◆上演権・演奏権

 他人の著作物を上演や演奏などするとき、許諾が必要な場合があります。

  • 第22条  著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。

     

    ・「上演・演奏権」は脚本を舞台等で上演したり、音楽などを演奏したり、または市販CDを再生したりして、公衆に見せたり聞かせたりすることを独占する権利です。

     

    ・「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」とありますので、道を歩きながら口笛を吹いたり、カラオケボックスで歌ったりすることは該当しません。

     

    ・小売店の店頭や喫茶店内で音楽を流すことも、演奏権者の許諾が必要です。

     

    ・なお、この条文における「公衆」とは、「不特定の人」または「大勢の人」という意味であると考えられます。

     結婚式のBGMとして音楽を使用するような場合は、参加者が特定されていますが、人数が多い場合には「公衆」にあたり、演奏権者の許諾が必要になるでしょう。

     

       ※法第2条5項

         この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。



◆演奏権の例外規定 〜 許諾がいらない非営利の上演等

  • @公表された著作物を、非営利で、参加者から料金をとらず、実演者への報酬も支払わずに、上演、演奏、上映、口述する場合

    • ※非営利で 〜 

       喫茶店や小売店のBGM、商品宣伝イベント等での利用は営利目的であると考えられます。

       

      ※聴衆または観衆から料金を受取らず 〜

       たとえ実費に充当する目的であっても、この規定の「料金」にあたりますが、子供会のお茶菓子等の代金を参加者で平等に負担するような場合は、この規定の「料金」にはあたらないと考えられます。

       

      ※実演者への報酬の支払がない 〜

       交通費や弁当代相当の実費を越える対価の支払がこれに該当します。音楽バンドで給与が支払われているようなケースも報酬に該当すると解釈されているようですが、官庁の音楽隊の場合は給与も公務のためと考えて、これに該当しないと解釈されているようです。

     

     

    A放送される著作物を、非営利、無報酬で有線放送する場合

    • ※電波が届かない地域でのテレビ番組の再送信等に対応するための規定です。

      B放送される著作物を、非営利で、料金を受取らずに、受信装置によって公に伝達する場合。家庭用受信装置によって公に伝達する場合は営利、有料でもかまわない。

      ※飲食店内に設置された家庭用テレビでテレビ番組を見せる行為は、この規定の後段部分にあたります。


    C映画の著作物以外の著作物を、非営利で、料金を受取らずに公衆に貸与する場合

    • ※昭和59年法改正により設定された貸与権の例外規定です。例えば学校や図書館が音楽CDを無償で貸与するような場合があります。

     

    D非営利の視聴覚教育施設等で映画の著作物を料金を受取らずに貸与する場合

        ※施設は政令で指定されています。

    (営利を目的としない上演等) 第38条

    @公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

    A放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、有線放送することができる。

    B放送され、又は有線放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。

    C公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。

    D映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。

 


◆飲食店での音楽の利用 〜 付則14条の削除によって

 

著作権法では第22条で演奏権という権利を設けています。この規定によって、公衆に聞かせることを目的として音楽を演奏する場合は権利者(演奏権者)の許諾が必要とされています。著作権法第38条の非営利演奏にあたる場合は許諾がなくとも再生や演奏ができるのですが、店やレストランでの演奏は原則として著作権者からの許諾が必要です。

但し、以前は著作権法に附則第14条という規定があって、当分の間は適法に録音された音楽著作物(簡単に言うと正規に販売されている音楽CDやレコードなど)の再生演奏には著作権者の許諾が要らない(但し、ディスコ、ダンスホール等での再生演奏は許諾が必要)、という旨が定められていました。
 要するに、店などで営業として音楽を流すことは、例え無許諾であっても違法ではないということなのでした。このように、営利目的であるにも関わらず、無許諾で自由に音楽を流すことができるという制度は世界的にみても珍しい存在でした。

なぜこのような規定があったのかというと、歴史的な経緯の中で音楽著作物の権利の保護が後回しにされ、これまで世間では著作権にたいする認識が薄かったので、突然に店舗等でのBGM演奏に制限を加えると、いたずらに社会的混乱が生じるのではないかと考えられてきたからです。
 しかし、著作権者からの強い要望や、国際条約批准の必要性などもあって、平成11年の改正により演奏権を制限する経過措置(附則14条)が撤廃されることにななりました。

現在ではJSRACによる演奏使用料の徴収が行われています。詳細はJASRACのホームページをご覧ください。

http://www.jasrac.or.jp/info/index.html