著作権の基本その10

法人著作と著作権登録

 

人格とは

権利が帰属する対象となるものを人格と言いします。

自然が作った人格(人間のこと)のことを自然人、法が作った人格を法人と呼ぶのは、人間以外の人格でも法によって保護され権利が帰属することを意味しています。

著作物は作者の思想感情が創作的に表現されたものですから、著作者になれるのは自然人である創作者自身であると考えるのが原則です。

しかし企業活動が活発な現代社会では、著作物の最初の権利の帰属先が自然人でなければならないとすると、権利関係の処理などでいろいろ面倒なことが多くて困ります。

そこで一定の状況においては、最初から法人などが著作者であったとみなすことにしました。

 

職務著作 ~ 法人が著作者になるとき

著作物を創作した人は、その創作のときに著作者としての権利(著作権と著作者人格権)を手に入れます。

しかし、一定の要件を満たすとき、法人など(会社や国、学校等)が著作者になることがあります。(プログラムの著作物の場合の違いに注意)

職務著作とそうでない著作物とでは、著作権保護期間の点で大きな違いが生まれます。

職務著作では著作物が公表されたときの翌年1月1日から保護期間を起算しますので、自然人が著作者である場合に比べて保護期間が短くなります。

 

法人が著作者になる場合の4つの要件

1、法人の発意(企画・決定)により、その指揮のもとで著作物を制作すること

従業員同士でアイデアを出しただけでは法人の発意とはなりません

法人の中で企画制作について決定する権限のある者の意思によって決定されなければなりません

「法人」には、法人格を有しない社団または財団で代表者又は管理者の定めがあるものを含みます

2、法人の従業員が職務上制作すること

  • 雇用関係に基づき、その法人の指揮監督のもとで制作すること
  • 請負契約に基づいて著作物を制作した場合には、請負人が著作者ですが、創作活動において独創的な役割を持たない単なる補助者では著作者にはなれません
  • 派遣社員が派遣先で職務上制作した場合は、派遣先企業が著作者になりうると考えてよいと思いますが、しかし解釈が分かれていますので、事前に契約で取り決めをしておいた方がなお良いでしょう

3、法人の名前で公表されること
(プログラムの著作物の場合はこの要件は不要)

4、従業員に制作を任せるときの契約や勤務規則などで、この規定と異なる定めがないこと

  • 雇用契約で、「権利は従業員に帰属する」と定めた場合などは、会社は著作者にはなりません
  • 従業員採用の際に従業員が創作した著作物の一切が法人に帰属する契約をしても有効ではないと思われます

※ 著作者としての権利は本来、作品を創作した人間に与えられるべきです。著作権法が著作者の思想感情を保護することによって文化の発展を目指していることを考えても当然のことです。この規定を、法人が著作物の制作において重要な役割をもつようになった現実にあわせての特例だと考えれば、上記4つの要件は狭く解釈し、個人の思想感情が十分保護されるよう慎重に運用すべきと思います。※ プログラム著作物の場合だけ、「3」の要件をはずしたのは、プログラムは著作社名の表示がされないで利用される場合が多いからです。

(職務上作成する著作物の著作者)
第15条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

映画の著作物の場合

映画はたくさんの著作者による創作活動を寄せ集めて作られます。ひとつの作品の中にたくさんの著作者、たくさんの著作物が存在します。映画という作品としての権利を一人に集中させないと、利用を許諾する際などに不便なことになりますので、映画の著作物の場合は特別な規定があります。

第29条

映画の著作物(第15条第1項、次項又は第3項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。

映画制作のために制作するという契約で参加者した著作者の著作権は、映画製作者に属することになります。この場合、著作権のみが映画製作者に帰属するのであり、著作者の立場は変りませんから、著作者人格権は個々の制作者に残ります。

映画製作者とは、映画の著作物の製作に発意と責任を有する者を言います。(第2条1項6号)

映画の著作者と映画製作者とでは立場が異なります。
映画会社と映画監督などが契約して映画を製作する場合の規定ですので、一般人が自主制作した映画の場合には、この規定があてはまらない場合が多いでしょう。

第16条

映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。

上記条文によると、映画監督、撮影監督、美術監督などが著作者にあたり、これら著作者が共同で著作者になる場合が多いです。

但し、法人著作が成立する場合は除かれますので、映画製作会社に雇用されている従業員が監督として制作した場合には映画製作会社が著作者としての地位を得ます。

※ 頒布権について

映画の著作権には、映画の著作物に特有の権利である頒布権が含まれます。

 

著作権登録制度

日本の著作権法では特段の手続をしないで著作権が成立することになっていますので、特許や商標などのように官庁で登録をしなくても権利を取得することができますが、第一発行年月日の登録や著作権の譲渡の登録など著作権制度を補完するためのいくつかの登録制度が存在しています。

登録は文化庁で行いますが、コンピュータープログラムの著作物は、(財)ソフトウェア情報センターで行います。

著作権法にもとづく登録手続は権利を得るためのものではありませんが、権利を守る上でいくつかの利点があります。

なお、ここで解説している登録手続は著作権法で定められた公的証明手続のことですので、民間の登録証明機関の登録と混同されないようご注意ください。

 

実名の登録 ~ ペンネームの方にとっては重要な手続です

無名又は変名で公表された著作物は、その著作物の著作者が誰であるのかが世間にはわからないので、保護期間の起算時点を「死後」とすることができず、「公表されたとき」を保護期間の起算点とします。

これは無名・変名の著作者にとっては不利益なことですが、無名・変名で公表された著作物について実名(本名)の登録を受けると、その登録を受けた実名が著作者であると推定されるようになり、実名の著作者の場合と同様の扱いが受けられるという意義があります。

たとえば、20歳の人がペンネームでマンガを公表した場合には、その著作権保護期間は公表した年の翌年1月1日から50年が経過したときですから、70歳のときには著作権が消滅してしまいます。

もし実名の登録をしていれば、お亡くなりになってからさらに50年間長く保護されます。作者名を表記していない場合にも実名の登録は重要です。

もうひとつ。無名又は変名で公表された著作物の発行者は、自身が著作者の権利を持っていないにもかかわらず著作者又は著作権者のために自己の名をもって、差止め、名誉回復などの請求又はその著作物の著作者人格権若しくは著作権の侵害に係る損害の賠償の請求若しくは不当利得の返還の請求を行なうことができますが、実名の登録により、このような発行者の権限を排除することがきます。登録手数料は9000円です。

なお、法人は実名の登録が受けられませんし、未公表の作品についても実名の登録はできません。

(実名の登録)

第七十五条  無名又は変名で公表された著作物の著作者は、現にその著作権を有するかどうかにかかわらず、その著作物についてその実名の登録を受けることができる。
2  著作者は、その遺言で指定する者により、死後において前項の登録を受けることができる。
3  実名の登録がされている者は、当該登録に係る著作物の著作者と推定する。

第百十八条

無名又は変名の著作物の発行者は、その著作物の著作者又は著作権者のために、自己の名をもつて、第百十二条、第百十五条若しくは第百十六条第一項の請求又はその著作物の著作者人格権若しくは著作権の侵害に係る損害の賠償の請求若しくは不当利得の返還の請求を行なうことができる。ただし、著作者の変名がその者のものとして周知のものである場合及び第七十五条第一項の実名の登録があつた場合は、この限りでない。
2  無名又は変名の著作物の複製物にその実名又は周知の変名が発行者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の発行者と推定する。

 

第一発行年月日等の登録

文化庁では著作物を最初に発行又は公表した日を登録することができます。登録されると、その発行または公表の事実が推定されます。

もしあなたが作ったキャラクターデザインが幅広く利用され、いつの間にか誰が著作者であるのかが世間から認識されなくなった場合に、あなたが第一発行年月日の登録をしておけば、少なくともその登録された公表日において、あなたの名義によって公表されていたことが推定されるので、その公表日より後に当該デザインを創作したと主張する者に対して、自分が著作者であることを主張しやすくなります。

さらには、法人が制作した著作物なのか、個人制作による著作物なのかが判然としないことがよくありますが、個人名義で第一発行年月日の登録をしておけば法人著作ではないことが明らかになり、保護期間計算が死後起算になります。もし公表時に法人名義でクレジット表記をしている場合は、その法人が著作者であると推定されてしまい、著作物保護期間が公表時から50年までとなり、個人著作の場合とは著作権保護期間が大きく異なります。
保護期間延長の是非が議論されているわりには、保護期間を長くする方法についてあまり知られていないのが現状です。登録手数料は3000円です。

この登録を申請できるのは著作権者か、または無名若しくは変名で著作物を発行した発行者に限られますので、すでに著作権を譲渡してしまった著作者は第一発行年月日の登録申請ができない場合があります。

なお「推定される」ということは、それを覆す証明がなされない限りは事実として扱われるということです。

第七十六条

著作権者又は無名若しくは変名の著作物の発行者は、その著作物について第一発行年月日の登録又は第一公表年月日の登録を受けることができる。
2  第一発行年月日の登録又は第一公表年月日の登録がされている著作物については、これらの登録に係る年月日において最初の発行又は最初の公表があつたものと推定する。

創作年月日の登録

プログラムの著作物の場合は「公表させる」ということがなじまないのですが、創作年月日での登録が可能です。
ただし創作後6ヶ月以内で無ければ登録できません。
登録されるとその創作年月日が事実として推定されます。

(創作年月日の登録)
第七十六条の二  プログラムの著作物の著作者は、その著作物について創作年月日の登録を受けることができる。ただし、その著作物の創作後六月を経過した場合は、この限りでない。
2  前項の登録がされている著作物については、その登録に係る年月日において創作があつたものと推定する。

 

著作権の移転と質権に関する登録 ~ 不動産登記と同じ意味をもつ!?

