非営利の教育・学習指導のための「童話」の ご利用につきまして

非営利の教育・学習指導のための「童話で考える著作権」のご利用につきまして

2018.1.5ルールを改訂しました。その後はじめての方は以下をお読みください)

非営利の教育・学習指導のための「童話で考える著作権」と「著作権のひろば」の解説文の利用掲示板はこちらですが、掲示板への書き込みは、このたび「任意」としました。掲示板に書き込まなくとも、以下のルールでご利用可能です。

ご利用状況について、今後もお知らせいただけますと大変うれしいですが、無理にしていただかなくともよいことにしました。

これまで書き込んでくださった方々、ご連絡をくださった方々に、心より御礼申し上げますとともに、今後も同様にしていただけますと、とてもうれしく思います。

 

<こんな利用方法はOKです>

「童話で考える著作権」における文章とイラストは、著作権のひろばの管理者が制作したものですが、これらについて、非営利で、かつ教育又は学習の目的の場合においては、そのために必要な範囲内での複製、映写、実演による使用を認めます。

童話のご利用に付随して、「著作権のひろば」内の文章、図、表、イラストについてもご利用になれます。

しかし、次のような利用は認められません。

・学校外、企業外、組織外へ提供するための複製や公衆送信などの利用

・出版物やテキスト、CD-ROM等の媒体による頒布

・デジタルデータでの他者への提供、公衆送信等

・卒論や論文を容易に終わらせるためのコピー

 

例えば、こんな場合はOKです。

・学校の授業での使用、先生やPTAの勉強会や会議で複製し配布、文化祭や論文発表会での転載

・生涯学習の授業における複製物としての配布、映写

・出版物等におけるホームページの紹介

・宿題や論文の中での使用(但し、文章の意味をきちんと理解している場合に限ります)

・童話を学校の文化祭や授業で実演することや、それらに関連した使用

 

<童話の文章とイラストの改変について>

例えば、文章の言い回しや、童話の表現などが、使用の目的上不適切であると感じられた場合には、その目的に必要と思われる範囲内で自由に改変していただいて構いません。(記載の表現については、教育上の有用性に自信がないものですから・・・)

なお、このように改変したという旨をお知らせいただいたときには、非常に参考になるので、うれしく思います。

 

<上記ルールの主旨に合わない利用をされたいときは>

上記のルールに合わない方法での利用をされた場合は、お手数ですが、直接管理者までお問合せください。

また、ご不明な点がありましたときも、同様にお問合せくださいませ。

のぞみ合同事務所 著作権のひろば管理人

電話 042-701-3010

 

絵は誰のもの? その10

権利は消えても

ある日、ランジェロは王様に

「著作権は、作者が死んだ時に消えてなくなることにしてください」

と、提案しました。

なぜなら、自分の絵はファイエット先生の絵をまねて、そこからたくさんのことを学んで描けるようになったのだから、より多くの人が将来すばらしい絵をえがくために、自分の絵を自由に使ってほしいと思ったのです。童話の挿絵 楽器や本の絵

やがてランジェロは病気でなくなりましたが、王様はランジェロが死んでから20年で、著作権が消えてなくなることにしました。

そしてランジェロとダルマロがのこした財産は、彼らの約束にしたがって、芸術学校をつくるためにつかわれました。

学校からはたくさんのすぐれた画家や作家、作曲家が生まれ、やがてたくさんのすばらしい作品があふれるゆたかな国になりました。

そして、その学校はランジェロ=ファイエット芸術学校と名づけられました。

童話の挿絵 芸術学校の建物

「絵は誰のもの?」

おわり

童話続編 その1  もしも、偶然にそっくりの絵を描いてしまったら>へ


著作権はいつまで残るのでしょうか

10-A ランジェロが、作者が死んだときに著作権が消えるべきだと考えたのは、なぜでしょうか。死後20年という期間をどう思いますか。

10-B 著作権が消えてなくなるべきだとしたら、どのくらいの時間がすぎてから消えるべきだと思いますか。

10-C 著作権がすでに消えてしまっている作品には、どのような作品がありますか?


