契約する前に注意してほしいこと

次のポイントにも注意しましょう。

◆その1 契約の相手方は信頼できるのか?

 

   「うまい話には裏がある」と言います。また「普通の話に見せかけた巧妙なウソ」もあります。相手方の話が真実なのかどうか「裏付け調査」をしたり、その相手方をよく知っている第三者に聞くなど、ダマされていないかどうかを納得がゆくまでよく調べてください。外見や肩書きだけで判断してはいけません。企業の社長と名乗る人が本当に社長なのかどうかをどうやって判断しますか。もし別人であれば、その人物と契約をしても、その契約はあなたが望む企業には通用しません。ある企業の社長とたまたま同姓同名であることを利用して詐欺をたくらむ人間もいます。契約の前に、登記情報や信用できる第三者の情報など、いろいろな角度からのチェックが必要です。
 信用調査の方法としては、法人であれば、その法人の本店所在地を管轄する法務局の商業登記簿を確認することです。登記情報は誰でも閲覧することができます。最近はほとんどの法務局は電子化されていて、最寄の法務局で全国の登記簿情報の閲覧や登記事項証明書の交付請求が可能です。郵送による請求も可能です。商号と本店所在地がわかれば確認できますので、取引の早い段階で確認するとよいです。会社の情報のほか、代表者の住所氏名を確認することもできます。 詳しくは管轄の法務局にお問合わせください。
  法務局ホームページ  商業・法人登記簿の謄本の交付等の申請

 個人事業者または事業者ではない個人が取引相手であれば、住民票や運転免許証などの身分証明書で身元の確認が可能ですが、個人の場合は本人が任意でこれらの証明書類を提供してくれない限りは入手できません。
 信頼できそうな相手であっても、重要な契約の場合には身分確認をしておくべきです。万一のことを考えると、家族全員の情報と本籍地、過去の住所移転の履歴の記載がある住民票で確認することをおすすめします。公的書類の記載情報が多いほど矛盾や不審な点に気がつきやすいものです。

◆その2 契約の相手方の支払い能力は?

 

  相手方が誠実に契約を守る気持ちがあったとしても、実際に契約を実行する能力がなければ意味がありません。誠実な人でも、自分の能力を過大に評価していたり、将来の見通しが甘かったりすることがあります。契約は「万が一」のことを必ず考えてください。相手方の能力に不安があるときには、信用のある保証人をつける、担保を設定する、保証金を預かる、といったような配慮も必要です。たとえ民事裁判で勝ったとしても支払能力のない人からお金を取り戻すことはできないのです。相手方の取引口座や取引先を知っておくことも重要です。万一法的措置を取る際には有力な情報になりえます。
 また、相手方の資産状況が把握できればなおよいです。不動産の所在や自動車の種類など、誰の名義でどのような状態であるかを知っておいて損ではありません。不動産については、土地家屋の地番や家屋番号がわかれば、不動産登記簿を誰でも閲覧することができます。不動産登記簿の甲区欄には所有者の住所氏名のほか、差押等の情報が記載されており、乙区欄には抵当権などの情報が記載されていて借り入れ状況が把握できます。 
 なお、不動産物件を法務局で閲覧する場合、住居表示をもとに閲覧または交付申請しても物件を特定できないことがよくあります。この場合は法務局備え付けの地図(ブルーマップとも呼ばれる)で地番等を確認できますが、地図はその法務局の管轄エリア分しかありません。。


◆その3 相手方に契約する権限はあるのか?

 

◎法人の場合

 契約の相手方が、本当にその契約をする権限があるのかどうかを考えましょう。相手が法人の場合、その法人の代表者、または営業支配人など一定の責任を負う立場の人でなければなりません。またはそういった権限を持つ人物から契約締結の委任を受けた人物でもかまいません。権限の確認をいい加減にしてしまうと、後でトラブルが起きた時に「その人間は退職しました」とか「そんな契約は聞いていません」とか、「その印は当社の印ではありません」などという話になりえます。重要な契約の際には、印鑑証明書と資格証明書などを契約の際に提示してもらうことも大切です。 

印鑑証明書と資格証明書についてのリンク(福島地方法務局)

 

◎個人と法人どちらの立場で?

 契約を締結する人物が、法人の代表者なのか、それとも個人で契約するのか、といったことも注意が必要です。世間では個人よりも有限会社、有限会社よりも株式会社の方が信用があると思われがちですが、それも時と場合によります。傾きかけている会社よりも社長個人の方が資産も信用もしっかりしているということはよくありますので、同じ人物でも「法人の代表者」として契約するのか、「個人として」の契約なのかをよく考える必要があります。

 

◎法律行為の能力はあるのか

 相手方が未成年者や成年被後見人、被保佐人であると、法律行為能力が制限されているため、後で契約が取消されるおそれがあるので注意が必要です。

 未成年者が契約する時(宮城県のサイト)

 成年後見制度(法務省)

 


◆その4  その他、全体的に見て変なところはないか?
 相手方に関する情報はできるだけ広い範囲からできる限り多くあつめましょう。実際に相手方の事務所等に出向くことも重要です。職場や社員の雰囲気におかしいところがあれば何か理由があるはずです。電話の応対や取引先の噂なども判断材料になりえます。どこかおかしいと思ったら、その疑問を捨てないでよく調査することです。
これらのことは契約締結前に済ませておきましょう。 取引に「絶対大丈夫」はありえません。
絶対大丈夫なら契約書など必要ありません。常にリスクがあるのだということを肝に銘じましょう。






クリエイターのための契約のポイント