著作権の譲渡を登録できます。これは不動産の権利移転の対抗要件に非常に似た効力をもちます。

たとえば著作権が二重に譲渡された場合には、譲渡の登録をしていない譲受人は、既に譲渡の登録をした譲受人を信用した善意の第三者に対して、自身が譲受人であることを主張できません。重要な著作物の権利を移転する場合にはとても重要な意味のある登録です。

質権の設定や、質権の移転、変更、消滅、処分の制限の登録も同様です。

(著作権の登録)
第七十七条  次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一  著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)又は処分の制限
二  著作権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は著作権若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限

出版権の設定

①出版権の設定、移転、変更若しくは消滅又は処分の制限
②出版権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅又は処分の制限

出版権に関する上記①②の行為については、登録しなければ第三者に対抗できません。

 

 

以下、関係法令抜粋

(出版権の設定)
第七十九条  第二十一条に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権者」という。)は、その著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
2  複製権者は、その複製権を目的とする質権が設定されているときは、当該質権を有する者の承諾を得た場合に限り、出版権を設定することができるものとする。

(出版権の内容)
第八十条  出版権者は、設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する。
2  出版権の存続期間中に当該著作物の著作者が死亡したとき、又は、設定行為に別段の定めがある場合を除き、出版権の設定後最初の出版があつた日から三年を経過したときは、複製権者は、前項の規定にかかわらず、当該著作物を全集その他の編集物(その著作者の著作物のみを編集したものに限る。)に収録して複製することができる。
3  出版権者は、他人に対し、その出版権の目的である著作物の複製を許諾することができない。

(出版の義務)
第八十一条  出版権者は、その出版権の目的である著作物につき次に掲げる義務を負う。ただし、設定行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。
一  複製権者からその著作物を複製するために必要な原稿その他の原品又はこれに相当する物の引渡しを受けた日から六月以内に当該著作物を出版する義務
二  当該著作物を慣行に従い継続して出版する義務

(著作物の修正増減)
第八十二条  著作者は、その著作物を出版権者があらためて複製する場合には、正当な範囲内において、その著作物に修正又は増減を加えることができる。
2  出版権者は、その出版権の目的である著作物をあらためて複製しようとするときは、そのつど、あらかじめ著作者にその旨を通知しなければならない。

(出版権の存続期間)
第八十三条  出版権の存続期間は、設定行為で定めるところによる。
2  出版権は、その存続期間につき設定行為に定めがないときは、その設定後最初の出版があつた日から三年を経過した日において消滅する。

(出版権の消滅の請求)
第八十四条  出版権者が第八十一条第一号の義務に違反したときは、複製権者は、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。
2  出版権者が第八十一条第二号の義務に違反した場合において、複製権者が三月以上の期間を定めてその履行を催告したにもかかわらず、その期間内にその履行がされないときは、複製権者は、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。
3  複製権者である著作者は、その著作物の内容が自己の確信に適合しなくなつたときは、その著作物の出版を廃絶するために、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。ただし、当該廃絶により出版権者に通常生ずべき損害をあらかじめ賠償しない場合は、この限りでない。

(出版権の制限)
第八十六条  第三十条第一項、第三十一条、第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十七条第一項、第三十九条第一項、第四十条第一項及び第二項、第四十一条から第四十二条の二まで、第四十六条並びに第四十七条の規定は、出版権の目的となつている著作物の複製について準用する。この場合において、第三十五条第一項及び第四十二条第一項中「著作権者」とあるのは、「出版権者」と読み替えるものとする。
2  前項において準用する第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十三条の二第一項、第三十五条第一項、第四十一条、第四十二条又は第四十二条の二に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物を公衆に提示した者は、第八十条第一項の複製を行つたものとみなす。

(出版権の譲渡等)
第八十七条  出版権は、複製権者の承諾を得た場合に限り、譲渡し、又は質権の目的とすることができる。

(出版権の登録)
第八十八条  次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一  出版権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)、変更若しくは消滅(混同又は複製権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
二  出版権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は出版権若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
2  第七十八条(第二項を除く。)の規定は、前項の登録について準用する。この場合において、同条第一項、第三項、第七項及び第八項中「著作権登録原簿」とあるのは、「出版権登録原簿」と読み替えるものとする。

 

「著作権の基本10項目」はここでおわりです。

お疲れ様でした。

 

著作権の基本その9

著作隣接権

著作隣接権とは

いかに素晴らしい著作物であっても、それを大勢の人に伝達する努力をしなければ、現代社会で広く利用されることは難しいです。

そこで著作権法は、著作物を伝達することに貢献する人たちの立場も保護しています。

著作物の伝達にとって重要な役割として、著作権法は実演家、レコード製作者、放送事業者(有線・無線)について、著作者と同じようないくつかの権利を与えて、著作者に準じる扱いをしています(著作権法89条以下)。

◎実演家の権利

歌手、俳優、演奏家、指揮者、舞踏家、演出家、曲芸師、手品師など、実演したり、実演を指揮・演出したりする人

著作権法第2条1項三  実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。四  実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行なう者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

 

①氏名表示権

著作者と同様の氏名表示権(平成14年法改正で新設)

著作者の氏名表示権(19条)

 

第90条の21項  実演家は、その実演の公衆への提供又は提示に際し、その氏名若しくはその芸名その他氏名に代えて用いられるものを実演家名として表示し、又は実演家名を表示しないこととする権利を有する。2項  実演を利用する者は、その実演家の別段の意思表示がない限り、その実演につき既に実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示することができる。3項  実演家名の表示は、実演の利用の目的及び態様に照らし実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき又は公正な慣行に反しないと認められるときは、省略することができる。

4項  第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。

一  行政機関情報公開法 、独立行政法人等情報公開法 又は情報公開条例の規定により行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演につき既にその実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示するとき。

二  行政機関情報公開法第六条第二項 の規定、独立行政法人等情報公開法第六条第二項 の規定又は情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第六条第二項 の規定に相当するものにより行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演の実演家名の表示を省略することとなるとき。

②同一性保持権(平成14年法改正で新設)

著作者の同一性保持権(20条)は「意に反する」改変等を対象にしているが、実演家の場合は「名誉または声望を害する」場合を対象にしています。こちらの方が客観的に判断しやすいといえます。

第90条の31項  実演家は、その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする。2項  前項の規定は、実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変又は公正な慣行に反しないと認められる改変については、適用しない。

 

③録音録画権

実演を録音録画する権利。録画には静止画像は含まれません。CDダビングなどは録音に含まれるでしょう。 

第91条  実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。 2  前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。

 

④放送・有線放送権

実演を放送する権利。実演家の許諾を得て録音録画した固定物に放送権は適用ありません。 実演家から放送の許諾を得た放送事業者は放送のために実演を録音録画できます。

第92条1項  実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。2項  前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。一  放送される実演を有線放送する場合

二  次に掲げる実演を放送し、又は有線放送する場合 イ 前条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録音され、又は録画されている実演 ロ 前条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

⑤送信可能化権

実演を送信可能化(インターネット上のアップロードなど)する権利。。音楽CD、映画の著作物、生実演の送信可能化もこれにあたります。

第92条の21項  実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。2項  前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない。一  第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演

二  第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

⑥商業用レコードの二次使用料請求権

指定団体である芸団協を通じて使用料が実演家に分配されます。しかし二次使用を禁止する権利はありません。芸団協は文化庁長官に指定された団体です。

第95条1項  放送事業者及び有線放送事業者(以下この条及び第九十七条第一項において「放送事業者等」という。)は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(当該放送又は有線放送を受信して放送又は有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第七条第一号から第五号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項及び第三項において同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。2項  前項の規定は、実演家等保護条約の締約国であつて、実演家等保護条約の規定に基づき実演家等保護条約第十二条の規定を適用しないこととしている国の国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家については、適用しない。3項  第八条第一号に掲げるレコードについて実演家等保護条約の締約国により与えられる実演家等保護条約第十二条の規定による保護の期間が第一項の規定により実演家が保護を受ける期間より短いときは、当該締約国の国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家が同項の規定により保護を受ける期間は、第八条第一号に掲げるレコードについて当該締約国により与えられる実演家等保護条約第十二条の規定による保護の期間による。

4項  第一項の二次使用料を受ける権利は、国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)でその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該団体によつてのみ行使することができる。

5項  文化庁長官は、次に掲げる要件を備える団体でなければ、前項の指定をしてはならない。

一  営利を目的としないこと。

二  その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。

三  その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。

四  第一項の二次使用料を受ける権利を有する者(以下この条において「権利者」という。)のためにその権利を行使する業務をみずから的確に遂行するに足りる能力を有すること。

6項  第四項の団体は、権利者から申込みがあつたときは、その者のためにその権利を行使することを拒んではならない。

7項  第四項の団体は、前項の申込みがあつたときは、権利者のために自己の名をもつてその権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。

8項  文化庁長官は、第四項の団体に対し、政令で定めるところにより、第一項の二次使用料に係る業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又はその業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。

9項  第四項の団体が同項の規定により権利者のために請求することができる二次使用料の額は、毎年、当該団体と放送事業者等又はその団体との間において協議して定めるものとする。

10項  前項の協議が成立しないときは、その当事者は、政令で定めるところにより、同項の二次使用料の額について文化庁長官の裁定を求めることができる。

11項  第七十条第三項、第六項及び第七項並びに第七十一条から第七十四条までの規定は、前項の裁定及び二次使用料について準用する。この場合において、第七十条第三項中「著作権者」とあるのは「当事者」と、第七十二条第二項中「著作物を利用する者」とあるのは「第九十五条第一項の放送事業者等」と、「著作権者」とあるのは「同条第四項の団体」と、第七十四条中「著作権者」とあるのは「第九十五条第四項の団体」と読み替えるものとする。

12項  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第九項の協議による定め及びこれに基づいてする行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合及び関連事業者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

13項  第四項から前項までに定めるもののほか、第一項の二次使用料の支払及び第四項の団体に関し必要な事項は、政令で定める。

 

⑦譲渡権

実演の録音録画物を公衆に譲渡する権利(最初の譲渡により消尽する)

 第95条の21項 実演家は、その実演をその録音物又は録画物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。2項  前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない。一  第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演

二  第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

3項  第一項の規定は、実演(前項各号に掲げるものを除く。以下この条において同じ。)の録音物又は録画物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。

一  第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された実演の録音物又は録画物

二  第一項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された実演の録音物又は録画物

三  この法律の施行地外において、第一項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された実演の録音物又は録画物

 

⑧ 貸与権

ただし、商業用レコードに限り、ビデオ等に適用なし。 販売日から1年で消滅し報酬請求権が発生する。

第95条の31項  実演家は、その実演をそれが録音されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。2項  前項の規定は、最初に販売された日から起算して一月以上十二月を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した商業用レコード(複製されているレコードのすべてが当該商業用レコードと同一であるものを含む。以下「期間経過商業用レコード」という。)の貸与による場合には、適用しない。3項  商業用レコードの公衆への貸与を営業として行う者(以下「貸レコード業者」という。)は、期間経過商業用レコードの貸与により実演を公衆に提供した場合には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない。

4項  第九十五条第四項から第十三項までの規定は、前項の報酬を受ける権利について準用する。この場合において、同条第九項中「放送事業者等」とあり、及び同条第十一項中「第九十五条第一項の放送事業者等」とあるのは、「第九十五条の三第三項の貸レコード業者」と読み替えるものとする。

5項  第一項に規定する権利を有する者の許諾に係る使用料を受ける権利は、前項において準用する第九十五条第四項の団体によつて行使することができる。

6項  第九十五条第六項から第十三項までの規定は、前項の場合について準用する。この場合においては、第四項後段の規定を準用する。

 

放送のための固定

放送の実務における便宜をはかる

(放送のための固定)第93条1項  実演の放送について第九十二条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送のために録音し、又は録画することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合及び当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音し、又は録画する場合は、この限りでない。2項  次に掲げる者は、第九十一条第一項の録音又は録画を行なつたものとみなす。一  前項の規定により作成された録音物又は録画物を放送の目的以外の目的又は同項ただし書に規定する目的のために使用し、又は提供した者

二  前項の規定により作成された録音物又は録画物の提供を受けた放送事業者で、これらをさらに他の放送事業者の放送のために提供したもの

(放送のための固定物等による放送) 第九十四条  第九十二条第一項に規定する権利を有する者がその実演の放送を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、当該実演は、当該許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができる。 一  当該許諾を得た放送事業者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送 二  当該許諾を得た放送事業者からその者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物の提供を受けてする放送 三  当該許諾を得た放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送(前号の放送を除く。) 2  前項の場合において、同項各号に掲げる放送において実演が放送されたときは、当該各号に規定する放送事業者は、相当な額の報酬を当該実演に係る第九十二条第一項に規定する権利を有する者に支払わなければならない。

楽曲を演奏して原版をつくり、原版をCDなどにコピーして販売しますが、原版の権利を持っている人をレコード製作者といいます。たいていはレコード会社がレコード製作者である場合が多いです。

