絵は誰のもの? その2

印刷機の登場

街にうつり住んだランジェロは、朝から夜おそくまでねっしんに絵を描きました。
しかし、完成した絵をどうすればたくさんの人に見てもらえるのか、わかりませんでした。

童話の挿絵 街の歩道

そんなとき、ダルマロという金持ちの画商に出会いました。そして自分の絵を見せてみたところ、どうしてもその絵を売ってほしいと言われました。

お金にこまっていたランジェロは、すぐに持っている絵のすべてをダルマロに売ってしまいました。

しばらくすると、ランジェロの絵は有名になっていました。

じつは、ダルマロがランジェロの絵を、最近発明された印刷機という機械で印刷して売っていたのです。

ダルマロは印刷した絵をたくさん売ってお金をもうけていましたが、ランジェロは絵を売って手にしたわずかなお金を生活のために使い果たしてしまい、今ではその日の食べ物にもこまるようなまずしい生活をおくっていました。

しかし町じゅうのだれもが、ランジェロをかわいそうだと思いませんでしたし、ダルマロがずるいとも思いませんでした。

童話の挿絵 ランジェロが家のドアの前にいる

ある日、ランジェロが新しい絵を買ってもらおうと思ってダルマロの店へ入ると、むかしファイエット先生が描いた絵が、かべにかざられていました。

しかし、その絵にはダルマロのサインが書いてありました。

おどろいたランジェロは、このことをファイエット先生に伝えなければと思い、先生の家にもどりました。

しかし先生の病気は、もうずいぶんと重くなっていました。

絵は誰のもの? その3 先生の願い>へ


印刷機の影響

2-A 印刷機がまだつくられていない時代には、人々は作者の権利をどのように考えていたのでしょうか。

2-B 印刷機が現れる前後で、世の中はどのように変わったでしょうか。


ご注意 この童話における印刷機の登場について

実際には、西欧での印刷機の歴史は聖書などの文章の印刷から始まりました。

精巧な絵の印刷が可能になったのは、つい最近のことです。

著作権を考える上で絵画の印刷が最も理解しやすいため、物語の中では絵の印刷機として登場させていますが、著作権制度が確立される以前に絵画の印刷機が存在していたわけではありません。

5世紀のグーテンベルクによる活版印刷機の発明が無断複製を問題視する必要を生み、19世紀になってようやくヨーロッパで国際的な著作権制度が整備されました。


◎ヒント

☆著作権の歴史