◎ヒント

①著作権が永遠に残るとしたら、どんな世の中になるでしょうか。

②王様がランジェロの提案に反して、ランジェロの死後20年がすぎるまで権利をのこしたのはなぜでしょうか。王様はどんな人? 王様の地位は誰が受け継ぐのか。

☆著作権の基本その7 著作権保護期間

 

絵は誰のもの? その9

もっと作品をひろめるために

ランジェロは、作品を印刷して売ることをダルマロにまかせることにしました。

そして、お金をためていつの日か、若い画家や作家たちが勉強するための学校をつくる約束をしました。

そうしてたくさんの芸術家が生まれ、安心して生活し、すばらしい作品があふれる世の中になることが、なくなったファイエット先生の願いであったことをたしかめあいました。

やがてランジェロはお金持ちになり、たくさんの人から尊敬されるようになりました。

しかし、ランジェロにはひとつだけ、どうしても気になることがありました。

ファイエット先生はまずしい生活をがまんして、ランジェロに絵のえがきかたを教えてくれました。

それなのに、今のランジェロは自分の権利のおかげで裕福にくらしているのです。

童話の挿絵 先生とおさないランジェロが絵を描いている

絵は誰のもの? その10 権利は消えても>へ


著作権法は何のためにあるのか

9-A ランジェロが、絵を印刷して売ることをダルマロにまかせたのは、なぜでしすか。ダルマロはなにが得意だったでしょうか。

9-B すばらしい作品がない世の中だったとしたら、どのような世の中でしょうか。例えば、あなたの大好きな曲を聴くことができなかったら・・・

9-C ファイエット先生の最後の願いとは・・・


◎ヒント

☆著作権の基本その2 著作権制度の目的

絵は誰のもの? その8

自分らしい表現を

ランジェロは自分で高価な印刷機を買うことにしました。

そして、自分の作品だけではなく、自分以外の画家や小説家、作曲家たちと話しあって、彼らの作品を印刷して売ってあげました。

しばらくして、ランジェロはすっかりびんぼうになったダルマロに出会い、ファイエット先生の最後の願いのことを、ダルマロに話しました。

それを聞いてダルマロは言いました。

童話の挿絵 運河のある街の風景

 「先生の絵と同じ絵を描けるようになって、先生にほめてもらえると思ったのに、(もう先生の絵を描くのはやめるように)と言われて、つい出て行ってしまったんだ・・・。」

 ダルマロは、自分がしてしまったことを後悔し、ファイエット先生の死をかなしんで涙をながしました。

 

絵は誰のもの? その9 もっと作品をひろめるために>へ


著作物とは

8-A ファイエット先生から「もう私の絵を描くのはやめなさい」と言われたことの本当の意味について。ファイエット先生がダルマロに言いたかったことは、なんでしょうか。

8-B 著作権法で保護されるべき表現とそうでない表現があります。著作権法が保護したいものはなんでしょうか。 


◎ヒント

・まねをするということは悪いことなのでしょうか。

・ランジェロもダルマロも、先生の絵を真似して上手になったのです。しかし、ランジェロは自分が描きたい絵を描くようになったのに、ダルマロはまねを続けて、それで商売をしました。

☆著作権の基本その3 著作物について

 

絵は誰のもの? その7

お金より大切なもの

しかしランジェロは、それでも自分の絵をわたせませんでした。

なぜなら、ファイエット先生の絵がまねされて、ダルマロの作品として売られていることが許せなかったのです。
そして王様に、

 

「作品を作者の名前で売ること」

「作品に手をくわえないこと」

「作者の意志で作品を世に出すこと」

 

を、法律で守らせてくれるようにお願いしました。
王様はランジェロの気持ちがよくわかったので、そのように法律をつけくわえました。

 そしてダルマロは、これまでにしはらうべきだったお金をランジェロへはらうよう王様から命令されました。

するともう、払うお金がすっかりなくなってしまったので、ダルマロの店はつぶれてしまいました。

 