芸団協ホームページ

実演家著作隣接権センター

日本俳優連合会

 

◎レコード製作者の権利

音をレコードに最初に固定した者(レコード原盤を作った人)

著作権法第2条1項抜粋五  レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音をもつぱら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。六  レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。七  商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。

MPA(社団法人音楽出版社協会)

社団法人 日本レコード協会

 

放送事業者と有線放送事業者

有線または無線の放送事業を行う人。(テレビ局、ラジオ局など。)

著作権法第2条1項七の二  公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。八  放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。九  放送事業者 放送を業として行なう者をいう。

九の二  有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。

九の三  有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。

 

 

放送事業者の権利

・複製権 

 ~ 放送を録音・録画及び写真的方法により複製する権利

 

・再放送権 

 ~ 放送を受信して再放送する権利 

 

・テレビジョン放送の伝達権 

 ~ テレビジョン放送を受信して画面を拡大する特別装置(超大型テレビやビル壁面のディスプレイ装置など)で、公に伝達する権利 

 

・送信可能化権 

 ~ インターネットなどを利用して、公衆からの求めに応じて自動的に送信できるようにする権利

 

著作権の基本その10 法人著作と著作権登録>へ

著作権の基本その8 著作者人格権

著作者人格権

人格権とは

著作物は社会のために積極的に利用されることが望ましいのですが、著作者の名声や作品への思いを踏みにじらないように注意して利用したいものです。

著作権法は著作者の人格を守るための3つの権利を定めました。これをまとめて著作者人格権と呼ぶことがあります。人格を保護する権利なので、日本の著作権法では譲渡したり、相続によって移転したりすることはできません。

憲法で保障された基本的人権を保護するために著作権法で具体的に定められたものと考えられます。

 人格権の心

著作者人格権の中の3つの権利

1 公表権

2 氏名表示権

3 同一性保持権

公表権

公表の権利

自分の作品を世間に公表するかどうかは、その作品を作った人の意思に委ねるべきです。他人が勝手に作品を公表することは、たとえそれが本人にとって経済的利益になることであっても、本人の意思に反しては行うことはできません。自分の意志で自分の作品を公表する権利が公表権です。

公表とは?

発行すること、または、著作権者または著作権者から許諾を受けた者が上演、演奏、上映、公衆送信、口述、公衆への展示、送信可能化すること。

 

同意の推定 その1

著作者が未公開作品の著作権を誰かに譲渡したときは、その著作権にもとづいて公衆に提供したり提示したりすることを同意したと推定されます。著作権を譲り渡した相手に公表権を行使するということは、一般的には考えられないことだからです。譲渡のときに、これについての特約があればそれに従います。

 

同意の推定 その2

美術の著作物と写真の著作物の場合、未公表の原作品を譲渡した場合には、その原作品の展示を同意したと推定されます。原作品を手に入れた人は、自由に展示できると考えるのが一般的だからです。

同意の推定 その3

映画の製作者が映画の製作であることを同意して制作に参加しているときは、その映画の著作物の著作権は映画製作者に帰属しますが、この場合の著作権の帰属は原始的帰属ではなく、創作後の著作権法定譲渡であると考えられるので著作者人格権は個々の映画制作参加者に存在しますが、この場合には、個々の著作者は映画が公表されることを同意していると推定されます。映画が公表されるのは当然のことだからです

著作権法第18条
著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。

 

氏名表示権

 自分の作品を公表するとき、自分の名前を作品上に表示するかどうか、またはどんな名前で表示するかは、著作者が決めるべきことで、他人は著作者の意思に反して勝手に作品に氏名を表示したり、表示しなかったりすることはできません。(19条1項)

◇表示について約束していないとき

 しかし特に約束が無いときは、その著作物についてすでに表示されている方法で表示すればよいことになっています。例えば、写真家から買った写真を展示するときは、その写真に附されている写真家の名前を写真とともに表示しなければなりません。ウソの名前で展示したりするのはもってのほかです。(19条2項) 

◇どのように表示するかについても著作者が決める

 また、ドラマの脚本や原作も著作物ですが、よく番組の最後に脚本家や原作者の名前が出てきます。 これを本名で表示するか、ペンネームにするか、または表示するかしないかは、原則として著作者の意思によります。 

◇表示を省略されるときもある

 しかし、著作者の利益を害するおそれがなく、さらに公正な慣行に反しない場合は、氏名の表示を省略できます。例えば商品のパッケージデザインなどの場合、そのデザイナーの氏名を表示することはあまりありません。商業用利用の場合、著作者表示の主張よりも商品の売れ行きを優先するのが一般的です。(19条3項)ダビンチのモナ・リザ

◇公的機関による使用について氏名表示権が制限される場合

公的機関が情報公開する際に、言っての場合には氏名表示権を行使できない場合があります。(19条4項)

 

※著作権者の表示の注意点 ~ Cマークについて

第19条
①著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。
②著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる。
③著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。
④第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
一  行政機関情報公開法 、独立行政法人等情報公開法 又は情報公開条例の規定により行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物につき既にその著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示するとき。
二  行政機関情報公開法第六条第二項 の規定、独立行政法人等情報公開法第六条第二項 の規定又は情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第六条第二項 の規定に相当するものにより行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物の著作者名の表示を省略することとなるとき。

 

同一性保持権

例え、他人に譲った絵であっても、勝手に色を変えられたり修正されたものが世に出るのは、画家にとっては許せないことかもしれません。

なぜなら、作者の評価をおとしめる危険があるからです。作品に手を加えず、ありのままを人に見て欲しいという著作者の気持ちを保護するために、同一性保持権が定められました。

同一性保持権は、著作者が社会から作品のありのままを見てもらい評価を受ける権利とも言えるでしょう。出版社が作家の許諾を得ずに文章を校正して出版したり、映画館やTV局が映像の一部分を無断でカットしたりするのは同一性保持権の侵害になりえます。

しかし、著作物の通常の利用のためにやむをえない場合には、合理的に必要な範囲で改変することを法律は認めています。

たとえば、保存に耐えなくなった彫刻の修理や、プログラムのバージョンアップなどの場合です(著作権法20条)。

著作物を営利目的で利用する場合には、ある程度の改変を必要とする場合が多く、同一性保持権は非常に問題になりやすい権利です。

第20条
①著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
②前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
二 建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
三 特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変

 

著作者人格権の保護期間

著作者人格権は、著作者の人格を保護するための権利ではありますが、著作者の死後であっても、著作者が生きているとしたらその人格を侵害していただろうと思われる侵害は、してはいけないことになっています(60条)。

このような場合、著作者本人はすでに亡くなっていますから、その遺族(死亡した著作者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹)が侵害行為の差し止めや損害賠償請求を行えることになっています。

また、このような侵害行為は著作権法120条により500万円以下の罰金刑が課されるおそれがあります。

 

(著作者が存しなくなつた後における人格的利益の保護)
第60条
著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

(著作者の死後における人格的利益の保護のための措置)
第116条
1 著作者の死後においては、その遺族(死亡した著作者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹をいう。以下この条において同じ。)は、当該著作者について第六十条の規定に違反する行為をする者又はするおそれがある者に対し第百十二条の請求を、故意又は過失により著作者人格権を侵害する行為又は第六十条の規定に違反する行為をした者に対し前条の請求をすることができる。
2 前項の請求をすることができる遺族の順位は、同項に規定する順序とする。ただし、著作者が遺言によりその順位を別に定めた場合は、その順序とする。
3 著作者は、遺言により、遺族に代えて第一項の請求をすることができる者を指定することができる。この場合において、その指定を受けた者は、当該著作者の死亡の日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した後(その経過する時に遺族が存する場合にあつては、その存しなくなつた後)においては、その請求をすることができない。

第一二〇条 第六十条又は第百一条の三の規定に違反した者は、五百万円以下の罰金に処する。

 

著作権の基本その9 著作隣接権>へ

著作権の基本その7

著作権保護期間

著作権の寿命

文化は、過去のさまざまな文化の影響を受けて発展してきました。どんなに優れた芸術家も、すぐれた先人から影響を受けていない人はいないでしょう。

真似る」ということは文化の発展にとって重要です。日本語の「学ぶ」という言葉が「真似ぶ」という古語を語源とするという話があります。

著作物は一定の期間を過ぎれば、社会全体にとっての文化的遺産として扱い、自由に真似ることができると考えるのが当然です。

もともと著作権は文化の発展のために認められた財産権なのですから、著作者の創作意欲に関係なく無用に長い期間保護されてしまうのはおかしなことです。

特定の人間が表現を不当に長い期間にわたって独占することは、文化の発展に寄与した過去の先人に対しても失礼なことだと思います。

著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム – thinkcopyright.org

 

保護期間の計算

著作物を利用する際には著作権者からの許諾が必要ですが、一定期間(保護期間)が経過すると著作権は消滅しますので、それからは許諾を得る必要がなくなります。

保護期間は日本の著作権法では著作者が死亡した翌年の1月1日から50年が経過したときまでです。死後50年とういのは著作権が孫の代まで引き継がれるという発想のようです。

法人や団体名義の著作物の場合は、著作者の死亡時期が判明しませんので、著作物が公表された日の翌年の1月1日から起算します。著作者が無名・変名(著作者が誰かわからなかったり、ペンネームなので本人がいつ死んだのかわからない場合)である著作物の場合も、法人の場合と同じく、公表されたときを基準に起算します。

但し、無名・変名の場合は文化庁での実名の登録によって実名の場合と同様の扱いを受けることができます。
欧米諸国では保護期間が70年の国が多いようです。

米国では、個人の場合は死後70年間で、無名・変名・職務著作の場合は最初の発行年から95年間又は最初の創作年から120年間どちらかのうち最初に満了する期間まで保護されます。

それ以上の長さの保護期間制度を持つ国もあります。なお、日本でも映画の著作物の保護期間が平成16年施行の改正法で70年に延長されました。

著作物の種類 保護期間
無名の著作物・
周知ではない著作物
公表後50年(死後50年経過が明らかであればその時点まで)
法人・団体名義の著作物 公表後50年(創作後50年以内に公表されなかったときは創作後50年)
映画の著作物 公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは創作後70年)

(保護期間の原則) 第五十一条

1 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。

2  著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。

 

(無名又は変名の著作物の保護期間) 第五十二条

1  無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後五十年を経過していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後五十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。

2  前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。

一  変名の著作物における著作者の変名がその者のものとして周知のものであるとき。

二  前項の期間内に第七十五条第一項の実名の登録があつたとき。

三  著作者が前項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したとき。

(団体名義の著作物の保護期間) 第五十三条

1 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。

2  前項の規定は、法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作者である個人が同項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したときは、適用しない。

3  第十五条第二項の規定により法人その他の団体が著作者である著作物の著作権の存続期間に関しては、第一項の著作物に該当する著作物以外の著作物についても、当該団体が著作の名義を有するものとみなして同項の規定を適用する。

(映画の著作物の保護期間) 第五十四条

1 映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する。

2  映画の著作物の著作権がその存続期間の満了により消滅したときは、当該映画の著作物の利用に関するその原著作物の著作権は、当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとする。

