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意外と知られていない著作権表示の盲点 |
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◎一般的な著作権表示について ホームページ上で著作権に関して検索されるキーワードの中で意外と多いのが「著作権表示の方法」です。私がこれまで行ってきた解説も含め世間一般でおおむねどのような説明がなされているかと言えば、
実際のところ、著作権表示の方法にはいろいろあって、実態が意味不明の表示が多々見受けられますし、表記自体にかっこよさが求められ、ある種の流行のようになってしまっているような気もします。 しかし、この夏のチャプリン映画の著作権保護期間をめぐる判決にもあったように、著作権表示は世間で考えられている以上に重要なものであると考えられます。 まず、「著作権表示」という言葉がよく使用されていますが、厳密には「著作者」の表示として捉えるべき部分もあり、著作権者と著作者とでは法律上の立場が異なるので、本来どのような表現がふさわしいものか迷ってしまいました。ここでは著作者と著作権者の区別をしない表記の意味として暫定的に「著作物表示」という言葉を使わせていただきます。 |
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◎著作者表記には法律的な効果がある
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| ◎著作者表示で著作権の寿命が変わる 著作者の表記によって著作者が推定されることはわかりました。では、その著作者の種類によって著作権保護期間が変ってしまうとしたら、これは無視できる問題でしょうか。 今つくられているデザインやキャラクターの商品寿命はわずか数年で切れてしまうものがほとんどであろうと思いますが、中には末永く著作権を保持したいと願うケースもあります。また、数年で使わなくなってしまうけれど、かといって50年後に他人に勝手に利用されたくないという場合もあるでしょう。 著作権法の保護期間のことはすでに別の機会で触れてきましたのでなるべく省略しますが、著作者が個人であれば保護期間は死後50年まで、著作者が法人であったり無名または変名の場合は公表後50年まで、という違い が生じます。 たとえば私が今年制作された、あるキャラクターの著作者として著作物を公表する際に「ヒノコウジロウ作」とした場合と、「制作 ヒノッチ」とした場合では、その著作物の著作権保護期間は異なるという事です。 もし私が50年後に死亡したとするなら、著作者表記が実名の場合は著作権の寿命は100年間となりますが、「ヒノッチ」という表記は著作権法では「変名」にあたりますから、50年間しか保護されないことになります。 「ヒノッチ」という作者名からは、私が本当の作者であることを特定できないので死後起算ができませんから、これもやむをえないのです。 しかしながら著作権法の原則は、やはり「死後起算」なのですから、たとえ著作者表示が変名や無名であったとしても、本当の作者が何らかの事情で世間にとって認知されているのではあれば、やはり「死後起算」が適用される余地があってもよいでしょう。 ですので、この文章を読んで、「しまった。自分の名前で表示しておけばよかった。」と思った方も、あせらなくて大丈夫です。なぜなら、今からでも表記を変えておけばよいからです。あなたが生きている間に、著作物表示を自分の名前に変えて世間に認知してもらえばそれでよいのです。 とは言っても、よほど有名なキャラクターやデザインでもないと、自分が著作者であることが世間から忘れられてしまったり、自分が著作者であることを主張する材料を失ってしまうかもしれない、という不安があるでしょう。自分が生きているうちはまだ良いのですが、死後何十年もたったときに権利収入を得るべき承継者が著作権の存在を否定されてしまったら困ったことになるかもしれません。 チャプリンの映画の保護期間の訴訟のように、著作権の存否のことで未来の承継者が裁判に巻き込まれる可能性がないとは言えません。そこで、著作権法では「実名の登録」という制度を用意しています。 たとえ無名・変名で公表されている著作物であっても、作者が生きている間に実名の登録を文化庁で行っておけば死後起算の適用となります。公的機関の証明で著作者が推定されますから、著作権法の原則に従って死後起算の適用を受けられるのは当然のことと言えます。 