絵は誰のもの? その8 自分らしい表現を>へ


お金より大事なもの

7-A 他人の絵とそっくりの絵を作って、その絵に自分の名前を書いて人に見せる事をどう思いますか。 

7-B 他人が描いた絵の表現を少し変えたいとき


◎ヒント

☆著作者人格権

絵は誰のもの? その6

法律で作者を守ろう

ランジェロはいつもことわっていましたが、ある日、王様がランジェロのうわさを聞き、ランジェロに絵をゆずるように命令しました。

しかし、ランジェロは命令をことわり、「罰として私の命をとってください。」と言いました。童話の挿絵 王様にお願いするランジェロ

こまった王様は、ランジェロを安心させるために、絵を利用する権利、つまり「著作権」について、法律で定めることにしました。

そして、絵を印刷する権利は、絵を描いた人である「著作者」にだけ与えられるようになり、他人が印刷するときには、著作者と話し合いをして決めた金額をしはらうことになりました。

絵は誰のもの? その7 お金より大切なもの>へ


財産とは?

6-A 財産とは何でしょうか?

6-B 芸術家はどのようにして収入を得ているのでしょうか。


著作権法は財産 

世の中には、カタチがある(所有できる)財産と、カタチがない(物体ではない)財産とがあります。

カタチがない財産のことを「無体財産」と言います。

「絵」はもちろん物体としての財産ではありますが、絵が焼かれて灰になっても、絵を見た人の頭の中に絵の記憶が残っていれば絵を再現できます。

その絵をコピーすることは絵が灰になってもできるのです。

絵をコピーしたり利用したりすることを独占する権利が「著作権」であり、無体財産(権)の一種でもあります。


◎ヒント

☆知的財産とはなんだろう

☆著作物とは何だろう

☆産業財産権

絵は誰のもの? その5

絵はわたせない

ところがある日、ランジェロの絵を目にした人たちが、ランジェロにもっとたくさんの絵を描いてほしいとたのみに来ました。童話の挿絵 絵を見たい人達

「もうコピーにはあきあきしましたよ。私たちは、ランジェロさんがえがいた本物の絵が見たいのです。」

ランジェロはよろこんで、これまでにないほどすばらしい絵をたくさん描きましたが、また誰かに絵をまねされて印刷されてはこまるので、絵は誰にもわたさず、わずかな人にだけこっそり見せることにしました。

しかしそれからも、ランジェロの絵のうわさを聞いて、たくさんの人が絵をゆずってほしいとたのみに来ました。

童話の挿絵 絵を見ている人達

絵は誰のもの? その6 法律で作者を守ろう>へ


作者の気持ち

5-A 誰かが勝手にまねしたり印刷したりする世の中だとしたら、作者はどのように考えるでしょうか。作品を安心して公表できるでしょうか。

絵は誰のもの? その4

絵は私のものだ

町にかえると、ランジェロはダルマロに会い、絵を印刷することをやめるように言いました。しかしダルマロは、

「お前から買った絵は私のものだ。ファイエット先生の絵をまねてつくった絵も私のものだ。どのように使おうと私の勝手じゃないか。」

と言いました。童話の挿絵 ダルマロの肖像それだけでなく、「もっともっと印刷してやる。そうすればお前は国中で有名な画家になれるし、お前の絵がどこででも見られるようになる。みんなダルマロさまに感謝すべきなのさ。」と言うのです。

ランジェロはとても悲しい気持ちになりました。
そしてランジェロはもう、絵をえがくことをやめてしまいました。

貧しい暮らしは、ますます苦しくなってゆきました。

童話の挿絵 机に座ってふさぎこむランジェロ

絵は誰のもの? その5 絵はわたせない>へ


作者の気持ちを考える

4-A 自分の作品が勝手に使われたらどう感じる?

4-B 絵は誰のものなのでしょうか?