3  前二条の規定は、映画の著作物の著作権については、適用しない。

(実名の登録)
第七十五条  無名又は変名で公表された著作物の著作者は、現にその著作権を有するかどうかにかかわらず、その著作物についてその実名の登録を受けることができる。
2  著作者は、その遺言で指定する者により、死後において前項の登録を受けることができる。
3  実名の登録がされている者は、当該登録に係る著作物の著作者と推定する。

パブリック・ドメイン

日本では通常、著作者が死亡してから50年間は著作権が保護されます(著作権法51条)。

しかし、著作物を無名で又は変名で公表している場合、法人など団体名義の著作物の場合、映画と定期刊行物の場合は公表されたときから50年間保護されます(52~56条)。

保護期間が過ぎれば、その著作物は誰でも自由に無許諾で利用することができます。ただし、著作者人格権を侵害する利用、つまり著作者が生きていたらきっと嫌がりそうな、または著作者の気持ちを傷つけるような利用はしていけません(59条、60条)。

保護期間の起算時は、死んだ日や公表の日ではなく、死亡又は公表した年の翌年の1月1日です(57条)。実演など、著作隣接権の保護期間は、実演、音楽の固定、放送などの行為の時から50年間保護されます。

著作権の寿命


 

 

(著作者人格権の一身専属性)
第五十九条  著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。

(著作者が存しなくなつた後における人格的利益の保護)
第六十条  著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

戦時加算

日本は第二次世界大戦中に敵対国である連合国国民(他の国も同様かとも思えるが)の著作権を保護しなかったという理由で、戦争中に存在した著作物については保護されなかった期間を、保護すべき期間として加算しなければなりません。

これは1951年のサンフランシスコ平和条約に基づくものですが、条約批准の日が国によって異なるのでちょっと面倒です。

アメリカ・英国・オーストラリア・カナダ・フランスは条約の発行前に批准が済んでいるので、みな3794日(開戦日から条約発効の日までの日数)を加算すればよいのですが、ブラジル・オランダ・南アフリカ・レバノンなどは遅れて批准した国は加算日数が多くなるので注意が必要です。

太平洋戦争の開戦日である1941年12月8日から平和条約発効日までに著作権が成立した場合には、その成立の日から平和条約発効日の前日までの期間を加算します。

連合国ではないドイツやイタリアのほか、ロシアや中国もわが国と平和条約に署名していないので戦時加算はされません。

ラジオ放送やテレビ放送が開始され、たくさんの作品が世に出てからそろそろ半世紀になります。

保護期間切れの作品が続出する時期にさしかかっていますが外国作品ではとくに注意が必要です。

星の王子さま公式ホームページ

TBS星の王子さまミュージアム

 

昔の写真の保護期間は? 

古い写真をインターネットで掲載したい場合、現行法で考えますと、その著作者、つまり撮影者が死亡して50年経過しているかどうか、という判断をついしてしまいがちです。

ところが、現行著作権法施行時(1971年1月1日)にすでに旧法によって著作権の全部が消滅している著作物については、現著作権法は適用されないことになっています(附則第2条)。

そうすると、古そうな写真については旧著作権法の条文もみなければなりませんが、旧著作権法第3条には、「発行又は興行シタル著作物ノ著作権ハ著作者の生存間及其ノ死後30年間継続ス・・・」とあり、保護期間は著作者の死後30年間かと思いきや、同法第23条において「写真著作権ハ10年間継続ス。前項の期間ハ其ノ著作物ヲ始メテ発行シタル年ノ翌年ヨリ起算ス若シ発行セサルトキハ種板ヲ製作シタル年の翌年ヨリ起算ス・・・」とあり、写真の著作物については、写真を発行した年または種板(ネガのことでしょうか?)を製作した年の翌年から10年が経過すると消滅すると解釈できそうです。

ところがどっこい、旧著作権法の附則の章の第52条の最後において、「第23条第1項中10年トアルハ当分の間13年トス」とあり、保護期間は13年となっています。そうなると、たとえば1940年に撮影された写真は、1941年1月1日から13年が経過した1954年1月1日には著作権が消滅していると考えられます。

これを新法施行時から逆算しますと、1958年よりも前の時期に発行された写真、または発行時がわからない写真で1958年よりも前の時期に撮影された写真については、著作者がいつ死亡したかどうかに関わらず著作権が消滅しているということになります。

以上は日本の法律が適用される場合の話です。それにしても、旧著作権法の構成は複雑で理解しづらく、本当にこの解釈でよいのか多少自信がありません。

 

著作権を相続する人がいないとき

著作権者が死亡または解散(法人などの場合)した際に相続人が存在しない場合には著作権は消滅することになっています。 一般的に財産の相続人が存在しない場合は民法の規定にしたがって財産は国庫に帰属する扱いとなりますが、著作権は文化の発展のための権利ですので、権利を承継する国民がいない以上は消滅させるのが妥当であると思われます。

(相続人の不存在の場合等における著作権の消滅)
第六十二条  著作権は、次に掲げる場合には、消滅する。
一  著作権者が死亡した場合において、その著作権が民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九百五十九条 (残余財産の国庫への帰属)の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
二  著作権者である法人が解散した場合において、その著作権が民法第七十二条第三項 (残余財産の国庫への帰属)その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
2  第五十四条第二項の規定は、映画の著作物の著作権が前項の規定により消滅した場合について準用する。

 

継続して公表される場合の保護期間の起算方法

 新聞や雑誌などは各刊行ごとに独立して著作権が成立しうるので、それぞれその刊行時から保護期間が起算されます。しかしひとつの著作物を分割して公表された場合には、最終部分の公表のときをもって起算点とします。
ただし継続して公表している途中で3年以上公表されないときには、たとえ最終部分が公表されていなくても、すでに最後に分割して公表された時点をもって起算点とします。最後の部分の公表をわざと引き伸ばして保護期間が不当に延長されることを防ぐためです。
著作物としての独立性の判断は難しい場合があります。連続テレビドラマであっても、各放送ごとにストーリーが完結していれば、その放送ごとにひとつの著作物であると考えますが、これは内容次第ではあいまいなケースがありえます。

(継続的刊行物等の公表の時)
第五十六条  第五十二条第一項、第五十三条第一項及び第五十四条第一項の公表の時は、冊、号又は回を追つて公表する著作物については、毎冊、毎号又は毎回の公表の時によるものとし、一部分ずつを逐次公表して完成する著作物については、最終部分の公表の時によるものとする。
2  一部分ずつを逐次公表して完成する著作物については、継続すべき部分が直近の公表の時から三年を経過しても公表されないときは、すでに公表されたもののうちの最終の部分をもつて前項の最終部分とみなす。

 

むかし安かった外国の音楽CD

ちょっと前のことですが、よく駅の構内や街角などで、格安のCDを売っているのをみかけました。その安さの秘密は何だったのでしょう。

日本で売られる外国の楽曲のCDの販売経路には2種類あります。一つは国内盤といわれ、外国のレコード製作者から原盤を譲り受けて日本国内で複製し販売する場合、もう一つは外国盤といわれ、外国で販売されているCDを購入して日本へ輸入し販売する場合です。国内版は日本語訳の歌詞カードや日本人向けのおまけなどが入っていますが、価格がそれなりに高いということになります。

それに比べて、外国版は物価の違いや流通システムの違いなどから当然安く、また店頭に並ぶ機会も近年増えました。しかし、いわゆる格安CDの安さの真の理由は別にあります。それは、外国の楽曲の原盤製作者に使用料を支払わずに複製し販売しているからです。

日本では1970年当時、著作権法による著作隣接権の保護期間は20年間でした。

その後1988年に著作権法が改正されて、保護期間が30年になりましたが、その時点においてすでに20年間の著作隣接権保護期間が終了しているものについては、改めて保護しなおすのは無用に混乱を生じるという理由で、保護対象から除外されたのです。

要するに1988年において発売から20年を経過しているレコード(1967年以前の外国作品)については、著作隣接権者(原盤製作者・実演家)の権利は消滅しているのです。

この場合、著作権者(作詞作曲家又は著作権を有する音楽出版社等)の許諾さえ得れば、自由に日本で原盤を複製し、販売することができるので、その分安い価格で販売できたということだそうです。

 

著作権の基本その8 著作者人格権>

著作権の基本その6

 利用制限の例外

ここまでの部分は「著作権があるから勝手に利用しないように」という説明が多かったですが、ここでは利用制限の例外にあたる部分を見てみましょう。

法律は「原則」と「例外」の二段構えで考えてゆくことをおすすめします。

著作物利用の範囲図解

私的使用の場合(著作権法第30条)

~家庭内など限られた範囲で自分が利用するために自分が複製する場合。

著作物の無断複製であっても、著作権法30条に定める<私的使用の範囲内>での複製は違法ではありません。たとえば、音楽CDをテープに録音することは、自分で聞く分には問題ないのです。

しかし、会社の会議で新聞のコピーを資料として配布したり、カラオケ教室で練習用に音楽をダビングして生徒に渡すなどは、私的使用の範囲を超えているとされます。

私的使用のための複製は違法ではないという規定が作られた理由には、著作権者の利益に大きな影響を与えないこと、複製の許諾や料金の徴収が煩雑であること、家庭内に法律を持ち込むことへの抵抗など、いろいろ考えられます。第31条(2012年10月1日現在)

デジタル時代が到来し、家庭用複製機器が登場したことで、家庭内での私的複製をどのように制限するかという問題が、著作権者の利害に大きく影響するようになっています。※映画館等における映画の録音録画の禁止「映画の盗撮の防止に関する法律」が平成19年に施行されています。映画館での映画の盗撮を規制するための法律です。

この法律によって、映画館等で映画の録音・録画を行うことは、たとえ私的な利用目的であったとしても、著作権法第30条に規定する私的使用の適用を受けられないこととなりました。

よって、無断で映画の盗撮をした場合は著作権侵害であり刑事罰の対象となります。
なお、この規定は日本国内における最初の有料上映後8月を経過した映画については適用されません。

著作権法第三十条

1.著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

2.公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

3.技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

4.著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合

2  私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

以上

 

違法コンテンツのダウンロードの禁止化

2009年に成立した改正著作権法により、私的使用の範囲が一部縮小しました。
改正前には、違法にアップロードされたコンテンツをダウンロードしたうえ複製した場合でも、「私的使用」にあたる複製であれば著作権法に違反しませんでした。
しかし改正後は、

①著作権を侵害する自動公衆送信を受信して入手した著作物を
②その事実を知りながら
③デジタル方式で録音録画(つまり音楽・写真・映像などが対象)すること

が私的使用にあたらない行為となるので、著作権を侵害することとなりました。
ただし、この行為について当初は刑事罰が科されていませんでした(差し止めや損害賠償などの追及はできた)が、2012年10月1日以降は刑事罰の適用対象となりました。

 

違法ダウンロードの録音録画の禁止化(2012年10月1日施行)

2012年10月1日から、著作権法第119条に刑事罰が追加されました。次の全ての要件に該当した場合は刑事罰の適用があります。

 

  • 私的使用の目的をもって、
  • 有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信 を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、

※ 「有償著作物等」とは、録音され、又は録画された著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像であって、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいいます。

  • 自らその事実を知りながら行って、

※ 「有償著作物等」であることと「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信」であること知っていたにもかかわらず、という意味です。

  • 著作権又は著作隣接権を侵害した者は、

2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされました。上記の要件の一つでも満たさない場合には著作権又は著作隣接権の侵害に問われません。
なお、この違反行為は親告罪とされているので、著作権者等からの告訴がなければ刑事責任は問われないこととなります。

