◎郵政民営化で困った 〜 定額小為替の手数料が10倍に!
 郵政民営化によって定額小為替の料金が値上がりするそうです。私は仕事上たくさんの定額小為替を使っていますが、その多くは住民票や戸籍関係書類の交付請求を郵送で行う際に、交付手数料を納付する代わりに交付請求書に同封して郵送します。
 定額小為替には次の金種があります。
 50円、100円、200円、300円、400円、500円、1000円。
 定額小為替は郵便局で購入するのですが、購入の際に1枚10円ずつの手数料を支払います。
 
 電子化がどの程度すすんでいるのかわかりませんが、住民票などの交付請求のほとんどは文書で請求することになります。遠隔地の市区町村に請求する場合は郵送せざるを得ないのですが、たとえば住民票1通が300円だとして、現状では300円の定額小為替を1枚同封し、そのために郵便局に10円の手数料を支払ったわけですが、そのうち手数料が1枚あたり100円になるという話です。
 
 小為替の額にかかわりなく1枚100円ということですから、たかが50円の小為替のために150円を支払うことになります。もし戸籍謄本を請求する場合、交付手数料は450円ですから、300円、100円、50円、の3枚を郵便局で購入しますが、その際に郵便局で支払う手数料は、30円だったものが300円になってしまうのです。切手代を除いても、450円の証明書を購入するために750円を負担することになります。

 さて、このような状況になるといろいろな問題が発生します。 よく私たち実務家は、300円相当の住民票を郵送請求する際に1,000円相当の定額小為替を同封することがあります。差額の700円は市区町村がおつりとして相当する金額の定額小為替を住民票と一緒に返送してくれることになっています。これまでは手数料が一律10円ですので、こういった取扱に問題はありませんでしたが、もし100円ということになると、市区町村としては700円のおつり分の定額小為替を用意するために200円と500円相当の2枚の定額小為替を用意する必要があるため200円の手数料を別途負担することになります。 交付手続において交付請求人から300円を徴収したあげく、200円をおつりのためだけに負担するのですから、実質的には100円の利益しかえられません。 これがもし250円で住民票を交付している場合は大変です。
 1,000円の小為替に対し、おつりのために用意する定額小為替は、500円、200円、50円、の3種ですから300円の手数料を別途、市区町村が負担しますが、交付手続において徴収できた手数料が250円ですから、50円の赤字になっています。

 おそらく、どこの法務事務所でも考えることは同じだと思いますから、郵送請求の際には1,000円分の定額小為替を使う事務所が増えるでしょう。 こうなると、今まで交付手数料を250円で料金設定していた役所は値上げせざるを得ませんし、450円や750円など50円の端数がある金額で設定した役所(戸籍関係はほとんどの市区町村がこの値段ですが)も同様に値上げを検討せざるを得ないのではないかと思います。
 便利な定額小為替ですが、金額が10倍になってしまうと、このとおり困ったことになってしまいます。
 日常生活では小為替を使うことなどあまりないので、一般の方にとってはどうでもよいことかもしれません。
 でもこの負担増は我々の依頼主である一般市民の方々に請求させていただく金額で、直接私ども実務家の経営を圧迫するものではありません。
 
 最近思うのです。 行政の合理化のために手続の電子化をはかるとか、インターネットから証明書が取り寄せられる、といった話がかなり前からでていましたが、住基カードを持っている市民はほとんどいないし、電子的手続だけで完了できる行政手続きなど全体のうちのほんの一部にすぎません。前よりも便利になった部分はありますが、電子手続が整備されてきている割には便利にはなっていません。電子システムをいかに充実させても、その背景となる行政手続きが電子化に向かない体制のままでいて、電子手続を中途半端にしか利用できない状態になっています。
 たとえば、「許可申請がインターネットでできます。でも添付書類は窓口へ持ってきてください。」
 こういうことでは意味がないばかりか、かえって面倒です。電子申請のためには電子署名とか専用ソフトウェアのダウンロードとか、ネット環境とか、それなりの費用がかかっているのです。

 こういったことのために、これまでいったいどれほどの税金を使ってきたのでしょうか。 許認可や登録手続の中でかなり電子化されたと言われる部分のほとんどはうわべだけのシステムで、実際には使用不可能なものがほとんどです。使用不能なだけならまだしも、制度がかえって複雑になって、ありがた迷惑な状況になっている部分もあります。こういうムダをしておいて、同時に郵政民営化という合理化を進めたところで、本当に市民生活にとってメリットになるのかどうか、非常に疑問です。

 正直なところ、余計なところに無駄な税金をかけないでそっとしておけばよいものを、と思います。
 役所の現場の大方の本音としても、電子化は迷惑でしかないはずです。しかし政府の上の方では、とにかく予算をつぎ込み、現場の意思や結果に関係なく電子化をすすめる。そういうつもりのようです。
 私にとって一方の専門分野である風営法ですが、風俗環境浄化協会という外部の天下り団体の変更登録手続きが電子化されているだけで(手続き件数は多分ゼロに近いと思いますが)、それ以外は、ようやく最近ごく単純な一般手続き(営業廃止届出のみ)にも一部の都道府県で電子化が始まりましたが、これ以上の進展は制度の骨格としてありえない状況です。形だけ導入しても結局利用できないということです。郵政民営化の話でしたが、横道にそれました。