ただし、一応手間とコストがかかるわけですから、将来を予想して必要があるときだけ登録すればよいでしょう。もし外部のクリエイターにキャラクターやデザインの制作を注文し、その後で著作権を譲り受けるような場合であれば、公表の際にクリエイターの実名を表記しておくか、またはクリエイターに実名の登録をしてもらっておくことをご検討ください。(もちろん、50年以上著作権を保持したい場合に限ります) ◎著作者表示と職務著作の関係 次にとりあげておきたいのは「職務著作」との関連です。職務著作とは、法人が従業者に著作物を創作させた場合など一定の要件がそろえば、法人が著作者になるという制度です。 その一定の要件の中に「その法人等が自己の著作の名義の下に公表する・・・」というものがあります。つまり世間の目に触れる際には法人の名称が<著作者として>表示されていなければ法人が著作者になることはできない、ということです。参考までに以下に条文を抜粋します。
多くの企業は著作者の権利(著作権だけでなく人格権も含め)の全てを根こそぎ保有したいと考えますので、企業にとってこの規定は非常に重要です。このためキャラクター企業などの多くは自主制作のキャラクターを公表する際に、「(C)」マークとともに会社名を付記することが多いようです。 これで会社が著作者であることが明示してあるつもりだとは思うのですが、そうであるならば、その著作物の寿命が「50年」になることを覚悟したことにもなります。 ただし私がここで自信がないのは、そもそも現在一般的に使用されている(C)などの表記は、はたして「著作者表示」なのだろうか、それとも「著作権者表示」なのか、という点です。 もし「designed by」とか「作者」といった文字が見えれば「著作者表示」であるとわかるのですが、(C)という記号は万国著作権条約に由来する表記であって、それ自体は著作者と著作権者の違いを明示するものではありませんから(条約では「authority of the author or other copyright proprietor」と記載されており、著作者または著作権者と読めます)、Cマークは手がかりにならないと思います。つまり、慣用されている著作物表示からは、それが著作者の表記なのか著作権の表記なのかがわかりにくい場合が多いので、職務著作なのかどうかが少なくとも世間一般の眼からは判別しがたいという現実があるかと思います。 そうすると我々一般市民としては、ある著作物の保護期間がいつまでなのかがわかりにくくて迷惑だということにもなるでしょう。職務著作の要件の中には企業内部の人間でないと(場合によっては当事者でさえ)わかりにくい要件事実が含まれていますし、職務著作かどうかを世間一般の人々に調査せよ、と言われてもそれは限界というか無理があると思いますから、企業名称が著作者としての意味なのか、著作権者としての意味なのかがはっきりわかるような記載であってほしいと思います。 このように考えてみると、著作者表記というモノは一定の厳密さを要求されるべきものであり、個人の実名が著作者として明示されていない限りは著作権の寿命は公表時起算になる、と解釈してよいとも思います。 チャプリン映画の訴訟の場合も、チャプリンが映画を製作したことを示唆する文言が表示されていたことから実名表示として扱われていたもので、もしそのような表記が欠けていれば団体名義の著作物として扱われたと思われます。このように著作物表示というもののあり方には重大な意味が含まれていて、今後問題になってゆく可能性を秘めています。 最後にまとめますと、著作物について何か表記する際にはとくに以下の点に注意していただきたいです。 @実名表示の場合と、変名表示や無名の場合とでは著作権保護期間に違いがでます。 Aもし実名を表示するならば、「著作者〜」「制作者〜」「illustrated by〜」「designed by〜」などのように<著作者が誰であるか>がわかる表記が無難でしょう。(C)には実際的な意味が無いばかりか、かえってわかりにくくなるかもしれません。 B著作者が個人で実名表示の場合は第一発行年を表記する法的な意味はありません。(保護期間計算が死後起算なので) C職務著作にしたい場合には会社名を<著作者として>表記しましょう。(Aと同様) D無名・変名で公表する場合に、もし著作権を長く保有したいなら実名の登録をしておきましょう。 E他人の著作物を利用する場合には著作物表示の内容について著作者の同意を得ましょう。
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