著作権法第119条第3項(新設:2012年10月1日より施行)

第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

☆2013年1月1日から改正著作権法が施行されました。主な改正内容は以下のとおりです。

  • いわゆる「写り込み」(付随対象著作物の利用)等に係る規定の整備
  • 国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信等に係る規定の整備
  • 著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備

詳細は文化庁サイト(平成24年通常国会 著作権法改正について)をご覧ください。

 

図書館における複製(著作権法第31条)

図書館においては、調査研究や資料の保存の必要がある場合、新たな入手が困難な著作物の場合は複製することができます。また、調査研究目的であれば著作物の一部分のみを図書館利用者1人について1部まで提供することも許されます。

2010年から改正法が施行され、図書館等において可能な複製の範囲が拡大されます。

著作権法第31条

図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。

一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合三 他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合

二 図書館資料の保存のため必要がある場合

 

※図書館等が複製サービスをする際の注意事項

(1) 複製行為の主体が図書館等であること。
(2) 複製行為が営利を目的とした事業でないこと。
(3) 図書館等が所蔵している資料を用いて複製すること。
(4) コピーサービスの場合には,利用者の求めに応じ,利用者の調査研究の目的のために,公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過し,通常の販売経路による入手が困難となった定期刊行物に掲載された一つの著作物についてはその全部も可)を一人につき1部提供するための複製であること。
(5) 所蔵資料の保存のための複製の場合には,汚損の激しい資料等の複製に限ること
(6) 他の図書館への提供のための複製の場合には,絶版等一般に入手することが困難である資料の複製を求められたものであること

正当な引用の場合 (32条)

~引用とは、紹介、参照、論評などの目的で他人の著作物を自分の著作物の一部に組み入れて利用することです。公正な慣行に合致し、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行うことができます。
引用できる場合については、いろいろな解釈があってあいまいなために、トラブルに発展しやすいのでご注意ください。

※引用する際に注意すべきポイントとして以下の点にご注意ください。
(1)公表されている著作物であること
(2)公正な慣行に合致すること
(3)報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること
(4) 他人の著作物を引用する必然性があること。
(5) かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(6) 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(7) 出所の明示がなされていること。(第48条)

(引用) 第32条

1.国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

2.公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

 

教科書(著作権法第33条)

学校が授業で使う教科書に載せる写真や文章などは、著作権者の許諾を必要としません。塾や予備校で使うテキストや参考書はもちろん該当しません。但し許諾が要らないと言っても、それ相当の使用料を支払わなければなりません。

第33条  公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書(小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校その他これらに準ずる学校における教育の用に供される児童用又は生徒用の図書であつて、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するものをいう。)に掲載することができる。

2  前項の規定により著作物を教科用図書に掲載する者は、その旨を著作者に通知するとともに、同項の規定の趣旨、著作物の種類及び用途、通常の使用料の額その他の事情を考慮して文化庁長官が毎年定める額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

3  文化庁長官は、前項の定めをしたときは、これを官報で告示する。

4  前三項の規定は、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)の通信教育用学習図書及び第一項の教科用図書に係る教師用指導書(当該教科用図書を発行する者の発行に係るものに限る。)への著作物の掲載について準用する。

 

学校教育番組の放送等(著作権法第34条)

教科書と同様、NHKの教育番組などで著作物を利用する場合、相当の使用料を払えは許諾がなくとも利用できます。

第34条 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組又は有線放送番組において放送し、又は有線放送し、及び当該放送番組用又は有線放送番組用の教材に掲載することができる。

2 前項の規定により著作物を利用する者は、その旨を著作者に通知するとともに、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 

教育機関における複製(著作権法第35条)

学校などで授業に使う資料などは、必要な範囲内で無許諾でコピーや公衆送信ができます。ただし、使用料を払わないのですから、著作権者に余りに不利益になるような(例えば余りに大量の複製など)使用はできません。

第35条

1 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2  公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

 

試験問題としての複製(著作権法第36条)

入学試験、資格試験、入社試験など、学識技能に関する試験において著作物(主に論説や文章)を利用できます。ただし、営利目的の場合(入社試験や塾のテストなど)は相当の金額を支払わなければなりません。社団法人日本文芸家協会からは、作品の不改変、出店の記載、著作権者への試験問題の提示などが要求されています。

第36条
1 公表された著作物は、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製することができる。

2 営利を目的として前項の複製を行なう者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 

点字による複製等(著作権法第37条)

目が不自由な人たちに対する福祉のため、著作物を点字にして複製することができます。ただし、点字図書館など福祉施設において許されますので、一般の図書館では許諾を要します。

第37条

1  公表された著作物は、点字により複製することができる。

2 公表された著作物については、電子計算機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。)を行うことができる。

3 点字図書館その他の視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するために、公表された著作物を録音することができる。

 

聴覚障害者のための自動公衆送信(著作権法第第37条)

リアルタイム字幕の利用促進

第37条の2 聴覚障害者の福祉の増進を目的とする事業を行う者で政令で定めるものは、放送され、又は有線放送される著作物について、専ら聴覚障害者の用に供するために、当該著作物に係る音声を文字にしてする自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。

 

非営利目的の上演・演奏(著作権法第38条)

①営利を目的とせず、報酬も支払われない場合に、著作物(例えば音楽や映画など)を上演、演奏、上映、口述する場合は許諾を要しません。ボランティアであっても参加費を取ったり、実演者に報酬を払ったりするときは許諾が必要になります。 喫茶店などで市販CDの曲を放送することは演奏権者の許諾を要します。(38条1項)

②非営利かつ無償で、著作物を有線放送する場合(38条2項)

③非営利かつ無償で、放送される著作物を受信装置を利用して見せたり聞かせたりする場合。および、放送される著作物を家庭用受信装置で、営利目的や有償での利用を含めて見せたり聞かせたりする場合(38条3項)

④非営利無償で複製物を貸与する場合(38条4項) 但し、映画の著作物に適用なし

⑤特定の非営利視聴覚施設等で映画の著作物を無償で貸与する場合(38条5項)

第38条
1 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

2 放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、有線放送することができる。

3 放送され、又は有線放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。

4 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。

5 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。

時事問題の論説の転載等(著作権法第39条)

新聞、雑誌に掲載された時事問題に関する論説は、その利用を禁止する旨の表示がない限り、他の新聞や雑誌に転載したり放送したりしても著作権を侵害したことにはなりません。報道の目的上やむをえないと考えられるからです。
よって、学術的な性質を有する論説のように政治に関係が無い論説についてはこの限りではないとされています。
なお新聞業界では論説に執筆者の署名が掲載されている場合は転載等禁止の意味を示すという慣行があるそうです。
なお、この規定に従って転載等を行った場合でも出所表示等に配慮する必要はあります。

(時事問題に関する論説の転載等)

第三十九条

新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説(学術的な性質を有するものを除く。)は、他の新聞紙若しくは雑誌に転載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

2  前項の規定により放送され、若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される論説は、受信装置を用いて公に伝達することができる。

政治上の演説等の利用(著作権法第40条)

公開の場で行われた政治上の演説や陳述、裁判手続で公開された陳述は、その著作者による陳述をまとめて編集しない限りは、どのように利用しても著作権を侵害しません。これは陳述者が自身の陳述等をとりまとめて出版などする機会を奪わないための配慮と思われます。
また、議会等で公開して行われた演説や陳述は、報道の目的上正当と認められる場合には、たとえ政治上の目的での演説や陳述でなくとも新聞や雑誌に掲載したり、放送又は有線放送(自動公衆送信を含まない)したりすることができます。

(政治上の演説等の利用)
著作権法第第四十条

公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行う審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条第一項において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
2  国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
3  前項の規定により放送され、若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される演説又は陳述は、受信装置を用いて公に伝達することができる。

 

時事報道目的の利用(著作権法第41条)

時事事件を報道する場合には、その事件に関連する著作物を、報道の目的上正当な範囲内において複製などすることができます。第41条 写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。

 

裁判手続きにおける複製(著作権法第42条)

裁判手続きのため必要な場合、立法行政の目的で内部資料として必要な場合は、複製できます。第42条 著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

第42条の2

行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関は、行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により著作物を公衆に提供し、又は提示することを目的とする場合には、それぞれ行政機関情報公開法第十四条第一項(同項の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法、独立行政法人等情報公開法第十五条第一項に規定する方法(同項の規定に基づき当該独立行政法人等が定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項の規定に基づく政令で定める方法以外のものを除く。)を含む。)又は情報公開条例で定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項(同項の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法以外のものを除く。)により開示するために必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。

情報公開法等における開示のための利用

情報公開法等の規定により著作物を公衆に提供又は提示する必要がある場合には、情報公開法等で定める方法により著作物を必要な限度で利用しても著作権を侵害しません。

(行政機関情報公開法 等による開示のための利用)
著作権法第第四十二条の二  行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人は、行政機関情報公開法 、独立行政法人等情報公開法 又は情報公開条例の規定により著作物を公衆に提供し、又は提示することを目的とする場合には、それぞれ行政機関情報公開法第十四条第一項 (同項 の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法、独立行政法人等情報公開法第十五条第一項 に規定する方法(同項 の規定に基づき当該独立行政法人等が定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項 の規定に基づく政令で定める方法以外のものを除く。)を含む。)又は情報公開条例で定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項 (同項 の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法以外のものを除く。)により開示するために必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。

 

放送のための一時的固定(著作権法第44条)

テレビ局などが権利者の許諾を得て撮影した映像を放送する場合、編集のために録音や録画をしますが、そのたびにいちいち許諾を撮っていたのでは仕事になりません。そこで、放送のため一時的に録音録画をする場合には許諾を要しないことになっています。しかし、録音録画したものは6ヶ月以上保存してはなりません。これをチェックする手立てがあるのか疑問ではありますが。

著作権法第第44条
放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく放送することができる著作物を、自己の放送のために、自己の手段又は当該著作物を同じく放送することができる他の放送事業者の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。

2 有線放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく有線放送することができる著作物を、自己の有線放送(放送を受信して行うものを除く。)のために、自己の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。

3 前二項の規定により作成された録音物又は録画物は、録音又は録画の後六月(その期間内に当該録音物又は録画物を用いてする放送又は有線放送があつたときは、その放送又は有線放送の後六月)を超えて保存することができない。ただし、政令で定めるところにより公的な記録保存所において保存する場合は、この限りでない。

 

美術の著作物の所有者による展示(著作権法第45条)

美術の著作物と写真の著作物の原作品の所有者や、その所有者から同意を得た人は、著作権者の許諾がなくともその原作品を公に展示することができます。しかし、美術の著作物については、街路や公園など一般公衆に見える場所に設置することはできません。ホームページ掲載など複製を伴う利用もできないと考えられます。

著作権法第45条 美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる。

2 前項の規定は、美術の著作物の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には、適用しない。

 

公開の美術の著作物等の利用(著作権法第46条)

美術の著作物で公園などの屋外の場所に設置されているもの(銅像や看板など)や、建築の著作物は、彫刻・建築物の複製、屋外設置の目的での複製、販売目的での複製、の場合を除き、複製をすることができます。街の銅像や看板を写真に撮ってホームページで掲載することは無許諾でできます。 営利目的の場合は許諾が必要ですが、景色の一部分として見える場合などは無許諾で利用できると考えられます(例えば風景写真に写った看板などは無許諾でも営利利用できる)。

