童話続編 その4

もしも、音楽を演奏するときは ~ 演奏権

ある日、ダルマロが町を歩いていると、美しい歌声が聞こえてきました。

 「おお、なんとすばらしいひびきだろう。」
と思ってその声の主をさがすと、広場に人だかりができていて、その中でかわいい少女が一人で立って歌っています。童話の挿絵 歌うソフィアをとりまく人々

 すばらしい歌声だ。曲もなかなかのものだな。あれ、この曲、どこかで聴いたような・・・。
と思いましたが、とにかく美しい音色に引かれてたくさんの人が集まっています。

 (よし思いついた。これでひともうけしてやろう・・・)

  また悪いくせが出たようです。ダルマロはその少女に話しかけました。

 「君の歌声にはまったくほれぼれしたよ。私はダルマロという者なんだが、どうだろう、今度私が主催する音楽会で歌ってもらえないかな。いや、お金はちゃんと払ってあげるよ。」

 こうしてそのソフィアという名の少女と約束すると、ダルマロは急いで準備にとりかかりました。
(うふふ、こうして大勢の客を呼べば入場料がたくさんとれるぞ・・・)

 思ったとおり、音楽会の日にはたくさんの人が集まって、少女の歌が終わると大きなはくしゅがわき起こりました。

 ダルマロはニコニコしながら、その日集まった音楽会の入場料金を数えていました。
するとそこへ、ランジェロがソフィアを連れて現れました。
ランジェロは腕を組んで言いました。 童話の挿絵 ソフィアの歌声

「ねえ、ダルマロさん。そのお金をどうするんです。まさか独り占めじゃあないですよね。」

 「え、ええ? ああ、ランジェロくん、君にはいくらあげようか。」

「違いますよ! 今日歌われた曲の作詞家と作曲家はどうなるんですか?」

「え? 作詞家と作曲家? 歌詞や楽譜はコピーしていないんだけど・・・」

「曲がすばらしいからこそ、あんなに大勢のお客さんが来たんでしょう。勝手にしていけないことは、作品のコピーだけじゃないですよ。曲を演奏するときにも、作者から許諾をもらって、きちんとお金を支払ってください。もちろんこの女の子にもね。」

 「うーん、やっぱりそうなるかあ。もったいないなあ、今回だけは見なかったふりというのはどうかな? ねえ、お嬢ちゃん・・・」

 「この曲の作詞と作曲をしたのは、このソフィアさんのお兄さんです。ダルマロさんがその人の楽譜を印刷して売ってあげてるでしょう!ごまかしはできませんよ。」

 「あれれ! そうだったか。どうりで、どこかで聞いたような曲だと思ったよ・・・・・。」

 ダルマロはがっくりと肩を落とすと、「ごめんさない」といって頭を下げました。

 おわり

 

童話続編 その5 もしも、お金が必要になったら ~ 著作権は財産権>へ


演奏権のこと

14-A 著作権には複製権以外にどのような権利があるでしょうか。

14-B 最も古い著作権と最も新しい著作権は?


◎ヒント

著作物の利用方法は技術の進歩によって著作物を様々な方法で固定(録音や録画)し、再生できるようになりました。

演奏も技術の発展によって生まれた再生方式の一つです。

ここでは、著作権に複製権以外の様々な権利があること。そして、音楽の著作物にとって演奏権はとても重要な権利であり、私たちにとっても身近な権利であることについて考えましょう。

☆著作権の基本その5 著作権は権利の束

☆著作権の歴史