「著作権のひろば」管理者からひとこと


◇こんにちわ。

 「著作権のひろば」を制作管理している者です。どうしてもひとつ、「著作権のひろば」をご覧になっている皆さまと、特に教育に関係しておられる皆さんに、お伝えしたいことがあります。

 このホームページでは、著作権等に関してさまざまなご意見やご相談をいただきますが、その中でも多いのは「法的に正しいか」という内容です。そこで私が「ご自分ではどう思いますか?」と聞いても答えが返ってこないことが多いのです。「だって、法律は知らないから・・・・」 

それはそうかもしれませんが、すべてを法や法律に従って判断する必要はないのです。

「法律的にOKだから他人がイヤな思いをしてもやる。」

「何も迷惑なことはないが法律的に文句を言えるから言う。」

こういうことが、日常の身近なところで起きているとしたら悲しいことです。 もし法律がこの世に無かったときのことを想像してみてください。自分たちで判断するしかありませんね。日本に法制度が導入されてから、また150年も経っていません。それ以前の世の中でも人は暮らしていたのです。


◇法律で紛争を解決できるのか?

 著作権法は、著作者(著作権者)の利害と利用者の利害とが衝突したときのために、あらかじめ一定の線を引いたのですが、両者の間のどこが最も適切な線なのかは判断しにくい場合が多いです。とりあえず一直線を引いてみたものの、実情に合わないときには柔軟な法解釈が必要なのですが、その解釈が市民の側から出てこず、企業や業界から彼等の都合にのみ有利な解釈が出てくるということでは困ります。
 企業間の著作権問題であれば、経済的利益がからんでいるし代理人もつきますから、金額の調整で折り合いがつきやすいのですが、経済的利益に関わらない場合、たとえば市民同士の身近な著作権紛争などは裁判での決着になりにくく、また金銭での解決も難しいものです。
 そういった場合に、法律や判例、一部業界が述べた法解釈などを調べて自分の有利を誇ろうとする人が多いのですが、そういう方にこそ、以下の文章を読んでいただきたいと思います。なぜなら、身近な問題について安易に法や法律に頼ることは、紛争の解決法として相応しくないことがあるからです。

 

◇「法律的に正しい」とは?

 ある著作物の利用行為について、「やってもいいですか?」と聞かれても、それが「他人とトラブルになるかどうか?」という意味なのか、「犯罪なのか?」という意味なのか、「実際に刑罰を受けるか?」という意味なのか、「民事裁判で勝てる?」という意味なのか、「モラルとしてやってもいい?」という意味なのか、またはほかの意味なのか、さっぱりわからないことが多いのです。それを本人に聞いても、その意味さえわからない。それはそれで仕方がないことですが、「ウダウタ言うな。専門家なら答えられるはずだ。さあ、やっていいのか悪いのか答えろ。」という態度の方が予想外に多いことに驚いています。
 どうも一般的な意識として、「この世には白黒はっきりした線引きがあるはずで、それに従っていれば悪いことはないし、お上に守ってもらえる。だからそれを他人に聞いて安心したい。」という考えがあります。そういう気分で「著作権のひろば」を閲覧する方にはとっては、この「ひろば」は実に使い勝手が悪いかもしれません。

 

◇「著作権のひろば」の管理者は常識と思いやりで考えている

 身近な著作権問題の質問に答える際の私は一体どのようにして考えているかと言いますと、常識と、権利者・利用者双方の立場に対する思いやりをもとにしています。そして自分なりの答えを出してから法律や判例がどうなっているかを調べています。
 これは現実を考えると当り前のことでして、どれほど法律理論がしっかりしていても、社会常識に合わない結論は現実には主張しにくいものですし、相手側が納得しにくいでしょうから紛争の解決につながりにくいのです。
 逆に考えれば、相手が納得さえすれば、法律的な筋道が通らなくてもトラブルは収まります。法律がヤメロと言っているからといって、トラブルの相手が法律と同じことを主張したいとは限らないのであって、実は本当に主張したい部分が全く関係のない別の部分にあったりします。
 たとえば、「本音はAという主張を通したいのだが、Aという主張は法律的にとおりにくいので、本来は主張する気のなかったBという主張をして、相手に圧力をかけよう。」ということは、現実には結構あります。法律が決めた線引きが、トラブルの当事者にとって最も納得の行く線引きであるとは限らないのです。
 法律は権力を活用し社会秩序を保つという公共の目的があって作られたものですから、個人間の問題において最初から法律をアテにしてしまうとおかしな結論になってしまうことがあります。
 つまり、真にトラブルを解決するための糸口はひとつではないということです。 「法的な回答さえあればそれでよい」ということではないのです。法律的な回答をもとに、自分が正しいとか、相手が間違っているなどと決め付けて安心するのは愚かなことだと思います。
 
 こう言うと困惑する人が多いでしょうが、そういう人は、法や法律に従っていないと落ち着かない人ですね。しかし、この世の中の本来の姿は、法も法律もあまりあてにならないものです。自分の主張が絶対に正しいと考えるのではなく、心のどこかで「相手にも言い分があるかもしれないが・・・」という懸念を持ちつつ対処することは、トラブルの解決において無意味なことではないと思います。必ず相手があることですから、相手の様子やトラブルの性質を考えて柔軟に対応することをおすすめします。

「管理者からひとこと」 おわり