※公開の美術の著作物等の利用であっても以下の場合は許諾が必要です。
(1) 彫刻を彫刻として増製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(2) 建築の著作物を建築として複製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(3) 屋外に恒常的に設置するために複製すること。
(4) もっぱら販売目的で美術の著作物を複製し,又はそれを販売すること。

著作権法第第46条 美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

一 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合

二 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合

三 前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合

四 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合

展覧会のカタログ等への掲載 (著作権法第47条)

展覧会で展示出品物をパンフレットなどに掲載することは無許諾でできます。余りに立派なパンフレットを作ってしまうと、それだけで画集と同じような価値をもつことになるので適用外となります。

第47条 美術の著作物又は写真の著作物の原作品により、第二十五条に規定する権利を害することなく、これらの著作物を公に展示する者は、観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子にこれらの著作物を掲載することができる

 

美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等

 美術作品の原物や複製物を所有している人がネットオークションなどで売却をしたい場合に、その申出のために必要な限度で作品画像をWEB上にアップロードしても著作権を侵害ないという規定です。
但し、それらの行為によって第三者が作品をさらにコピーしたりアップロードしたりすると著作権者に不当に損失を与えてしまうので、そういった行為を抑制するために政令で定める一定の措置をとらなければなりません。

美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)
法第第四十七条の二
美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が、第二十六条の二第一項又は第二十六条の三に規定する権利を害することなく、その原作品又は複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合には、当該権原を有する者又はその委託を受けた者は、その申出の用に供するため、これらの著作物について、複製又は公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)(当該複製により作成される複製物を用いて行うこれらの著作物の複製又は当該公衆送信を受信して行うこれらの著作物の複製を防止し、又は抑止するための措置その他の著作権者の利益を不当に害しないための措置として政令で定める措置を講じて行うものに限る。)を行うことができる。

 

プログラム著作物の複製物の所有者による複製

適法に手に入れたプログラムの複製物を所有する人は、自分が使用するために必要な範囲内で複製したり翻案したりできます。例えば、データの破損に備えたバックアップ(複製)や、バージョンアップ(翻案)などです。あくまでも適法に入手されたものに限るので、違法な複製された複製物は適用外です。また、他人から借りたプログラムの適用外です。 このプログラムの所有権を滅失以外の何らかの理由で失った場合には、改めて著作権者からの許諾を得ない限り、複製・翻案したものの全てを廃棄しなければなりません。

(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
著作権法第第四十七条の三  プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。
2  前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなつた後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。

保守・修理等のための一時的複製

記録媒体が内蔵された複製機器の保守又は修理の際に複製機器を交換する場合には、記録媒体に複製されている著作物を一時的に別の媒体に複製し、修理の後に当該機器の記録媒体に改めて複製することができます。
ただし、修理を終えた後は一時的に別の媒体に複製した著作物を廃棄しなければなりません。

(保守、修理等のための一時的複製)
著作権法第第四十七条の四  記録媒体内蔵複製機器(複製の機能を有する機器であつて、その複製を機器に内蔵する記録媒体(以下この条において「内蔵記録媒体」という。)に記録して行うものをいう。次項において同じ。)の保守又は修理を行う場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録することができる。
2  記録媒体内蔵複製機器に製造上の欠陥又は販売に至るまでの過程において生じた故障があるためこれを同種の機器と交換する場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同種の機器の内蔵記録媒体に記録することができる。
3  前二項の規定により内蔵記録媒体以外の記録媒体に著作物を記録した者は、これらの規定による保守若しくは修理又は交換の後には、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物を保存してはならない。

送信の障害の防止等のための複製

(送信の障害の防止等のための複製)
著作権法第第四十七条の五
自動公衆送信装置等(自動公衆送信装置及び特定送信装置(電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち特定送信(自動公衆送信以外の無線通信又は有線電気通信の送信で政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の用に供する部分(第一号において「特定送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報の特定送信をする機能を有する装置をいう。)をいう。以下この条において同じ。)を他人の自動公衆送信等(自動公衆送信及び特定送信をいう。以下この条において同じ。)の用に供することを業として行う者は、次の各号に掲げる目的上必要と認められる限度において、当該自動公衆送信装置等により送信可能化等(送信可能化及び特定送信をし得るようにするための行為で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)がされた著作物を、当該各号に定める記録媒体に記録することができる。

一 自動公衆送信等の求めが当該自動公衆送信装置等に集中することによる送信の遅滞又は当該自動公衆送信装置等の故障による送信の障害を防止すること

当該送信可能化等に係る公衆送信用記録媒体等(公衆送信用記録媒体及び特定送信用記録媒体をいう。次号において同じ。)以外の記録媒体であつて、当該送信可能化等に係る自動公衆送信等の用に供するためのもの

二 当該送信可能化等に係る公衆送信用記録媒体等に記録された当該著作物の複製物が滅失し、又は毀損した場合の復旧の用に供すること

当該公衆送信用記録媒体等以外の記録媒体(公衆送信用記録媒体等であるものを除く。)

2 自動公衆送信装置等を他人の自動公衆送信等の用に供することを業として行う者は、送信可能化等がされた著作物(当該自動公衆送信装置等により送信可能化等がされたものを除く。)の自動公衆送信等を中継するための送信を行う場合には、当該送信後に行われる当該著作物の自動公衆送信等を中継するための送信を効率的に行うために必要と認められる限度において、当該著作物を当該自動公衆送信装置等の記録媒体のうち当該送信の用に供する部分に記録することができる。

3 次の各号に掲げる者は、当該各号に定めるときは、その後は、当該各号に規定する規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を保存してはならない。
一 第一項(第一号に係る部分に限る。)又は前項の規定により著作物を記録媒体に記録した者これらの規定に定める目的のため当該複製物を保存する必要がなくなつたと認められるとき、又は当該著作物に係る送信可能化等が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化等にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知つたとき。
二 第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により著作物を記録媒体に記録した者同号に掲げる目的のため当該複製物を保存する必要がなくなつたと認められるとき。

送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等

(送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等)
第四十七条の六公衆からの求めに応じ、送信可能化された情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。以下この条において同じ。)を検索し、及びその結果を提供することを業として行う者(当該事業の一部を行う者を含み、送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、当該検索及びその結果の提供を行うために必要と認められる限度において、送信可能化された著作物(当該著作物に係る自動公衆送信について受信者を識別するための情報の入力を求めることその他の受信を制限するための手段が講じられている場合にあつては、当該自動公衆送信の受信について当該手段を講じた者の承諾を得たものに限る。)について、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行い、及び公衆からの求めに応じ、当該求めに関する送信可能化された情報に係る送信元識別符号の提供と併せて、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物(当該著作物に係る当該二次的著作物の複製物を含む。以下この条において「検索結果提供用記録」という。)のうち当該送信元識別符号に係るものを用いて自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該検索結果提供用記録に係る著作物に係る送信可能化が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知つたときは、その後は、当該検索結果提供用記録を用いた自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行つてはならない。

情報解析のための複製等

(情報解析のための複製等)
第四十七条の七著作物は、電子計算機による情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の統計的な解析を行うことをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とする場合には、必要と認められる限度において、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行うことができる。ただし、情報解析を行う者の用に供するために作成されたデータベースの著作物については、この限りでない。

電子計算機における著作物の利用に伴う複製

(電子計算機における著作物の利用に伴う複製)
第四十七条の八電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合(これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合に限る。)には、当該著作物は、これ
らの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。

 

著作権の基本その7 著作権保護期間>へ

 

著作権の基本その5

著作権は権利の束

著作権法は著作者に対して、著作物を作った瞬間にいろいろな権利を与えてくれます。それらの権利は「著作権」「著作者人格権」「著作隣接権」の3つに分類することができます。

ここでは財産権の一種である「著作権」の中身に関して述べます。

複製権(21条) ~ 著作物をコピーするときなど

同じ表現のものをもうひとつ作りだすことを専有する権利。

著作権法
第21条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

著作権を英語で「COPYRIGHT」と言いますが、複製とはまさに「コピー」のことです。
著作権の中で一番古く重要で、もっとも基本的な権利です。

例えば、文章や画像をコピー機でコピーすること、パソコンのプログラムをフロッピーディスクに記憶させること、音楽やテレビ番組をCDやテープなどに録音録画すること、電車やパスに人気キャラクターの絵を手描きすることなど、我々が日常的によく行っている行為でもあります。

コピーするときには複製権者の許諾を得る必要がありますが、例外として私的使用を目的とする複製や引用の場合などには許諾を得ないで行うことができます(著作権法30条・32条その他)。

よくある勘違いですが、一部分を修正しているからと言って勝手に利用できるわけではありませんし、全く同じモノとして複製する場合だけが複製にあたるのでもありません。

例えば、文章の語尾を「です」から「である」に変えたり、イラストの一部分だけを抜き取って合成したりする場合でも、原作者の個性的な表現を利用しているのであれば複製にあたります。

しかし、自分がつくった著作物がたまたま他人の著作物にうりふたつだったとしても複製にはあたりません。

 

上演権・演奏権(22条) ~ 演劇や演奏をするとき

著作権法
第22条  著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。

※法第2条5項抜粋
この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。

「上演権」「演奏権」は、脚本を舞台等で上演したり、音楽を演奏したり、または市販CDを再生したりして、公衆に見せたり聞かせたりすることを専有する権利です。

「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」とありますので、道を歩きながら口笛を吹いたり、カラオケボックスで歌ったりすることは該当しません。

小売店の店頭や喫茶店内で音楽を流すことも、演奏権者の許諾が必要です。
なお、この条文における「公衆」とは、「不特定の人」または「大勢の人」という意味であると考えられます。

結婚式のBGMとして音楽を使用するような場合は、参加者が特定されていますが、それでも人数が多い場合には「公衆」にあたり、演奏権者の許諾が必要になることがありえます。

非営利目的で演奏する場合には一定の条件のもとに無許諾で演奏できる場合があります。(著38条)

 

上映権(22条の2) ~ 街角の大型ディスプレイなどで上映するとき

公衆に対して上映する権利

著作権法
第22条の2  著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。※平成11年の法改正により、著作物をスクリーンやディスプレイ画面等に映し出すことをにより公衆に対して視聴覚的に提示する行為を制限すつ目的で定められました。

 

公衆送信権等(23条) ~ インターネット、テレビ放送、通信カラオケ等

 公衆に送信したり送信可能な状態に置くことを専有する権利

著作権法第23条
①著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
②著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

公衆送信権は平成9年の法改正により新たに作られた、IT社会においてとても重要な権利です。

 

◎公衆送信権の中身

 公衆送信権は、放送権、有線放送権及び自動公衆送信権(送信可能化権含む)から構成されます。(著作権法第2条7号の2、8号、9号の1~5) 

  1. 放送

     著作物を公衆に対して放送するには公衆送信権者の許諾が必要です。放送とは、一般的にはラジオ放送やテレビ放送などのことですが、生放送に限らず録画、録音により複製された著作物の放送も同様です。