◎ヒント

自分の絵を盗まれたとき、自分の絵をまねされたとき。

絵は誰のもの? その3

先生の願い

ファイエット先生が語るには、ダルマロはむかし、先生の一番弟子だったのです。

そしてファイエット先生の絵と、うりふたつの絵を描けるようになりましたが、ある日、先生はダルマロに 「もう私の絵を描くのはやめなさい。」と言いました。

童話の挿絵 印刷機
先生の言葉に腹をたてたダルマロは、先生のもとを飛び出し、となりの国で発明された印刷機を買って、ファイエット先生の絵をまねては、印刷して売るようになりました。

そのことがあってから、先生は絵を描くことをやめてしまい、たくさんの弟子の中から、おさなかったランジェロだけを引き取って、森の奥で暮らしていたのでした。
これまでの出来事を話し終えると、ファイエット先生は、最後にこう言いました。

「私はまずしくてお前しか弟子にしてやれなかった。しかし、たくさんの若者が画家になって、たくさんの人がそのすばらしい絵を見れる世の中になってほしい

のだ。どうかダルマロと一緒に、私の願いをかなえておくれ。」

やがて先生は静かに息を引き取りました。
ランジェロはかなしみをこらえながら、街へかえってゆきました。

童話の挿絵 病の先生

 

絵は誰のもの? その4 絵は私のものだ>へ


「学ぶ」とはどういうこと?

3-A 「上手な絵」と「個性のある絵」の違いはなんでしょう。

3-B 絵を学ぶということは、どういうことなのでしょうか。「学ぶ」という言葉の由来は「真似ぶ」という古語から来ているという説があります。

3-C ファイエット先生が願ったように、たくさんの作品を見ることができる世の中になるためには、どうしたらよいのか考えてみましょう。

 

絵は誰のもの? その2

印刷機の登場

街にうつり住んだランジェロは、朝から夜おそくまでねっしんに絵を描きました。
しかし、完成した絵をどうすればたくさんの人に見てもらえるのか、わかりませんでした。

童話の挿絵 街の歩道

そんなとき、ダルマロという金持ちの画商に出会いました。そして自分の絵を見せてみたところ、どうしてもその絵を売ってほしいと言われました。

お金にこまっていたランジェロは、すぐに持っている絵のすべてをダルマロに売ってしまいました。

しばらくすると、ランジェロの絵は有名になっていました。

じつは、ダルマロがランジェロの絵を、最近発明された印刷機という機械で印刷して売っていたのです。

ダルマロは印刷した絵をたくさん売ってお金をもうけていましたが、ランジェロは絵を売って手にしたわずかなお金を生活のために使い果たしてしまい、今ではその日の食べ物にもこまるようなまずしい生活をおくっていました。

しかし町じゅうのだれもが、ランジェロをかわいそうだと思いませんでしたし、ダルマロがずるいとも思いませんでした。

童話の挿絵 ランジェロが家のドアの前にいる

ある日、ランジェロが新しい絵を買ってもらおうと思ってダルマロの店へ入ると、むかしファイエット先生が描いた絵が、かべにかざられていました。

しかし、その絵にはダルマロのサインが書いてありました。

おどろいたランジェロは、このことをファイエット先生に伝えなければと思い、先生の家にもどりました。

しかし先生の病気は、もうずいぶんと重くなっていました。

絵は誰のもの? その3 先生の願い>へ


印刷機の影響

2-A 印刷機がまだつくられていない時代には、人々は作者の権利をどのように考えていたのでしょうか。

2-B 印刷機が現れる前後で、世の中はどのように変わったでしょうか。


ご注意 この童話における印刷機の登場について

実際には、西欧での印刷機の歴史は聖書などの文章の印刷から始まりました。

精巧な絵の印刷が可能になったのは、つい最近のことです。

著作権を考える上で絵画の印刷が最も理解しやすいため、物語の中では絵の印刷機として登場させていますが、著作権制度が確立される以前に絵画の印刷機が存在していたわけではありません。

5世紀のグーテンベルクによる活版印刷機の発明が無断複製を問題視する必要を生み、19世紀になってようやくヨーロッパで国際的な著作権制度が整備されました。


◎ヒント

☆著作権の歴史