったんだ。ふふふ、これでまたもうけてやろう・・・)

ダルマロはニヤリと笑って、

「仕方がない。では、ポーロさんの著作権を買ってさしあげましょう。あまりお金はだせないけどね・・・。」

 そこへランジェロがやってきました。

 「ポーロさん、著作権を売ったらもったいないですよ。あなたの作品は人気がありますから、これからうんと売れて、利益になるかもしれないんです。著作権を担保(たんぽ)にだしてくださるなら、私がお金をお貸ししましょう。」

 ポーロさんは

「えっ、お金を貸してくれるんですか? それができるならその方が・・・・」

と喜びました。

 しかしダルマロは気に食わない様子で、(ちぇっ、またランジェロが余計なことを・・・・。) と思いましたが、担保という言葉を始めて聞いたので、よく意味がわかりませんでした。

「ランジェロ、その担保というのはなんなんだね。」

 「ああ、担保というのは、もしポーロさんがお金を返せなくなったときに、お金の代わりに私が受け取るものです。つまり、もしポーロさんがお金を返せなくなっても、私が担保である著作権をゆずりうければよいのです。」

童話の挿絵 教会の建物「それじゃ、お金を貸すほうは、お金が無事に戻ってきたら、ちっとも良いことがないじゃないか。ランジェロはおひとよしだなあ。」
とダルマロが言うと、ポーロさんは

 「私が借りるお金には利息をつけてください。1年間に5パーセントの割合で利息を払いますよ。そうでないとランジェロさんにもうしわけないです。」
と言いました。

「ポーロさん、お気づかいありがとう。」
ランジェロはダルマロの方を向くと、

 「小説が売れればお金は返すことができるはずです。ダルマロさん、がんばってポーロさんの小説を売ってあげてくださいね。」

 またランジェロに一本とられてしまったと思い、ダルマロはがっかりしました。

 おわり

 

童話続編 その6 もしも、未公表の作品を公表してしまうと ~ 公表権>へ


著作権は財産権

15-A 財産にはどのようなものがありますか? お金、家、車、それから・・・

15-B 信用とはなんでしょう。

 


◎ヒント

財産権とは何か。社会人向けの研修でよく取り上げるテーマです。

権力と権利の存在意義を考えるうえで、ちょうどよいテーマだからです。

「信用」も重要です。

著作物という財産が、その人の才能と努力によって無限に作り出せるように、信用も人が作り出せる財産です。

さて、「信用は財産」。この意味がおわかりですか。信用があったら、何ができるかを考えてください。

逆に、信用がなかったらでしょう。

最近は、「信用なんかいらない」という人が増えているような気がしますが、その人は将来、取り返しのつかない後悔をしなければよいのですが。

もし、信用が財産ならば、私たちはどのように信用を得るのか。子どもたちはどう考えるのか。

お金儲けのためだけに他人の努力をパクるような人を、私は信用しません。

コンプライアンスは生き方です。そして、お金だけが財産ではないということまで考えていただけたら、とてもうれしく思います。

☆著作権の基本その1 知的財産とは何だろう