  2. 有線放送

     有線電気通信により著作物を公衆に提供する権利。例えば電波が届きにくい地域などのテレビ番組のCATV、レストランなどでの音楽の有線放送がこれにあたります。コンピュータープログラムを会社などでLANによって送受信している場合には、そのネットワーク上で著作物を送信する場合には有線送信にあたり、許諾が必要です。コンピュータープログラムはネット上から用意に無断インストールが可能で、しかも使用する人数に応じた使用料が設定されているので、LAN上での送信を自由にすると著作権者を保護できないからです。

  3. 自動公衆送信権

     公衆からの求めに応じ著作物の送信を自動的に行うことですが、放送・有線放送に該当する場合は除かれます(著作権法第2条1項9号)。送信者の意思で積極的に送信する場合だけでなく、企業のオンラインサービスなどのように、利用者からの要求にに応じて自動的にデジタル化された著作物を送信する場合や、インターネットのように単に送信が可能な状態(データをサーバーにアップロードした状態)を作り出すこと(送信可能化)までをも含みます。 自動公衆送信はインターネットなど身近な著作物利用の形態の1つですが、注意しなければならないのは、インターネットには営利・非営利、公的私的、という区別が存在しないと解釈されていることです。なぜなら、インターネットでは、そのような区別無くして世界中に送信され、例え非営利であっても、一度送信してしまえば世界のどこでどのように利用されるかわからないからです。デジタル化された著作物は、簡単に複製したり、改変したりできますので、著作権保護の観点からは非常に危険な存在でもあります。 

第2条1項抜粋
七の二  公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
八  放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。
九  放送事業者 放送を業として行なう者をいう。
九の二  有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。
九の三  有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。
九の四  自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。
九の五  送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。

 

口述権(24条) ~ 講演会、スピーカーなどで他人の口述を再生したりするとき

 言語の著作物を口述、再生する権利

著作権法
第24条  著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。

 

展示権(25条) ~ 展覧会 美術展などで

「美術の著作物」、または、「未発行の写真の著作物」の原作品を公に展示することを専有する権利

著作権法第25条

著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。

※写真の場合は美術の著作物と異なり、原作品を特定することが難しいので、未発行のもののみを対象としました。

 

頒布権(26条) ~ 映画館で映画を上映するための流通

映画の複製物を公衆に譲渡・貸与することを専有する権利

著作権法第26条
① 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
② 著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。

 

譲渡権(26条の2) ~ 映画以外の著作物を譲渡するとき

 違法な複製品の流通を防止するために、著作物を譲渡により公衆に提供することを専有する権利

著作権法第26条の2
①著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
② 前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一  前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物
二  第六十七条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定又は万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律 (昭和三十一年法律第八十六号)第五条第一項 の規定による許可を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
三  前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された著作物の原作品又は複製物
四  この法律の施行地外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された著作物の原作品又は複製物

 

貸与権(26条の3) ~ レンタルビデオ、レンタルCD

著作物を貸与により公衆に提供することを専有権利

著作権法第26条の3  著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。

 

翻訳権・翻案権等(27条) ~ 作品を翻訳、映画化するとき

著作物を翻訳、編曲、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、翻案することを専有する権利

著作権法第27条  著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

 

二次的著作物利用権(28条) ~ 日本語訳された外国作品の出版など

二次的著作物の原著作者も二次的著作物の著作者と同様の権利を持つ

著作権法第28条  二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。

 

出版権(79・80条) ~ 小説などの出版に関する権利(著作権ではありません)

複製権を持っている人が文書や図画(とが)を他人に出版させる場合に設定することのできる権利です。

出版とは、頒布の目的をもって、その出版の目的である著作物を原作のまま印刷したり、そのほか機械的又は化学的方法により文書又は図画(とが)として複製することです。
著作権とは異なる特殊な権利だといえそうです。

著作権法第79条
①第21条に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権者」という。)は、その著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
②複製権者は、その複製権を目的とする質権が設定されているときは、当該質権を有する者の承諾を得た場合に限り、出版権を設定することができるものとする。第80条
①出版権者は、設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する。
②出版権の存続期間中に当該著作物の著作者が死亡したとき、又は、設定行為に別段の定めがある場合を除き、出版権の設定後最初の出版があつた日から三年を経過したときは、複製権者は、前項の規定にかかわらず、当該著作物を全集その他の編集物(その著作者の著作物のみを編集したものに限る。)に収録して複製することができる。
③出版権者は、他人に対し、その出版権の目的である著作物の複製を許諾することができない。

複製権とその兄弟たち

 歴史的にみると、著作物の利用は「コピー」することから始まったので、著作権を英語で「COPYRIGHT(コピーライト)」と言います。

著作権はもともとコピーという利用を独占するための権利(複製権)から始まりました。

現代ではそのほかにもたくさんの「何々権」という権利が著作者に与えられています。

これは著作物の利用方法の種類が多くなったからで、そのいろいろな利用方法の発展に対応して、たくさんの権利が必要になりました。

著作権という権利は実は1つの権利ではなく、著作権法によって作られた複数の権利の集合体ですから、よく「権利の束」であると言われます。

最もよく使われ歴史の古い「複製権」、最近生まれた権利では「貸与権」があり、もっとも新しい権利は「公衆送信権」や「譲渡権」といったところでしょうか。

「著作権侵害」と言う表現だけでは、著作権の中のどの権利が侵害されたのかがあいまいです。

無断コピーは複製権侵害、無断アップロードは公衆送信権(の中の送信可能化権)侵害になります。

権利の種類によって性質や法律の適用に相違があるので、権利を明確にすることは軽視できません。

たとえば著作権法第30条の私的使用の規定は複製のみに関する規定であるし、音楽の非営利目的での利用は演奏については無許諾でも可能ですが、公衆送信については認められていないといった具合です。

なお、著作権を構成するそれぞれの権利のことを「支分権」と呼ぶことがあります。

 

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著作権の基本その4

著作権による利用の制限

著作者と著作権者の違い

 著作権は作者が「もっと作品をつくりたい」という気持ちを高めるためにつくられた財産権です。財産権は財産そのものと言ってもよいでしょう。

 「家を買った」と言えば、法律的には「家と土地の所有権を買った」ということになり、所有権が財産だということになります。

 著作権も同様に財産ですので、財産として処分できます。たとえば他人に売ったり担保にしたり、相続することもできます。

 著作者は著作物を創作したときにたくさんの権利を手に入れていますが、そのうちの一種が著作権です。

 著作権は最初は著作者に帰属していますが、著作者が著作権を他人に譲渡してしまえば著作者には著作権は残りません。

 そして著作権を譲り受けた人は「著作権者」になります。

著作権譲渡の図

 

 

 

 

 

 


このように、著作者著作権者は別々の人間である場合があります。

 著作者としての立場は永遠に変りませんが、著作権者としての立場は転々と移動することがありえます。「著作権者ではない著作者」、「著作者ではない著作権者」が存在します。

 

著作権は権利の束

 下記の表のとおり、著作者は著作物を作ったときには「著作権」「著作者人格権」「補償金請求権」の3種類を持っていて、それらはさらに小さな権利に分かれています。
著作権の場合は10個以上の権利に分かれているため「権利の束」と呼ばれることがあります。
これらの小さな権利はそれぞれ独立した権利ですので、それぞれ財産として処分することができます。

 

著作者の権利の一覧

著作者
の権利

 著作者人格権

公表権(18条)

氏名表示権(19条)

同一性保持権(20条)

 著  作  権

複製権(21条)

上演権・演奏権(22条)

上映権(22条の2)

公衆送信権等(23条)

口述権(24条)

展示権(25条)

頒布権(26条)

譲渡権(26条の2)

貸与権(26条の3)

翻訳権・翻案権等(27条)

二次的著作物利用権(28条)

補償金請求権

私的録音録画補償金請求権(30条2項)
教科書等掲載補償金請求権(33条2項)
教育番組放送補償金請求権(34条2項)
試験問題複製補償金請求権(36条2項)

ビデオ等貸与補償金請求権(38条5項)

 

もし作品を勝手に利用されたら

 日本の法制度では迷惑なことをすると、国家権力によって二種類の方法で責任を追及できます。kora

民事責任の追及

作者(著作権を持っている人)自身が
・侵害の停止又は防止を請求することができる。
(著作権法第 112条)
・損害賠償請求できる。(民法第709条)

☆詳しくは「著作権侵害の民事責任」へ

 

刑事責任の追及

捜査機関が犯罪として処罰してくれる。
・10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処する。
(著作権法第 119条 但し、親告罪)

☆詳しくは「著作権侵害の刑事責任」へ。

☆親告罪については「親告罪のこと」へ

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著作権の基本その3

著作物について

 

著作物とはなんだろう?

著作権法にはいろいろなルールがありますが、それらはもっぱら著作物(著作者が作った表現)の利用に関係することです。 著作物とは何かということについて著作権法では次のように書いてあります。

著作権法の著作物の定義
著作思想又は感情を創作的に表現したものであつて、
文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

簡単に言うと「思想・感情を創作的に表現したもの」となります。
思ったことや感じたことを個性的に表現すれば、その表現が「著作物」であり、著作物には著作権のほかいろいろな権利が生まれます。
著作権法は「こういうものは著作物になることがありますよ」という意味で以下のような例示をしています。

著作権法第10条抜粋

この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。 

一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物 

二 音楽の著作物 

三 舞踊又は無言劇の著作物 

四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物 

五 建築の著作物 

六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物 

七 映画の著作物   

八 写真の著作物   

九 プログラムの著作物

 

レシピは著作物?

次のレシピは著作物でしょうか?

例その1 「かにサラダ」サラダカニ(殻つき) 640g
ゆで卵 2コ
レタス 4枚
ブロッコリー 200g
レモン 適量
ドレッシング 適量

著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」ですが、このレシピでは材料の種類と分量がありふれた方法で表現されているだけです。
思想や感情が見当たりませんし、創作的(個性的)な表現もなさそうです。
このようなレシピは著作物とは言いがたいところです。では次のレシピを見てみましょう。

例その2 ☆かにサラダCOZYオリジナル
カニ(殻つき) 640g  タラバが欲しいけど、なければ缶詰でガマン。
ゆで卵 2コ  黄身が少しくずれるくらいのやわらか加減が大事。
レタス数枚  切るよりちぎっちゃいましょう。横長が食べやすい。
ブロッコリー 200g  ビタミンCがもったいないからレンジでチンがよし。
レモン 適量  風味がいいユズなどもオススメ。
ドレッシング 適量 ゴマ風味よりもシソかノンオイルがよろし。
夏は冷やしそーめんと一緒にどうぞ。たったこれだけ。

このレシピを全体としてみると、「思想・感情」が含まれているようにもみえますし、表現の仕方にも少し個性が感じられます。断定はできませんが著作物であると認めてあげたいところです。しかし、人によって意見は異なるでしょう。

このように著作物かどうかの判断は、その表現を見た人の感じ方で意見が分かれてしまうことがあり、とても微妙な問題になることがあります。

このようなときには、「文化の発展のために保護されるべき表現かどうか」という点で考えてみてはどうでしょう。つまり、その表現が誰かに独占されることによって文化が発展するのであれば、保護したすべきではないかと思うのです。

 

著作物は表現なのです

著作権トラブルの多くは、ある表現が著作物かどうかという点にかかってきます。
たとえば、次のような文章表現は著作物でしょうか?

