著作権表示の注意点

Cマークのはなし

この図形は一般にCマークと言れるもので、著作物が表記される際に、著作権者の名前などと一緒にいろいろな場面で使用されています。

Cマーク

この「Cマーク」(または「マルCマーク」)といわれるマークは、著作者(著作権者)の氏名・著作物の公表年月日とともに、人目に付きやすい適当な場所に表示されることによって、効果を発揮することを期待してつくられたマークです。

効果といっても、現在のところ「Cマーク」には法律的な効果はほとんどありません

万国著作権条約という条約の中で、このマークを表記しておくと、この条約の加盟国で方式主義を採用している国でも著作権が保護されますよ、という取り決めがあります。

世界には、著作権が成立するためになんら方式や手続きを必要としない国(無方式主義)と、登録や表示などを必要とする国(方式主義)とがあり、日本は1899年にベルヌ条約(この条約は無方式主義にのっとっている)に加盟したことにより無方式主義を採用しています。

「・・・その最初の発行の時から著作者(著作権者)の名及び最初の発行の年とともに「C」の記号を表示している限り、その要求が満たされたものと認める。(C)の記号、著作権者の名及び最初の発行の年は、著作権の保護が要求されていることが明らかになるような適当な方法でかつ適当な場所に掲げなければならない。・・・ 」
※(C) はマルCマークのこと

万国著作権条約3条1項では、 Cマーク著作者の名発行の年を著作物の適当な場所に表示することで、方式主義の国においても無法式主義の国と同様に著作物として保護されることになっていましたが、1989年に米国がベルヌ条約に加盟して無方式主義に切り替えたことなどから、現在では方式主義の国は極めて少なく、この意味では法律的な必要性はあまりないようです。

しかし、このマークは広く世界中で使用されてきましたので、著作権の存在をアピールして不当な利用を阻止しようとする心理的効果があるのかもしれません。

アピールするだけのことならCマークや条約の方式にこだわる必要はなく、ただわかりやすければよいということにもなるでしょうから、「All Rights Reserved」とか「Copyright」「著作権者・・・」など、見た人に理解できればどのような表記でも構わないし、表記しないでおくことも自由です。

もちろん嘘の情報やまぎらわしい表記はよろしくありません。なるべくわかりやすい簡潔な表記がのぞましいでしょう。

 

著作物表示における注意点

 

①著作物ととに表記された著作者の推定

あまり知られていないのですが、著作物を表記する際に著作者として氏名を表記した場合には、その表記された人が著作者であると推定されることになります。

ですので、本当はAさんが作者なのにBさんを作者として表記してしまうと、Bさんが著作者であるということになってしまいます。

推定される」ということは、Aさんが真実の著作者であることが証明されない限り、Bさんが著作者であるということが事実であるとみなされてしまうのです。

なお、著作者には氏名表示権という権利があって、もし他人の名前が著作者として表記されていた場合には権利侵害を主張することが可能です。

(著作者の推定)
第十四条  著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。

②無名・変名の場合に発生する発行者の権利

著作物を第三者(著作者ではない人)の責任で表示(発行)する際に、著作者の名前を表記しなかったり(無名)、著作者の実名の代わりにペンネーム(変名)を表記した場合には、その発行者は著作者又は著作権者のために差し止め請求権や名誉回復の措置、著作者人格権、などを行使することができます。

もし著作権侵害行為等によって損害が発生している場合には、損害賠償請求や不当利得の返還請求をすることができます。

ただし、著作者名が変名で表記されていて、その実際の作者名が周知である場合と、その変名について「実名の登録」が文化庁で行われている場合には、発行者の権利は発生しません。

著作者が誰であるかが特定できない場合には、世間から見て誰が著作物の管理を行っているのかがわかりませんので、発行者が権利保全のために著作者等に代わって権利を行使できるようにしたものです。

(無名又は変名の著作物に係る権利の保全)
第百十八条  無名又は変名の著作物の発行者は、その著作物の著作者又は著作権者のために、自己の名をもつて、第百十二条、第百十五条若しくは第百十六条第一項の請求又はその著作物の著作者人格権若しくは著作権の侵害に係る損害の賠償の請求若しくは不当利得の返還の請求を行なうことができる。ただし、著作者の変名がその者のものとして周知のものである場合及び第七十五条第一項の実名の登録があつた場合は、この限りでない。
2  無名又は変名の著作物の複製物にその実名又は周知の変名が発行者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の発行者と推定する。

③無名・変名の場合に著作権の寿命が短くなる

著作権は非常に強力な権利です。なぜなら、とても広い範囲で利用を独占でき、しかも世界中のほとんどの国で手続なしに保護されるからです。

たとえば商標登録の場合は、業務上の標章としての使用が対象で、しかも独占の範囲が特定の商品やサービスに限定され、さらには各国ごとに登録されなければ保護されません。

しかし著作権には寿命がありますが、商標権は手続を怠らなければ永遠に保護することが可能です。

そして意外に知られていないのですが、無名又は変名で世間に出回っている著作物の著作権は、その作品が最初に公表されたときから50年間しか保護されません(但し映画の著作物をのぞく)。

著作権法の原則では、著作権の保護期間は著作者が死亡してから50年間となっていますが、無名又は変名の場合は、誰が真実の著作者であるかが世間から認知できないので、死後からの計算ができないのです。

つまり強力な著作権が保護される期間が、本来よりも短くなってしましまいます。

ですので、もし著作権の寿命を50年よりも長くしたいと考えている場合には、その著作物を公表する際に著作者名を実名で表記すればよいのです。

しかし実際には著作者の実名を表記できない場合がよくあります。
そのような場合には、文化庁で実名の登録を行ってください。

実名の登録をしておけば、将来、著作権保護期間で争いになったとしても、文化庁による証明で死後起算の適用を受けることができます。

ピーターラビット、チャッププリン映画など、著作権保護期間と著作者表示をめぐるトラブルが海外作品において目立ってきていますが、日本のコンテンツもそろそろ保護期間切れになる作品が出始めています。

50年後に後悔しないよう、著作者表記は充分検討して判断してください。
また、すでに公表されている著作物でも、著作者が生きている間に実名の登録を受けることができます。

(無名又は変名の著作物の保護期間)
第五十二条  無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後五十年を経過していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後五十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。
2  前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
一  変名の著作物における著作者の変名がその者のものとして周知のものであるとき。
二  前項の期間内に第七十五条第一項の実名の登録があつたとき。
三  著作者が前項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したとき。

☆なお文化庁では「自由利用マーク」と呼ばれるマークの利用を推進しているようです。詳しくは文化庁のホームページをご覧ください。
※文化庁「自由利用マーク」