A 「○田太郎氏 年月日死去  葬儀告別式は何月何日 築地本願寺にて
故人は東京都生まれ 元野球選手 解説者 享年70歳 」 

B 何月何日 横浜球場 横浜 × 巨人 2対0
(勝)山田15試合8勝3敗 (敗)田中15試合8勝5敗 

AとBを見たところ、いずれも事実をありふれた方法で表現していて、創作性が欠けると思われるので、著作物にはあたらないと考えるべきでしょう。 このようなありふれた表現について利用が制限されてしまうと、文化の発展に良い影響を与えないばかりか、表現の自由が不当に制限されて困ったことになるかもしれません。

 

創作的である とは?

松尾芭蕉

①月曜日、きょうも一日がんばろう

②若いときの苦労は買ってでもしろ

③五月雨やあつめてはやし最上川

これらは五七五の句で表現されていますが著作物だと言えるでしょうか。
思想感情を創作的に表現したものが著作物です。

①②③のいずれも思想感情を表現したものではありますが、①と②については「創作的」であるとは思えません。

創作的であるということは、その作者の個性がうかがえるということです。

③は松尾芭蕉の俳句ですがいかがでしょう。さすがに芭蕉ですから、芭蕉らしさというものが短い語句の中で表現されていると考えれば著作物であるし、芭蕉らしさが感じられないなら著作物ではないというふうに考えられますが、私としては著作物として認めたいと思っています。

かといって俳句はみな著作物であるということではありません。同じ五七五の表現をとっていても、創作性のあるものと無いものとに分かれます。創作性の有無も非常に難しい判断になることがありますが、ひとつご注意いただきたいことがあります。

というのは、著作権法として著作物にあたらないなら、無断で利用しても問題にならないと考えることがありますが、法律は著作権法だけではないし、仮に法律的に問題がないとしても、それで世間から非難を受けたりトラブルに発展しないとは限りません。

有名なタレントさんが川柳を芸のネタとして使った際に、著作権侵害ではなく「パクリ」という名目でマスコミからたたかれたことがありました。
著作権法の基準がすべてにおいてあてはまるとは限りませんし、世間はとかく誤解しやすいものです。

法律だけでなく、「人としてどうか」、「世間はどうみるか」という視点も含めて判断していただきたいと思います。

 

著作権の基本その4 著作権による利用の制限>へ

著作権の基本その2

著作権制度の目的

著作権はどのように生まれる?

著作権は「作品(著作物)の利用を制限できる権利」であると一般的に考えられています。
著作権は、人が「著作物」というものをつくったときに、つくった人に対して認められます。

日本の制度では、著作権が生まれるために手続や条件などはありませんが、外国では役所で登録などの手続をすることによって権利が認めらる制度になっている場合があるようです。(無方式主義方式主義

egaki

 

著作権法は何のためにある?

waru
せっかく創った作品を、
誰かが勝手にコピーしてもうけるような
世の中だったら
neru
芸術家は、作品を世に出したいとは
思わなくなってしまうでしょう

これでは文化がおとろえてしまいます。
だから・・・

 

作者が作品を作りたいと思えるように、財産的な保護をあたえよう。
そうすれば、きっと
文化が発展に違いない!!

というわけで、著作権法第1条には次のように書いてあります。


 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。

つまり、著作者の権利を必要に応じて保護することによって文化を発展させるのです。 「産業の保護のため」でも、「著作者の権利を守るため」でもなく、「文化を発展させること」が目的なのです。

著作権は独占権

以上の理由から、著作権法は、著作権を持つ人に、作品(著作物)の利用を独占させてくれます。つまり、他人は著作権を持つ人から許諾をもらわないと、その作品を利用できません。もし許諾をもらわないで勝手に利用してしまうと、それは「権利を侵害」したことになり、責任を追及されることになるかもしれません。
riyou  kiduki

 

他人の作品を利用したいときは

たとえば、もし他人の作品をコピーしたいと思ったら、その作品の利用独占権(著作権)を持っている人から、コピーすることについて許諾をもらえばよいのです。作者は許諾の条件としてお金を受け取ることもできますから、自分の作品の評価に応じて収入を得て、次の作品の創作活動に挑戦する余裕を手に入れることができるでしょう。
akushu
※許諾をもらうことは契約の一種です。原則として、約束したときに契約は成立しています。
契約書などの文書として証拠を残すかどうかは当事者の自由です。

 

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著作権の基本その1 知的財産とは何だろう

知的財産とは何だろう

知的財産について考えるときは、「法律の知識」を覚えるよりも、皆さんの心の中にある原理(または原則や法則、常識)について考えてみた方が、ずっと理解しやすくなります。

私達は法律の知識がなくても「この世の中がどうあるべきか」を考える能力を持っています。
考える」ことは「疑問を持つ」ことから生まれます。何事にも疑問を持ち、ゼロから考えてみませんか?
将来は別の答えに変わるかもしれないけれど、今の自分はこう思う。私はそういう気分でこの文章をつくっています。

財産という言葉

私たちは「財産」という言葉をよく使いますが、「財産」とは何でしょう。ここで、私達がどんなときに「財産」という言葉を使っているのかを考えてみましょう。

あなたが海辺を歩いていると、波打ち際にきれいな貝殻が落ちていて、きれいだなあと思って拾ってしまいました。別に悪いことをしたは思いませんね。海に落ちていた貝殻は誰かの財産ではないし、それを持ち帰ったとしても誰も文句を言う人はいません。
さて、海を見ながらおにぎりを食べようと思い、手にしていた貝殻を足元に置きました。
すると、見知らぬ人が突然現れて、その貝殻をサッと手にとって走り去ってゆきました。
びっくりしたあなたは、「あっ! ドロボウ!」と叫んで
しまうかもしれません。
ドロボウとは「他人の財産を盗むこと」です。
いつの間にか貝殻財産になっていました。

貝殻

 

財産についてのふたつの原理

最初に海辺で拾おうとするまでは、貝殻は財産ではないし、それを持ち去っても悪いことではない、とあなたは判断しました。しかし、あなたが足元に置いた貝殻を他人に持ち去られたときは「盗まれた」、つまり「財産だ」と判断したのです。

ここであなたの心の中にあるふたつの原理(原則)のようなものがあることに気がつきます。

  1. 最初に何かを手に入れた人は、そのモノを「自分だけのもの」にできる。
  2. 他人が自分のものだと思って独占しているモノ(財産)は奪ってはならない。

多くの人は法律の知識に頼らなくとも、なんとなくこのように考えていて、これは「常識」のようなものかもしれません。しかし世の中にはこのような常識を無視する迷惑な人がいるものです。
人の財産を勝手に奪うような迷惑な人に対して、私達はどのように対処したらよいでしょう。

国家による財産の保護

あるモノを欲しがる人が一人だけなら問題はないのですが、欲しいと思う人がたくさんいると「争い」が起こります。しかし、自分の思うとおりにならないからといって暴力をふるうことは良くないことだ。これも皆さんの心の中にある常識や原理です。

そこで、国家の強制力、つまり権力というものに登場してもらいましょう。
国民は国家に対し、国民が各人の財産を独占する状態を保護させることにして
、そのために強い力(権力)を与えます。

もし財産について言い争いが起きたら、公平な第三者(裁判所)に判断してもらい、その判断にしたがって国家権力に動いてもらいましょう。このようにして財産の争いを防ぐことは、社会の安定のためにとても重要な仕組みのひとつです。

もしあなたが財産を他人にとられたら、「それを返してくれ」とか「損した分をつぐなってくれ」というあなたの請求を裁判所が認めてくれれば、国家権力があなたに代わって望みをかなえてくれるでしょう。

他人の財産を盗んだら窃盗罪、暴力で無理矢理に財産を奪ったら強盗罪、ウソをついて財産を手に入れたら詐欺罪、といったように刑罰も用意されています。

このようにして国家は、国民が財産を独占している状態を守ろうとします。この状態を私達は「財産権がある」と言っています。
このような仕組みがあるおかげで、国民は安心して労働し、財産を蓄え、暴力に頼らないで暮らすことができます。

物体ではなくても財産になれる時代

財産と人

人が「自分だけのものにしたい」と思うモノは「財産」と呼ばれ、人がその財産を独占することを国家権力が認めている状態では、その人は「財産権」という権利を持っているのだと言えます。

財産にはいろいろありますが、普通は不動産や宝石などのように物体として存在しています。
物体でないものは財産ではないという考え方は人類の歴史の中では一般的な考え方だったかもしれません。
しかし文明が発展すればするほど、物体以外のモノのやりとりが増え、価値が高まる傾向があります。

現代の日本社会でも、物体をつくる仕事より、情報やサービスを提供する仕事の割合が大きくなっています。
そのような社会では、他人の才能や努力を勝手に利用して利益を得ようとすることは「ずるいこと」「不公正」「タダのり」であるとして制限されるべきだと考えられるようになってきます。

言い換えれば、物体ではないモノ、たとえば、デザイン、メロディ、アイデア、商標、情報、なども、それを最初に手に入れた人のモノ、つまり「創造者の財産」として保護しようとする考えが強くなってきます。

これは<最初に手に入れた人は、そのモノを「自分だけのもの」にできる>という先ほどの原理に通じています。

こうして保護されるようになった「物体ではない財産」は「無体財産」と呼ばれます。人の才能や努力の成果を財産として認め合うべきだという思想はますます深まってゆくでしょう。

独占権を与えて無体財産を保護する

無体財産は宝石や不動産などと違い、隠したりカギをかけたりしても意味が無く、誰かに一度見られてしまえば記憶をもとに再現されてしまうので、簡単にその無体財産が他人に利用されてしまいます。

そこで、無体財産を権利として保護するために、無体財産をつくった人に利用の独占権を認め、もし誰かが利用したい場合には、独占権を持っている人から許諾をとらなければならない、という仕組みをつくります。

もし独占権を無視して利用しようとする迷惑な人がいれば、その人にはドロボウの場合と同じように責任を取ってもらうことになります。

民事責任と刑事責任

迷惑なことをした人に対して、国家権力を使って責任をとらせる方法は2種類あって、その一つが「被害者の損失をつぐなわせる」という方法で、もう一つは「刑罰を受けさせる」という方法です。

前者を民事責任、後者を刑事責任と言ったりします。民事責任の追及は、被害者が受けた損失を加害者につぐなわせることであり、ほとんどの場合は金銭的な支払という方法で納得されることになるでしょう。

刑事責任は社会が加害者に対して追及する責任です。国家は被害者を含めた社会全体を代表して犯罪者を処罰します。そのために犯罪の証拠を確保し容疑者を発見して刑事責任を科すことが警察や検察などの役割です。

現在の日本では民事と刑事の責任追及は別々に独立して行われます。(部分的に融合すべきだという意見もあります)民事責任と刑事責任

知的財産という言葉

「無体財産」よりも「知的財産」という言葉の方が良く使われています。

「知的財産」を<知的活動によってつくられた財産>という意味だとすると、商品のトレードマーク、タレントの名前やスタイルなどは、知的活動によってつくられたというよりは、努力や生まれ持った素質によってつくられたものだと思いますので、無体財産ではあるが知的財産ではない、というふうに考えることもできます。

しかし知的財産という言葉の方がなじみがありますから、無体財産と知的財産を区別しないで使うことのほうが多いようです。著作権は知的活動によってつくられますので知的財産であり、無体財産でもあります。

いろいろな無体財産の関係をおおざっぱに表にすると次のようになります。

無体財産権を示す図表

 

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